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SB協会とONEの間で和解が成立。グレゴリアンの体重オーバー→試合中止→チャトリ氏の海人への侮辱的発言……一連の流れを振り返る

2025.04.14 Vol.Web Original

 シュートボクシング協会とONE Championshipが4月14日、ともに声明を発表し「ONE 172」(3月23日、東京・両国国技館)での海人vsマラット・グレゴリアン戦に関する一連の出来事において両者間で和解が成立したことを発表した。

 両者は話し合いの中で、計量および試合実施に関するプロセスにおいて、当事者間で認識の相違が生じたことで誤解が生まれ、今回の結果を招いてしまったことを確認。声明ではその旨とチャトリ・シットヨートン会長兼CEOの海人に対する不適切な発言について、チャトリ氏がSB協会と海人に直接会談の場を設け謝罪したことなどを報告した。

 今回の騒動はグレゴリアンがハイドレーションテストに必要な尿を提出することができず、規定時間内に計量を行うことができなかったことが発端。結局、グレゴリアンは規定時間後に計量を行い、350グラムのオーバーとなった。

 日本の団体では交通事情などで規定時間内に計量を行うことができなかった場合や再計量の際には、ルールに明文化こそされていないものの対戦相手陣営の前で秤に乗ることが慣習となっている。

海人の次戦はGLORY1位のエンリコ・ケール。ONEのチャトリ氏から直接謝罪を受けたことも報告「“こちらが100%悪い”との謝罪をしていただいた」【SB】

2025.04.13 Vol.Web Original

 シュートボクシング(SB)のSB世界スーパーウェルター級王者・海人(TEAM F.O.D)の次戦が4月12日に東京・後楽園ホールで開催された「SHOOT BOXING 2025 act.2」で発表された。

 海人は6月22日に同所で開催される「SHOOT BOXING 2025 act.3」でGLORY世界ライト級1位のエンリコ・ケール(ドイツ)と対戦する。

 海人は3月23日に埼玉・さいたまスーパーアリーナで行われたONE Championshipの日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」でマラット・グリゴリアンと対戦する予定だったのだが、グレゴリアンが規定体重をオーバー。その後、両陣営の協議がまとまらず、試合は中止となった。ONEのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOが大会後の会見で海人を誹謗中傷する発言を行ったことから、SB側が抗議文を提出、それにONE側が謝罪の声明を出すなどごたごたが続いていた。

シーザー武志会長「たった300と言うなら、オーバーした選手に“たった300なんだから落とせ”と言えばいい」【SB】

2025.04.13 Vol.Web Original

 日本シュートボクシング協会のシーザー武志会長が4月12日、東京・後楽園ホールで行われた「SHOOT BOXING 2025 act.2」のリング上でONE Championshipのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOの一連の言動などについての所感を述べた。

 シーザー会長は恒例となっている休憩明けの挨拶のためにリングに上がると「ここに上がるまでには選手は減量という大きな宿題があって、これは本当に厳しい。今は1日前の計量ですが、我々がやっていた頃は当日計量。当日10時頃に計量して、それからちょっと仮眠を取って、食事をしてそこから試合です。そんなこともやっていました。計量というのは契約。この間、ある団体に選手が出ることになっていました。その時に相手が計量の決まっていた時間に来ない。来ても体重オーバーだった。そういうのではやりたくないと選手が拒絶した。そうしたら相手の団体のトップが“300くらいならやれよ”みたいなことを言った。僕は“300くらいならやれよと言うなら、300くらい落としてこい”と言ってやった。僕は間違っていますか? それはこの苦しさを知らない奴が言うこと。僕はその苦しさをよく分かっている。彼らが死ぬ思いで一生懸命頑張っているのに、そんなことをよく言えるなと思って、SNSで厳しい言葉を書きました。和解しましたのであまりこれ以上は言いませんが、減量というのは大変。一生懸命頑張っているが、自分の力には限りがある。だけどファンの皆さんが応援してくれるからみんな頑張れる。これからも選手を応援してやってください」と語った。シーザー会長は前日計量後の会見では規定体重をクリアした選手たちに感謝の言葉を口にすることはしばしば。

 この後にリングに上がった緒形健一SB協会代表が「ONE Championshipのチャトリ代表と先日お会いして、誠心誠意、全面的な謝罪をいただきました。また、この格闘技界を健全な形で発展させていこうと合意しました」と一連のONEとの問題が一つの解決を見たことを報告した。

 シーザー会長は大会後の総括でも「たった300と言うなら、オーバーした選手に“たった300なんだから落とせ”と言えばいい。ちゃんと体重を作って時間通りに来ている選手を責めるのはおかしい」などと元格闘家の視点も交えて語った。

ONE世界フライ級王者となった若松佑弥 真のフライ級世界一をかけたUFC王者パントージャとの対戦も視野に

2025.03.27 Vol.Web Original

 ONE Championshipの約1年2カ月ぶり4度目となる日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(3月23日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で悲願のONE世界王座獲得を成し遂げた若松佑弥(Tribe Tokyo MMA)が3月27日、真のフライ級世界一をかけたUFC世界フライ級王者アレッシャンドリ・パントージャとの対戦も視野に入れた。

 若松は今大会でフライ級(−61.2kg)MMA世界王者のアドリアーノ・モラエス(ブラジル/American Top Team/Constrictor Team)と対戦し、1RでTKO勝ちを収めた。

 この日は都内で囲み会見を行い「うれしい半分、まだ実感がない。たまに“ああ、チャンピオンなんだ”と思うが、気持ちは前と変わらないというか、いまだに実感がない。ベルトを持つ自分がちょっと恥ずかしい感覚。取りあえず最高の瞬間を迎えられたので、うれしいです」と大会から4日経った現在の心境を淡々と語った。

 その試合については「やっている最中は無だったが、思っていた以上にやりたいこと、戦略や対策ができていた。タックルも切れていたし、寝技に付き合わないで殴るということはできていたと感じた」などと振り返った。

 その対策については「もちろん判定で勝つということもあったが、一番はテイクダウンを全部切って、倒されないでひたすら自分の土俵の打撃戦をやりたいと思っていた。それを突破されたら寝技でスクランブルで上を取ってパウンドを打ってまた立つとか、自分がダウンした時はこういうふうにというイメージはたくさんあった。でも一番の理想はああいう脇を差させないということだった。差されると巻き込まれたり、柔術家なのでそこから仕掛けられる。首相撲をして内側を取って突き放して、殴り合いの展開に持っていくという作戦がはまった」、開始早々のモラエスのテイクダウンを切ったことで試合の流れをぐっと手繰り寄せたように見えたのだが「自分も調子がよかったので、組まれた時に“全然いける”という感じだった。入られた感じがしなかった。2回入られたと思うが、あの時は“フェイントだけだな”くらいの感じだった。アドリアーノはあのタックルを切らせてから右ヒザという感じだったので、自分の中ではテイクダウンがフェイントくらいな感覚。入られた感覚がなかった。やっている最中は“やり合ってくれているんだ”と思った。テイクダウンに来た感覚がなかった。打ち合いも応えてくれた感じがあった」などと語った。

榊原CEOがONEのチャトリ氏の炎上問題で「日本の団体をリスペクトしないとこの国に来てビジネスをするプロモーターとしての資格はないと思う」【RIZIN】

2025.03.26 Vol.Web Original

 RIZINの榊原信行CEOが3月26日、記者会見でのシュートボクシング(SB)のエース、海人(TEAM F.O.D)への侮辱的発言で炎上中のONE Championshipのチャトリ・シットヨートン会長兼CEOについての私見を述べた。

 RIZINはこの日、「RIZIN男祭り」(5月4日、東京・東京ドーム)の追加対戦カードを発表。その後に行われた囲み取材でチャトリ氏の件について問われると「うーん。思うところというか(笑)。でも……なんというか。謝罪はしたじゃないですか。だからちょっと局面は変わってるかなと思うんですけど、やはり日本に来て、日本の格闘技界で商売をしたいなら、日本の格闘技の団体をしっかりとリスペクトしないと。小さいとか大きいとかは関係ない。シーザー武志会長がいて、SBがあって今の自分たちにつながっているということを理解しなければ、この国に来てビジネスをするプロモーターとしての資格はないと思う」と言葉を選びながらも厳しい指摘。

ONEが公式声明。チャトリCEOが海人に対する一部発言に謝罪し撤回「海人選手の勇気の欠如に関する発言につきまして、心より謝罪し、正式に撤回いたします」

2025.03.25 Vol.Web Original

 ONE Championshipが3月25日、「海人選手に関する発言について」というタイトルの公式声明を発表し、「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(3月23日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)の大会後の会見でチャトリ・シットヨートン会長兼CEOがシュートボクシング(SB)のSB世界スーパーウェルター級王者の海人(TEAM F.O.D)に対して行った一部発言について謝罪し撤回した。

 声明でチャトリ氏は「皆様と同様に、私はマラット・グリゴリアン選手と海人選手の試合を楽しみにしておりました。グリゴリアン選手は制限時間を過ぎてハイドレーションテストをクリアし、350グラムの体重オーバーとなりました。この時点で、グリゴリアン選手にはファイトマネー総額の20%が没収され、海人選手に渡るというペナルティが課されていました。体重オーバーが1ポンド(約454グラム)未満の場合、世界の主要な格闘技団体における標準的な対応は、キャッチウェイトでの試合を交渉することです。当然ながら、海人選手が試合を辞退されたことに私は残念な気持ちを抱きました。

 しかしながら、ONE ChampionshipのCEOとして、このような感情を記者会見の場で表現したことは不適切でした。海人選手の勇気の欠如に関する発言につきまして、心より謝罪し、正式に撤回いたします。海人選手は日本で高く尊敬されているチャンピオンです。」(原文ママ)と謝罪している。

SBが海人に対するONEのチャトリCEOの侮蔑的な一部発言に抗議文。前日計量でのグレゴリアンのハイドレーションテストへの疑念も指摘

2025.03.24 Vol.Web Original

 日本シュートボクシング(SB)協会が3月24日、ONE Championshipに対してチャトリ・シットヨートン会長兼CEOの一部発言について抗議文を提出したことを発表した。

 前日(23日)に行われたONEの1年2カ月ぶり4度目の日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ)でSB世界スーパーウェルター級王者の海人(TEAM F.O.D)と初代K-1 WORLD GPスーパーウェルター級王者のマラット・グレゴリアン(アルメニア/Hemmers Gym)がフェザー級キックボクシング(−70.3kg契約)で対戦の予定だったのだが、前日計量(22日)で海人は規定体重、ハイドレーションテストともにクリアしたものの、グレゴリアンは本計量の時間内に会場に現れず、規定時間が過ぎた後に計量を行い、ハイドレーションテストはクリアしたものの規定体重をオーバー。試合については両陣営の間で協議が行われていたのだが、試合当日の午前に交渉が成立せず中止になったことが発表された。
 
 この件についてチャトリ氏は大会後の会見で、海人側が試合を受けなかったことについて「恐らく一番簡単な道を選んだんだと思う」「恐れを持っているから戦わない道を選んだのではないかと考えられる」などとあたかも「海人が逃げた」と取れる主旨の発言を行い、グレゴリアンの体重超過についても「300グラムだけ」と語るなど、体重超過を容認していると取られてもおかしくないような発言を行った。

 これらのチャトリ氏の発言に対し、SBはグレゴリアンは規定時間内(11:00~13:00)に一度も計量会場に現れず、ハイドレーションテストのための尿サンプルの提出と体重測定を行わなかったこと。ONEの公式ルールブックに計量を行う際に規定時間を超過した場合の記載はなく、その後の采配について現場のONEの競技スタッフから一切の説明がなされなかったこと。試合が実施されるどうか定かではない状態のなか、海人と同行していた協会スタッフを通さず、ONEのスタッフから直接、海人とトレーナーに公開計量場所への移動指示のメールが届き、しかもその指示内容も間違ったものだったこと。そういった状態の中で協会スタッフがONE側に問い合わせ、グレゴリアンが規定時間外でもハイドレーションテストをクリアした場合にキャッチウェイトでの試合交渉権利が発生することを確認したものの、公式計量の規定時間の約1時間後(14:00)に現れたグレゴリアンのハイドレーションテストは規定時間を超過していたため日本の医療従事者が計量会場から退席しており、グレゴリアンが行ったハイドレーションテストには疑念が残るものだったことーーといった前日計量において起こったさまざまな事象を明かしたうえで、こういった事情から試合実施には合意に至らなかったと説明した。

海人vsグレゴリアン戦中止に関するチャトリ氏の発言に海人陣営が真っ向反論。チャトリ氏は「300グラムだけ」とも発言

2025.03.24 Vol.Web Original

 ONE Championshipの約1年2カ月ぶり4度目となる日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で行われる予定だった、マラット・グレゴリアン(アルメニア/Hemmers Gym)vs 海人(TEAM F.O.D)の試合が中止になったことに関するチャトリ・シットヨートン会長兼CEOの発言が波紋を広げている。

 2人はフェザー級(−70.3kg)キックボクシング 3分3Rで対戦の予定だったのだが、前日計量で海人は規定体重、ハイドレーションテストともにクリアしたものの、グレゴリアンは本計量の時間内に会場に現れず。規定時間が過ぎた後に計量を行い、ハイドレーションテストはクリアしたものの規定体重をオーバー。試合については両陣営の間で協議が行われていたのだが、試合当日の午前に交渉が成立せず中止になったと発表された。

 この件について試合後の会見でチャトリ氏は「このような大きな試合に出る選手たち全員が試合をしたいはず。恐れている場合なら試合をしない場合もある。今回の大会の中で一番の見どころであった海人選手とグレゴリアン選手の試合がなくなったことは残念でもあったが、恐らく一番簡単な道を選んだんだと思う」などと発言した。

 海人は計量をクリアしているから海人の不戦勝なのでは?といった質問が飛ぶと「今回は海人選手が試合をしないことを望んだことにより試合がなくなった。戦いたいのであれば、戦い合うべきだし、恐れを持っているから戦わない道を選んだのではないかと考えられる。今回、計量をオーバーしたのはわずかな差。戦うチャンスはあったと僕は考えている」と海人が逃げたと決めつけるような発言。

現役続行か?引退か?武尊が予定外の会見で「冷静になってしっかり考えて、また正式に発表したい」【ONE172】

2025.03.24 Vol.Web Original

 K-1 WORLD GP3階級制覇王者の武尊(team VASILEUS)が3月23日、自身の去就について「冷静になってしっかり考えて、また正式に発表したい」と語った。

 武尊はこの日、ONE Championshipの約1年2カ月ぶり4度目となる日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(埼玉・さいたまスーパーアリーナ)のメインイベントで前ONEムエタイ世界フライ級王者のロッタン・ジットムアンノン(タイ/Jitmuangnon Gym)と対戦した。

 試合は1Rにロッタンの左フックでダウンを奪われた武尊がカウントぎりぎりで立ち上がり、ファイティングポーズを取るも、KO負けとなり、会場には武尊ファンの悲痛の叫びがこだました。

 試合後に予定外の会見を行った武尊は「今日の大会がこうやって、ONEのこんな大きい大会を日本でできたことがありがたいことだし、本当に普段、ONEでは見れないような日本の選手たちがみんな集まってくれて、一緒に世界と戦えてうれしかったし、大会の関係者や出場してくれた選手たちには本当に感謝したい」と大会を振り返った。

 ダウンの際にはセコンドのほうを見ながらぎりぎりまでダメージの回復に務めていたように見えたのだが、ストップがかかった。この場面についてはしばし黙考したうえで「カウントについてはもちろんダメージの回復を待ってはいたが、立ってもどうなったか分からないというのもあるし。そこについてはなんの文句もない。自分が弱かっただけ」と潔く負けを認めた。

野杁正明が圧倒的不利の下馬評覆しタワンチャイにKO勝ちで暫定王座と5万ドルのボーナス獲得【ONE172】

2025.03.23 Vol.Web Original

 K-1 WORLD GPスーパー・ライト級とウェルター級の元王者・野杁正明(team VASILEUS)がONE Championshipの約1年2カ月ぶり4度目となる日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(3月23日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)で行われた「フェザー級(−70.3kg)キックボクシング暫定世界王者決定戦」でタワンチャイ・PK・センチャイ(タイ/PK Saenchai Muay Thai Gym)と対戦した。試合は野杁が戦前の下馬評を覆し、3RでKO勝ちを収め暫定王座に就いた。

 野杁は今年6月にONE初参戦を果たすもシッティチャイ・シッソンピーノン(タイ)に0-3の判定負け、12月の第2戦ではリウ・メンヤンにダウンを奪われたうえでの判定負けを喫し、プロキャリア初の連敗を喫するどん底に。しかし今年1月にすぐに試合が組まれるとシャーキル・タクレティに徹底したカーフキックで両足を破壊し、ONE初勝利を挙げた。

1年2カ月越しでついに実現させたロッタン戦で武尊がまさかの1RKO負け【ONE172】

2025.03.23 Vol.Web Original

 K-1 WORLD GP3階級制覇王者の武尊(team VASILEUS)がONE Championshipの約1年2カ月ぶり4度目となる日本大会「ONE172:TAKERU VS RODTANG」(3月23日、埼玉・さいたまスーパーアリーナ)のメインイベントで前ONEムエタイ世界フライ級王者のロッタン・ジットムアンノン(タイ/Jitmuangnon Gym)と対戦した。試合はロッタンが1RでKO勝ちを収めた。

 2人は当初、昨年1月の日本大会で対戦の予定だったのだが、ロッタンがケガで欠場。武尊にとっては待ちに待った対戦実現だった。

 武尊はロッタンの代わりに「ONEフライ級キックボクシング世界タイトルマッチ」で王者スーパーレック・キアトモー9と対戦。5R戦い切る激闘を展開も判定で敗れ、試合中に折ったヒザの骨折と腿と腕の筋断裂の治療のため休養。9月に再起戦に臨むとタン・ジンをKOで破り、試合後にはロッタンと額を突き合わせての視殺戦を展開した。

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