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映画監督・河瀨直美が最優秀女優賞 娘役・福地桃子に「冷たい態度をとるなど徹底した役作りをしていました」

2025.11.06 Vol.web original

 第38回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが5日、都内にて行われ、各賞が発表。最優秀女優賞にコンペティション部門出品作『恒星の向こう側』の福地桃子と河瀨直美が選ばれ、感激のスピーチで盛り上げた。

『恒星の向こう側』は『走れ、絶望に追いつかれない速さで』(15)、『四月の永い夢』(17)の中川龍太郎監督が挑む三部作の最終章。余命わずかな母と娘が衝突を重ねながらも、愛を見つめ直していく物語。

 最優秀女優賞を受賞した福地桃子は「主人公を演じるにあたって、人物を見つめて追いかけて溶け合っていくような作業は決して一人では乗り越えられる時間ではありませんでした」とチームに感謝。福地演じる主人公の母親役を演じ、ともに同賞を受賞した河瀨直美も「監督として映画祭に参加したことはあっても俳優として参加できたのは中川監督のおかげです。チームの皆がいたからこそ、自分自身のすべてを出し切れました」と語りつつ「福地さんには冷たい態度をとるなど、徹底した役作りをしていましたが、最後に彼女の温かさを背負えた瞬間、涙が出ました」と俳優挑戦を振り返っていた。

 審査員の齊藤工も「今年のコンペティション部門には力強く物語を牽引するヒロインたちが数多く登場しました。その中で、丁寧に静かに存在することに徹したお2人の姿はひときわ印象的で際立っていました」と2人の女優をたたえていた。

 同じくコンペティション出品の日本映画では『金髪』(監督・坂下雄一郎、主演・岩田剛典)が観客賞を受賞。最高賞の東京グランプリ/東京都知事賞にはアンマリー・ジャシル監督の『パレスチナ36』が輝いた。

第38回東京国際映画祭グランプリはパレスチナの代表的女性監督作『パレスチナ36』

2025.11.06 Vol.web original

 第38回東京国際映画祭のクロージングセレモニーが5日、都内にて行われ、アンマリー・ジャシル監督の『パレスチナ36』がコンペティション部門最高賞となる東京グランプリを受賞した。

『パレスチナ36』は1936年、英国委任統治時代のパレスチナを舞台に、パレスチナのアラブ人たちがユダヤ人入植者たちと、英国植民地支配への反発から起こした民族主義的な反乱を描いた作品。パレスチナを代表する女性監督アンマリー・ジャシルが単なる歴史劇を超え、現在のパレスチナ問題にもつながる民族のアイデンティティーに迫った意欲作。

 最高賞となる東京グランプリ/東京都知事賞を受賞したジャシル監督は動画コメントで「チームにとっても私自身にとっても、この作品の制作に懸命に力を尽くしてきたすべての人たちにとっても、大きな意味を持つものです」と受賞に感激のメッセージ。

 麒麟像を授与した小池百合子東京都知事も「映画は言葉、文化の壁を超えることができます。心を繋ぐ力を持っている大変パワフルなアートです」と語り、東京からのさらなる文化発信に期待を寄せていた。

岩⽥剛典「何を考えているか分からないと言われた(笑)」“ブーメラン”に苦笑

2025.11.04 Vol.web original

 

 映画『金髪』(11月21日公開)の舞台挨拶が4日、日比谷にて開催中の第38回東京国際映画祭で行われ、俳優の岩⽥剛典、⽩⿃⽟季らキャストと坂下雄⼀郎監督が登壇。岩田が坂下監督とのタッグを振り返った。

『決戦は日曜日』(22)の坂下雄⼀郎監督が、日本独特のおかしな校則が発端で起こる騒動をオリジナル脚本で描く話題作。

 主演の岩田は冒頭の挨拶で「今日のために金髪にしてきました!…嘘です」と冗談めかしたが、映画祭ならではの英語通訳でジョークが訳されると「恥ずかしい(笑)」。

 生徒たちの金髪デモに翻弄される主人公の中学教師・市川を演じる岩田。「耳が痛くなるような世代間の話でもあり、僕が演じる市川を反面教師に思っていただけたら」。

 友人役の⽥村健太郎が坂下監督の無口さを語りつつ「気づかぬうちに掌の上にいたみたいな感じ」と振り返ると、岩田は「昨日、初めて声を聞きました…嘘です(笑)」。

「坂下監督は何を考えているのか分からない人だなと思っていた」を振り返った岩田。「ところが監督から“岩田さんて何を考えているのか分からないですよね”と言われて…。この映画は、お互いに何を考えているのか分からない人が作っております」と冗談めかしつつ「校則をテーマにしながら、世代間のギャップや常識の掛け違いを描いた、全世代の方に刺さる作品です」とアピールしていた。

 この日の登壇者は岩⽥剛典、⽩⿃⽟季、⼭⽥真歩、⽥村健太郎、内⽥慈、坂下雄⼀郎監督。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

柄本明、オスカー俳優ブレンダン・フレイザーとの共演振り返り「大きい方。ホエールほどじゃないけど」

2025.11.03 Vol.web original

 

 映画『レンタル・ファミリー』(2026年2月27日公開)のアジアン・プレミアが3日、都内にて行われキャスト陣とHIKARI監督が登壇。オスカー俳優との共演を振り返っていた柄本明が、HIKARI監督からサプライズで喜寿を祝われ照れていた。

『ザ・ホエール』のオスカー俳優ブレンダン・フレイザー主演作。日本で“レンタル家族”として働くアメリカ人中年男性が、人々との出会いを経て生きる喜びを見出していく感動作。第38回東京国際映画祭ガラ・セレクション出品作品。

 主人公フィリップ役のブレンダンとの共演シーンが多かったという柄本。印象を聞かれると「ブレンダンさんは大きい人です。“ホエール”くらい大きいわけじゃありませんが」と笑いを誘いつつ「本当に素晴らしい俳優さんで。大きい方です、体だけじゃなくて、大きな奥行きのあるお芝居をされる。演技も人柄も素晴らしい方。共演できて本当に光栄でした」。

 海外映画祭でも注目を集めるHIKARI監督。作品を語っていたかと思うと「今日は特別な日です」と、この日、77歳の喜寿を迎えた柄本をサプライズで祝福。

 一同からバースデーソング、娘役の真飛聖から花束を贈られた柄本は照れて「映画の宣伝をしてください」。

「柄本さんがこの役を受けてくださったことですべてが始まった」と感謝したHIKARI監督。「これからも一緒にもっと作品を作って…くれるかな(笑)と柄本に熱烈ラブコールを送り、柄本も「こちらこそ」と快諾していた。

 この日の登壇者はHIKARI監督、木村文、森田望智、篠﨑しの、ゴーマン シャノン 眞陽、真飛聖、柄本明。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

李相日監督が黒澤明賞 最新作『国宝』大ヒットで次回作に遅れ? クロエ・ジャオ監督も「歌舞伎を見に行きました」

2025.11.03 Vol.web original

 

 第38回東京国際映画祭・黒澤明賞授賞会見が3日、都内にて行われ、受賞者の李相日監督とクロエ・ジャオ監督が登壇。李監督が『国宝』の海外での広がりに手ごたえを語った。

「身に余る光栄」と受賞に感激しつつ「映画監督としてやってきて、これまで出会った俳優やスタッフたちに育ててもらったと思っています」と語った李監督。

 黒澤明監督について聞かれると、李監督は映画学校で今村昌平監督や黒澤作品に本格的に触れるようになったと振り返り「日本映画の偉大さへの扉を開いてくれた作品群。特に黒澤さんの作品は、総合芸術とはこういうことを指すのかと体感させてくれた」と語り「今回『国宝』という、芸術に自分の人生を捧げる人間の物語を作ったのですが、まさに黒澤さんは映画に人生を捧げ孤独を引き受けて、誰も見たことがない景色に向かってひた走った偉大な人という印象。何に影響を受けたか、一言ではとても言い表せません」。

 現在、最新作『国宝』が国内はもちろん海外でも注目。今後は米国アカデミー賞ノミネートを目指していくと明かしつつ「日本の伝統芸能である歌舞伎を題材にした作品。日本の固有の芸能文化がどう届くかとも思ったのですが…」と当初の懸念を振り返りつつ「描いていることがきちんと伝わっている」と、海外での手ごたえも感じている様子。

 邦画の実写では破格の興行収入100億円超えを記録中。メガヒットの要因を聞かれると、李監督は「僕が知りたいんですけどね(笑)」と笑いを誘いつつ「皆さんがどこか不安感を抱えて生きている中で、何か美しいもの、見栄えといったことだけはなくて内面の、俳優たちが見せた血のにじむような努力のような、人間的なものの美しさをどこか欲していたんだなと感じることがあります」。

 ともに同賞を受賞したクロエ・ジャオ監督も「今、舞台にも興味があって。実は今年の1月に歌舞伎を見に行ったんです。『国宝』を見るのが今から楽しみです」と笑顔。互いの作品を熱くたたえ合った。

 今後の作品について質問されると李監督は「『国宝』がこんなに当たると思っていなかったので…もうちょっと早く次の作品に着手できると思っていたんですけど…こんな事態になってしまったので(笑)」と大ヒットの思わぬ影響を明かしていた。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

 
【プロフィル】李相日(り さんいる):大学卒業後、日本映画学校(現:日本映画大学)の卒業制作作品『青~chong~』が「ぴあフィルムフェスティバル」のアワード 2000でグランプリ他4部門を独占受賞し注目を集めた後『BORDER LINE』(2003年)、『フラガール』(2006年)、『怒り』(2016年)など数々の作品が国内外で高く評価。現在大ヒット中の最新作『国宝』は邦画の実写では破格の興行収入100億円超えを記録中。

 選考委員による受賞理由:李 相日監督は、しばしば社会の矛盾や人間の罪の問題を扱った重厚なテーマを描きつつ、それを多くの観客の共感を呼ぶヒューマニズム溢れる人間ドラマとして昇華させてきました。最新作『国宝』はカンヌ監督週間を始めとする多くの国際映画祭で上映されるとともに、日本国内でも幅広い観客層に支持され、商業的な成功をおさめました。今後の日本映画、そして世界の映画を牽引することを期待し、李 相日監督に黒澤明賞を授与します。

【プロフィル】クロエ・ジャオ:北京出身の脚本家、映画監督、編集者、プロデューサー。3作目の長編映画『ノマドランド』は2020年ヴェネチア国際映画祭金獅子賞やアカデミー賞監督賞、主演女優賞、作品賞の3部門を受賞。最新作『ハムネット』は東京国際映画祭に出品。

選考委員による受賞理由:クロエ・ジャオ監督は、通常のハリウッド映画とは一線を画した詩的かつリアリスティックな作品を発表してきました。特に『ノマドランド』はヴェネチア映画祭金獅子賞、アカデミー賞®作品賞を受賞するなど世界的に高い評価を受け、その成功はアジア系女性監督たちに大きな勇気を与えました。その功績と今後の世界映画への更なる貢献を期待し、クロエ・ジャオ監督に黒澤明賞を授与します。

92歳の岡田茉莉子、年齢聞かれ22歳サバ読む軽妙トーク「エアロビクスもやってます」

2025.11.01 Vol.web original

 

 映画『浮雲 4Kデジタルリマスター版』のジャパン・プレミアが1日、日比谷にて開催中の日比谷にて開催中の第38回東京国際映画祭で行われ、出演俳優の岡田茉莉子が登壇。年齢を感じさせない軽妙なトークで70年前の代表作を振り返った。

『浮雲』(1955年)は林芙美子の同名小説を原作に、成瀬巳喜男監督が、戦中戦後の混乱期を舞台に男と女の宿命的な愛と悲劇を描いた恋愛映画の最高傑作。

 1951年に成瀬監督の『舞姫』の準主役に抜擢されて女優デビューを果たした岡田。成瀬監督について「巨匠ですのに、とても優しくしてくださって」と振り返り、『浮雲』で演じた、おせい役に「難しい役でしたけど今になってみれば本当に好きな役です」と振り返り「(成瀬監督は)あまり演技指導をなさらない方で。1回だけ、ほめていただいたことがあるんです。(主人公たちを見送った後の)戸の締め方がすごく良かった、と(笑)」。

『浮雲』の主演・高峰秀子や、森雅之との撮影を懐かしそうに振り返った岡田。「高峰さんはとても明るい方で、私が緊張しないように冗談を言ってくれたりして。森さんも、普段はとても明るい方なんです。役と全然違って(笑)」と語り、会場の笑いを誘った。

 本年のカンヌ国際映画祭でも上映され絶賛された『浮雲 4Kデジタルリマスター版』。聞き手の軽部真一アナウンサーから「『浮雲』が今でも若いファンを増やし続ける理由とは?」と聞かれると「私にも分かりません。でも魅力ありますね」と笑顔。

 軽部アナから「本当にお元気ですね」と感嘆されると「まったく元気です。今のところはどこも悪くないし、頭もまだ大丈夫だと思います。一生懸命生きております」と胸を張り、会場からも大きな拍手。

 体をよく動かしていると言い「スポーツクラブに行って、全身を動かすようにして。エアロビクスもやっております」と答え、会場もびっくり。

 軽部アナから「ご年齢を伺っても?」と言われると岡田は「いくつだと思います? まあキャリアから見ると分かりますよね」とじらしつつ「70になります」とオチをつけ、岡田の茶目っ気に会場も大笑い。

「皆さんと一緒。テレビを見ておいしいものを食べて」という岡田。好きな食べ物を聞かれると「おすし。(とくに好きなのは)マグロでーす!」と元気いっぱいに答え、会場を沸かせていた。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

プロ野球選手志望だった松谷鷹也、涙をぬぐいながら故・横田慎太郎選手との交流を語る

2025.11.01 Vol.web original

 

 映画『栄光のバックホーム』(11月28日公開)のワールドプレミアが1日、都内にて行われ、W主演を務めた俳優の松谷鷹也、鈴木京香らキャストと秋山純監督が登壇。松谷が元プロ野球選手・横田慎太郎さんとの生前の交流を振り返った。

 2014年から阪神タイガースで活躍しながらも21歳で脳腫瘍を発症、引退を余儀なくされて臨んだ最後の試合で圧倒のラストプレーをファンの胸に刻み付け、2023年に惜しまれながら亡くなった元野球選手・横田慎太郎の軌跡を描く。第38回東京国際映画祭 ガラ・セレクション公式出品作品。

 冒頭、見城徹プロデューサーとともに、映画化から完成までの奇跡を振り返った秋山監督は「慎太郎くんに、君の人生をスクリーンに映し出させてほしいとお願いできたことも奇跡。彼が元気なうちに見に来ると言ってくれていたのに果たせなかったことには悔いもあります」と振り返りつつ、豪華俳優陣を迎えての映画化実現に感激。

 主人公・横田慎太郎を演じた松谷は「今、横田さんに贈る言葉は?」と聞かれると「この4年間、一緒に歩んできたような気持ち。多くの人に慎太郎さんのことを伝えたい。公開まで引き続き見守っていてくださいと伝えたいです」。

 生前の横田さんと交流があったという松谷。しだいに目に涙をあふれさせ「本当にまっすぐな人で、でもどこか天然なところもあって。目の前のことに一生懸命で、目標を立てて1日1日を大切に生きていた方」と涙をぬぐいながら振り返った。

 そんな松谷はもともとプロ野球選手を目指していたと言い、前田拳太郎が演じた阪神タイガースの北條史也選手と「高校の時に実際に対戦したことがあって…。僕はホームランを打たれました(笑)」と明かし、会場の笑いをさそった。

 慎太郎の母役の鈴木、父役の高橋克典、姉役の山崎紘菜という前田家を演じた一同も本当の家族さながら和気あいあい。

 最後に松谷は「一人でも多くの方にこの作品と慎太郎さんのことを知ってもらえたら」とアピールしていた。

 この日の登壇者は松谷鷹也、鈴木京香、高橋克典、前田拳太郎、山崎紘菜、加藤雅也、見城徹(製作総指揮)、秋山純監督。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

山田洋次監督「今の人はとても苦労しながら映画を撮っている」日本映画界の後輩たちへの思い語る

2025.10.29 Vol.web original

 

 第38回東京国際映画祭センターピース作品『TOKYOタクシー』(11月21日公開)の舞台挨拶が29日、日比谷にて行われ、俳優の倍賞千恵子、木村拓哉と山田洋次監督が登壇。映画祭特別功労賞を授与された山田監督が、日本映画の黄金期を振り返りつつ日本映画界への思いを語った。

 2022年に日本でも公開され話題を呼んだフランス映画『パリタクシー』を原作に、山田監督が舞台を東京に移し替え人生の喜びを描くヒューマンドラマ。

 東京国際映画祭の目玉・センターピース作品として大型劇場で上映され、満員の観客から喝采を浴びた一同。

 倍賞は「スタッフ、キャスト全員で富士山より高い『TOKYOタクシー』という山に登ったという思い。忘れられない作品になりました」と笑顔。木村が「家にいてもスイッチ一つで作品を楽しむことができる時代ですが、こうして大きなスクリーンや特別な音響で作品を受け取ってもらえるのは一番うれしいこと」と言うと、山田監督も「僕も撮影しながらいつも、この作品は大きなスクリーンで大勢の人と一緒に見るんだと自分に言い聞かせながら作ってきた気がします」と同意。

 本作が91作目の監督作となる山田監督。映画祭から特別功労賞を贈られると「長生きしてたくさん映画を撮ってきてしまった」と照れ笑い。

 一方で山田監督は「僕が映画界に入った70年近く前、日本映画は充実していて、まさしく黄金時代でした。そのころの映画界は今思うと豊かでゆとりがあった。まだテレビがそれほど普及してなかったし、アジア諸国、韓国や中国にしても映画らしい映画をほとんど作ってない時代でした。映画には大勢の観客が集まった。娯楽の王者と言ってよかった」と振り返り「そこから比べると今はとても厳しい時代。今の映画人はとても苦労しながら映画を撮っている。ときどきとてもかわいそうだと思うことすらあります」と後輩たちへの思いを吐露。

 そんな山田監督に“盟友”倍賞も「監督の熱い思いがひしひしと伝わってきました。今回も監督のもとで仕事ができたこと本当に光栄です。これからもおいしいものをたくさん食べて、“本番行くよ、行くよ”って、なかなか始まらない本番の声なんですけど、これからも映画を撮り続けていただきたいです」とさらなる活躍に期待を寄せていた。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

木村拓哉「幼少期に住んでいた柴又で『男はつらいよ』の撮影を見てました」山田洋次監督と熱いハグ

2025.10.29 Vol.web original

 

 第38回東京国際映画祭センターピース作品『TOKYOタクシー』(11月21日公開)の舞台挨拶が29日、日比谷にて行われ、俳優の倍賞千恵子、木村拓哉と山田洋次監督が登壇。木村が幼少期に体験した、山田監督との“縁”を振り返り熱い思いを語った。

 2022年に日本でも公開され話題を呼んだフランス映画『パリタクシー』を原作に、山田監督が舞台を東京に移し替え人生の喜びを描くヒューマンドラマ。

 本作が91作目の監督作となる山田監督。映画祭から特別功労賞を贈られると「長生きしてたくさん映画を撮ってきてしまった。そのことでほめられて、こんな賞を頂けたんだと戸惑いながらも思っております」と茶目っ気たっぷりに喜びつつ、娯楽にあふれた現代で奮闘する日本映画界の後輩たちへの思いを吐露。

 そんな山田監督に倍賞、木村がお祝いの花束を贈り、木村は監督と熱いハグ。

 スピーチを終えて椅子に座った山田監督の口元の高さにマイクを合わせるなど、自然な気配りを見せていた木村。本作の物語の始まりの場所であり、山田監督の『男はつらいよ』シリーズの舞台・柴又について聞かれると木村は「自分は幼少期に柴又に住んでいたこともありまして。実際に『男はつらいよ』の撮影に人だかりができている中の“人だかり分の1”として“何やってるのこれ?”と。その光景を見ていたんですよと監督に言ったら“そうなのか、君はいたのか”という言葉を頂きました(笑)」。

 懐かしそうに振り返りつつ、今回の柴又での撮影に「あの町自体が、山田組がここでまた撮影をしてくれる、という…山田組の者だけではなく現場全体の空気感が、もう一度脈を打ち出したような感じがしていました」と感慨深げ。

 さらに木村は山田監督の特別功労賞受賞に「監督は本当にいろんなことに興味や愛情をお持ちになられていて、だからこその現役なんだなと。それが今回の賞につながっているんだと、今ずっと考えていました」と生涯現役の山田監督をたたえ「皆さんも、こういう先輩がいると、もう1回やる気が出ますよね。本作を見てくださった方なら、こんな先輩がいるんだなと、生きていく力というか現役でいる力を受け取っていただけるんじゃないかなと思います」と熱いメッセージ。

 木村の祝福に山田監督も「ありがとう、木村くん」とうれしそうに笑顔を見せていた。

 第38回東京国際映画祭は11月5日まで日比谷・有楽町・丸の内・銀座地区にて開催中。

齊藤京子「日本の暗黙の了解“アイドルの恋愛禁止”」題材「この役を演じたいと強く思った」

2025.10.28 Vol.web original

 

 映画『恋愛裁判』(2026年1月23日公開)のジャパンプレミアが28日、日比谷にて開催中の第38回東京国際映画祭で行われ、主演の齊藤京子らキャスト陣と深田晃司監督が登壇。昨年、アイドルを卒業した齊藤が、劇中で演じたグループの再結成に意欲を見せた。

「元アイドルの女性に賠償命令」が言い渡された実際の裁判に着想を得て、日本独自のアイドル文化と暗黙の「恋愛禁止ルール」に鋭く切り込む話題作。

 主人公・山岡真衣を演じるのは、元・日向坂46でセンターを務めた経験を持つ齊藤。完成した作品に「ドキュメンタリーを見ているかのようでした」と振り返り「私が演じた真衣のアイドルに対してやグループへの思いに共感して、この役を演じたいと強く思いました」と役への思い入れを語った。

 2015年に、アイドルが恋愛をしたことで事務所から訴えられたという2件の裁判をニュースで知ったことが企画のきっかけとなったという深田監督。「この人たちや事務所はどういう気持ちだったんだろう、と。10年かけて映画にしていきました」と振り返りつつ、メンバー役のキャストたちに「俳優とアイドルが入り乱れるオーディションで出会った素晴らしい5人のおかげ」と感謝。

 この日は、齊藤とともに劇中アイドル「ハッピー☆ファンファーレ」のメンバーを演じた仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜ひなのも登壇。小川以外は現役またはアイドル経験者という顔ぶれ。私立恵比寿中学の現役メンバー、仲村からは「アイドルをやっている身として役に葛藤もあったんですけど…」という声も。

 難役をともに乗り越えたメンバーたちとすっかり意気投合した様子の齊藤。最後に「日本の暗黙の了解であるアイドルの恋愛禁止を題材にした作品。私もアイドルグループに所属して昨年、卒業したんですけど。劇中で演じたハッピー☆ファンファーレが大好きで、クランクアップのときには号泣してしまったくらい(笑)。なんならどこかで結成できたら…というくらい。それが映画にもしっかり反映されているので気負わずにメンバーたちの姿をほほえましく見ていただけたら」とアピールしていた。

 この日の登壇者は齊藤京子、仲村悠菜、小川未祐、今村美月、桜ひなの、深田晃司監督。

ジュリエット・ビノシュ、MEGUMIの言葉に照れ笑い「私が世界で一番かっこいい女性と思ってる方」

2025.10.28 Vol.web original

 

 フランスの俳優ジュリエット・ビノシュが28日、第38回東京国際映画祭で上映された、自身の初監督作『IN-I IN MOTION』のQ&Aに登壇。同作の共同プロデューサーを務めたMEGUMIもかけつけ、2人の出会いを振り返った。

 MEGUMIから花束を贈られ満面の笑顔を見せたビノシュ。MEGUMIが「私が世界で一番かっこいい女性だと思っているビノシュさんの作品に携わることができてとてもうれしいです」と言うと、ビノシュも照れつつ「MEGUMIさんにサポートしていただけたこと、私の人生に加わってくれたことは本当にうれしいです」。

 2人の出会いを聞かれたMEGUMIは「初めてお会いしたのは、カンヌ国際映画祭で私が主催したジャパン・ナイトというイベントの特別ディナーでご挨拶させていただいたときでした」と振り返り、ビノシュの作品作りや俳優としての姿勢に共鳴し共同プロデューサーとして参加したとのこと。

 そんなMEGUMIにビノシュも「MEGUMIさんも女性に関わるプロジェクトをされているということで私もとても共感しています」。

 観客とのQ&Aでは熱心な質問が飛び交い、ビノシュも真剣回答。

 2007年の舞台をドキュメンタリー化した理由を聞かれ「舞台は2007年から半年ほど上演し、最終公演をNYで行ったんですが、そこにロバート・レッドフォードさんが来てくださって“これを映画にするべきだ”と言ってくださったんです」と、9月に急逝した名優ロバート・レッドフォードの言葉がきっかけだったと明かし、観客を驚かせていた。

『IN-I IN MOTION』は2007年に上演したビノシュ自身の舞台『IN-I』を題材に10年以上の年月をかけて製作されたドキュメンタリー映画。振付家のアクラム・カーンとビノシュという異なる文化的背景を持つアーティスト2人が即興と対話を通じて「人を愛するとは」というテーマを探っていく姿を映し出す。

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