SPECIAL INTERVIEW 高橋一生×片桐 仁×塚地武雅

M&Oplaysプロデュース『ライクドロシー』11月8日開幕
 長澤まさみの2本目の舞台出演となる『ライクドロシー』が11月8日から下北沢の本多劇場で上演される。本作は『オズの魔法使い』を下敷きに描かれるシュールでファンタジックなコメディー。ドロシーを支えた脳の無いカカシ、心の無いブリキの木こり、臆病なライオンよろしく、高橋一生、片桐仁、塚地武雅が長澤演じるヒロインと一緒に天敵に挑んでいく。
撮影・蔦野裕
まるでコントトリオのようなトークを展開 !!

 オズの魔法使いの役割からいくと、脳の無いカカシ=高橋、心の無いブリキの木こり=片桐、臆病なライオン=塚地といったところなのだが、ふだんの3人のイメージからはちょっとずれていてシャッフルされている感じ。
片桐「僕はこんなタイプの役はやったことがないと思います。でもこの中だったら今回演じる役が一番自分に近いかな、とは思います。ふだんやる役は他の2人がやるようなものが多いですね」
高橋「僕はふだんはブリキの木こりのような役をやることが多いんですが、いつもと違う役をやらせてもらって、とっても楽しく稽古させてもらっています。ホント“楽しいな〜”っていう感じです」

 まずは今回の作品の印象から。
片桐「僕は倉持さんの脚本が4回目なんですが…。一生君は2回目?」
高橋「はい」
片桐「勝手知ったる、というところもあったんですけど、今回は悪人役という今までやったことのない種類の役なんで、ひとつひとつ大事にやっていかなきゃ、とドキドキしています」
高橋「舞台美術が紙芝居のような感じで、“そういう方向性なんだな、楽しいな”って思いました。倉持さんのコメディーは初めてなので、なおさら楽しみになりました」
塚地「まさみちゃん以外が全員ボケという特徴のある人たちなので、最初の読み合わせの時に一生君のパートのところでドハマりするところがあって笑いが止まらなくなっちゃって」
片桐「一人だけ笑いが止まらなかったね」
塚地「本番が怖いです。舞台上で笑ってしまいそうで」
片桐「なれないまま本番いっちゃったりして」
塚地「お客さんより先に笑ってしまったりして。“来るぞ来るぞ”って」
片桐「(笑)“あれ今日も言うぞ”ってね。でも言わないと話が進まないから」
塚地「落ち着ける自信がないですね。とにかく面白くて」
 コントをやる者としては羨ましい!?
塚地「でも、出てくる全員が面白いんで、どの役をやっても面白いと思うんです。一番常識的であるはずのまさみちゃんだって…どっちかというとボケだから」
片桐「ボケだね」
塚地「なんていうんでしょう。四方八方に笑いが飛んでいく感じなんで」

 高橋はコメディーは初体験。
高橋「僕はふだんは恥ずかしくてあまり楽屋には行けないんですけど、倉持さんが作・演出の『鎌塚氏、放り投げる』を観させていただいたときに、あまりに面白くて“倉持さん、コメディーがやりたいです”って直談判したんです。それがかなったんで、とってもうれしいですね」

 塚地は今回が舞台初出演となる。
塚地「僕も『鎌塚氏、放り投げる』を観させていただいたんですけど、僕はWOWOWで『囚われつかじ〜13人の容疑者〜』というエチュードの番組を倉持さんとやらせてもらったことがあって。プラス今やっている『LIFE』っていうコント番組に倉持さんも入っていらっしゃるんで、見知らぬ人じゃないからやらせていただいたっていうと変ですけど、倉持さんじゃなかったらやってなかったかもしれません」

 コントと演劇は全然違う?
塚地「そうですね、脚本の読み合わせからなにから勝手が分からなかったので。自分たちでライブをやるときは誰にどうこう言われることもなく仲間内でわーってやっているから、そのへんの節度みたいなものが分かってなくて…。どれくらいはしゃいでいいのかとか私語はどれくらいしていいのかとか(笑)」
片桐「私語ってなに? 私語って?」
塚地「普通に居る状態でどれくらい私語をしゃべっていいのかですよ。片桐さんはばんばん私語を入れていくから(笑)」
片桐「俺、緊張感なかったよね〜(笑)。笑っちゃうから」
塚地「スタッフさんが挨拶している時も“ちいせえな〜聞こえねえな〜”とか言ってるから(笑)。俺はそれでも聞き取らなあかんのやと思ってましたから(笑)」
片桐「マネジャーに“もう全然聞こえないから言わなくていいよもう”とかって(笑)」
 この態度は稽古場では正しいんですか?
片桐「正しくないですよ(笑)。なめてるんじゃないかと思われたかもしれないんですけど、僕も緊張しているんで、自分を落ち着かせたいと思ったら口数が増えちゃうんです(笑)。で、隣に塚地ちゃんがいるから“聞こえた?”とか言わなくてもいいこと言っちゃうんですよ」
 舞台やる人は小声で喋っても声が通っちゃう。
片桐「僕はそんなに通らないんですよ。それが悩みのタネなんですよ」




撮影・蔦野裕
 初共演とは思えないほど息がぴったりの3人。ここで片桐と塚地から見た高橋のイメージを聞いてみた。
片桐、塚地「いや〜、本格俳優」
片桐「どんな役にでも染まる。もう〜屈託ないしね、東京出身の人が持つ独特の余裕みたいなものがあるんですよ。都心で育っているというのがやっぱり大きいのかな。僕は埼玉出身なんですが、東北のいとこには“東京に住んでる”みたいな嘘ついてましたから(笑)。そういうのじゃないけどなんかある(笑)。実体験なんでしょうけど、“タモリ倶楽部で東京港区の坂を上った”みたいな話を普通になんの気負いもなく言うあたり、東京に対するコンプレックスがないというのが、彼が持つ余裕みたいなものにつながっているんだろうなって」
高橋、塚地「(笑)」
片桐「俳優としてのなんか…男前も相まって…」

 演技に表れているというか…。
片桐「演技に表れているかどうかはちょっと分からないんですけど(笑)、佇まいに出ている感じはありますね。前から“何なんだろうこのふんわりした感じは?”って思っていたんですけど、“東京出身だから”って答えが今出ましたね」
高橋「こんなことになるとは思わなかった(苦笑)」
塚地「今回の役みたいなのは、ちょっとびっくりしますね」
高橋「今までないですよね」
塚地「笑っちゃう、ホント笑っちゃう(笑)」

 続いて片桐、高橋から見た塚地のイメージは?
片桐「僕はデビューも同じくらいで、まだ無名でお客さんも全く入っていないころからずっとお笑いで一緒にやってきましたから。『はねるのトびら』に始まり、今やコントの神様ですから」
塚地「いやいや」
片桐「天才塚地の名を欲しいままにしていますから」
塚地「いやいや」
片桐「いつ本気を出すのかなっていうのがありますけどね」
高橋、塚地「(笑)」
 まだ本気を見たことがないと。
片桐「も〜う全然」
塚地「(笑)」
片桐「1割5分…ぐらいじゃないですか。本番前くらいに3割くらいまで上げてってくれるのかなっていうのはあるんですけど」

 もうそろそろ初日だが3割くらいで大丈夫?
塚地「本番を4と考えてますから(笑)」
片桐「千秋楽が10くらい(笑)」
塚地「そう。打ち上げで10」
片桐「見たことないよ。打ち上げではしゃいでるの。おとなしいじゃない。“おまえら〜”みたいのないじゃない(笑)」
高橋「僕はテレビを見ないんですけど」
片桐「これも東京出身なんでね」
高橋「違いますよ(笑)」
片桐「あ、すいません(笑)」
高橋「アンテナをつないでないんですよ。『はねるのトびら』とかレンタルで出ているDVDを借りちゃうくらい塚地さんが好きだったんです。お芝居されてる作品もレンタルで見させてもらって、素敵な人だなって思っていたので、今回ご一緒できてうれしいんです」

 最後に塚地、高橋から見た片桐の印象は?
塚地「なんでしょうね。多才な男ですから。携帯のカバーを見てもそうですけど」
高橋「もうびっくりしました」
片桐「誰も使ってくれないんで、自分で使ってるんです」
塚地「なんなんでしょうね。謎めきすぎているというか。ボケもツッコミもできて芝居もできる。我々の世代の超エリート…」
片桐「いやいや(笑)。ホントやめてそれ」
塚地「なんだってできる」
片桐「いや、なんにもできないから(笑)」
塚地「子供向けから…ね。すべて…できる…」
片桐「いやいや(笑)」
塚地「見た目のインパクトといい(笑)」
片桐「ちょっと待て(笑)」
塚地「俺みたいな普通の体の奴からしたら…」
片桐「どこが普通の体なの? 囚人役なのになんちゅう体してるんだよ(笑)」
塚地「よっぽど食事がええ刑務所なんだな」
片桐「これで俺らがガリガリだったら面白いな、絵的に」
塚地「でもホント舞台で一緒にやらせてもらうのは楽しみですね」
高橋「僕はラーメンズのコントも見せていただいていて…」
片桐「ユーチューブで」
高橋「はい…(笑)。いや、そうじゃなくて。DVDもいっぱい出てるじゃないですか。だから楽屋でお会いしてご挨拶させていただいたりとか、その後の打ち上げで何席か隣にいたときに“あっ片桐さんだ”とか思ってました」
片桐「そういう場面は多いですよね」
高橋「ええ。なので初めて共演できてとても楽しみです」

撮影・蔦野裕
 高橋はコントはもともと好きなようだ。
高橋「僕、コメディーが大好きなんです。なのになぜか神経質な役とか猟奇的な役とか、いただく役がすごく偏っているので、こういう形でお二人とご一緒できるのはうれしいんです」

 この作品をきっかけにこういう役も来るようになりそう。
高橋「ぜひそうなると…。そう書いといてください(笑)」

 では最後に3人から見た長澤まさみって?
塚地「空き時間がね、元気(笑)」
片桐「いつ休んでるんだってね(笑)」
塚地「太陽みたいな感じ」
片桐「(チラシを見ながら)小悪魔みたいな」
塚地「ちょっとなんかこう…人いじったりみたいな、なんとなくのSっぽさもある人だから、面白くなると思いますね」

 長澤の初舞台だった『クレイジーハニー』の印象は?
高橋「舞台をちゃんとやっている人のようにしっかりお芝居をされていて “こっちもできちゃう人なんだ”っていうところがすごい印象的でした。ふだんは分からないんですけど、今までお芝居の役的に“静の人”っていうイメージがあったんですが。こういうはじけたこともできる人なんだなって思いました」

撮影・蔦野裕
 今回の長澤の役どころは?
高橋「今回のまさみちゃんの役は天性の小悪魔感が内在しているっていうか内包している役だと思うので…」
片桐「いいね、天性の小悪魔感」
塚地「天性の小悪魔感」
高橋「なので、すごくぴったりの役なんじゃないかなって思います」

 もともと長澤とは?
塚地「僕は何度か共演したことがありまして」
高橋「僕も面識はありました」
片桐「僕だけ全く会ったこともなかったんです。“可愛いぞ、可愛いぞ”ってみんなが言っているので、どれほどの人が来るんだろうって思っていたら…」
高橋「びっくりしますよ」
塚地「“うそやん”って思いますよ。“この顔のサイズでこのバランス?”とか」
片桐「って2人が言っていたんですけど、ホントでした」

 片桐、塚地というコントの「エリート」と「神様」はもちろん、今まで役柄上披露する機会のなかった高橋のコメディー好きの部分が絶妙に絡み合ったインタビュー。塚地が語った「お客さんより先に笑ってしまうかも」という作品になるのは間違いなさそうだ。
(本紙・本吉英人)
『ライクドロシー』
【日時】11月8日(金)〜24日(日)【会場】本多劇場(下北沢)【料金】全席指定7000円【問い合わせ】森崎事務所(TEL:03-5475-3436=平日11〜18時[HP]http://www.morisk.com/http://www.morisk.com/)【作・演出】倉持 裕【出演】長澤まさみ、高橋一生、片桐 仁、塚地武雅、川口 覚、竹口龍茶、吉川純広、銀粉蝶