4年後の北京五輪を見据えたよりハイレベルな戦い【グランプリシリーズ 20日開幕】

 フィギュアスケートのグランプリシリーズは、2018年10月20日 (日本時間)から開幕する。昨シーズンには平昌五輪を熱狂のうちに終え、2022年の北京五輪に向けてまた新しい4年間が幕を開けようとしている。今回のグランプリシリーズには、日本から総勢16名(男女シングル)の選手が出場予定だ。その主な顔ぶれと、今シーズンから適用される新ルールのポイントに触れながら、シリーズ全体の展望を概観する。
宮原知子、2018 ジャパンオープン(写真:築田純/アフロスポーツ)
■女子シングル■

 昨シーズン、平昌五輪代表の座をめぐり熾烈な戦いが繰り広げられた日本女子。その結果は、宮原知子と坂本花織の五輪ダブル入賞、世界選手権での宮原と樋口新葉のダブル表彰台という高成績をもって世界に証明されることとなった。シニア1年目の強く個性豊かな選手たちも加わった新たなシーズン、よりハイレベルが見込まれる4年後の北京五輪を見据えた戦いが始まる。

 宮原は、初戦を終えてより洗練された印象を残した。これまでも多ジャンルの楽曲に挑戦して魅力を見せつけてきたが、今シーズンのプログラムはショート/フリーとも、心身ともに成長し大人になった宮原の姿が際立つものになりそうだ。男女共通の新ルールにより、ジャンプやスピンなど各要素の出来栄え点(GOE)の幅が、±3点の7段階から±5点の11段階に拡張された今シーズン。これまでもジャンプの回転不足が不安視されてきた宮原だが、スピンやステップ他の技術は一流だ。思い切ったジャンプと質の高い演技が揃えば、より高い出来栄え点が期待できる。
紀平梨花、 2018 ドリーム・オン・アイス(写真:田村翔/アフロスポーツ)
 ここで特筆すべき存在は、先月行われた大会で見事に優勝し、3回転半ジャンプをフリーで2本決めた紀平梨花だろう。昨シーズンまではジュニアで活躍(ただし推薦で出場したシニアの全日本選手権では3位)、今シーズンがシニア1年目だが、その実力はすでにトップクラスに達している。かつて浅田真央が第一線で武器とした3回転半を取り入れ、他のジャンプとほぼ変わらない短い助走から綺麗に跳ぶ技術を持つ。柔軟性も高く、しなやかでエレガントな演技も持ち味。満を持してシニアに本格参戦する16歳がどこまで伸びるか注目したい。
坂本花織、2018 ジャパンオープン(写真:築田純/アフロスポーツ)
 宮原に続く2番手として名乗りを上げ、平昌五輪で見事に6位入賞を果たした坂本花織。今シーズンは、昨シーズンの挑戦者との位置付けからはまた異なった、五輪経験者というポジションでのスタートになる。高いジャンプに速いスケーティング、全身からパワー溢れる演技が魅力の坂本が、今シーズンも引き続き日本選手を引っ張る存在になれるか。

 五輪代表からは惜しくも外れたものの、世界選手権では銀メダルに輝いた樋口は、今シーズン初戦ではやや精彩を欠いた。特にフリーは直前にプログラムを変えたこともあって、ジャンプを跳ぶスピードとパワーが噛み合わなかったかもしれない。とはいえ、各要素がきちんとはまってくれば、グランプリシリーズの頂点であるグランプリファイナル出場も十分に射程圏内に入れられる選手だ。今シーズンも魅力たっぷりの演技を見せてほしい。

 紀平と同じくシニア1年目の選手からは、昨シーズンに世界ジュニア選手権で3位に入った山下真瑚も出場する。日頃から坂本と同門で切磋琢磨し世界選手権への参戦経験も持つ三原舞依、上品かつやわらかな演技で日本国内では実力派として知られる松田悠良、今シーズンから拠点をアメリカに移し新たな戦い方を模索する本田真凜など、日本女子のトップ選手層はますます厚くなっている。新たに生まれるドラマから目が離せない。

(文・尾崎茉莉子)
◆グランプリシリーズのスケジュール(日本時間)、出場予定選手

第1戦アメリカ大会(10/20〜22):宮原知子、坂本花織、本田真凜
第2戦カナダ大会(10/27〜28):宇野昌磨、友野一希、樋口新葉、山下真瑚、松田悠良
第3戦フィンランド大会(11/3〜4):羽生結弦、田中刑事、坂本花織、本郷理華、白岩優奈
第4戦日本大会《NHK杯》(11/9〜11):宇野昌磨、佐藤洸彬、山本草太、宮原知子、三原舞依、紀平梨花
第5戦ロシア大会(11/16〜18):羽生結弦、友野一希、樋口新葉、松田悠良、山下真瑚
第6戦フランス大会(11/23〜25):田中刑事、三原舞依、本田真凜、紀平梨花
グランプリファイナル(12/7〜10):第1〜6戦を終えた段階で、各カテゴリーのポイント上位6名が出場する


※初出稿時、樋口新葉選手の世界選手権での結果に誤りがありました。樋口選手、関係者の皆様、そして読者の皆様にお詫びし、訂正いたします。