【江戸瓦版的落語案内 】干物箱(ひものばこ)

2017.09.03 Vol.697
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
 伊勢屋の若旦那、銀之助は大の遊び人。吉原の花魁にうつつを抜かし、毎日毎日遊び惚けている。さすがに堪忍袋の緒が切れた主人が、外出禁止令を出し、若旦那は謹慎中の身に。しかし毎日こう暑くっちゃたまらない。汗を流しに湯屋に出かけることだけは、なんとか許可してもらった。  久しぶりの外出にウキウキしながら湯屋に向かう。しかしふとあることを思い出し、湯屋とは反対方向に進むと、そこは貸本屋の善公の家。実はこの善公、声色が得意だと評判の男。「おい、善公。お前、俺の声色はできるか?」「いよっ!若旦那。もちろんでございます。この前なんか、亀清での宴会でお前さんの声色をやったら、お宅の親父さんがあなたが遊んでいると勘違いして、怒ったぐらいですから」と言う。  「そりゃ、好都合。実は俺がこれから吉原に行って花魁と遊んでいる間、家で俺の声色をして親父を安心させてほしいんだ」。一緒に遊びに行けると思った善公、残念がるも羽織一枚と小遣いをもらい引き受けることに。念のため、一緒に家に帰り外から善公が「お父っつあん、ただいま帰りました」「おお、今日は早く帰ってきたな。お帰り。早く寝なさいよ」。しめしめ、だまされた。銀次郎、安心して吉原に向かい、善公は玄関脇の梯子段を上り2階へ。「やれやれ、このまま何事もなく銀さんが帰ってきてくれればいいが…」  しかし、そううまくは運ばない。「おーい、銀次郎。銀次郎や」と階下から親父の声。「今朝方届いた干物は、何の干物だった?」「(えーーっ、そんなの聞いてないよ)えっと、お魚の干物です」「ばかやろう、魚に決まってるだろう。じゃ、それはどこにしまった?」「あの、あの…干物箱に」「なんだい、干物箱って。とにかくそのままだとネズミがうるさくて仕方ないから、下に持ってきておくれ」「それは…。無理です。えっと、イタタタタ。お腹が痛くて」とごまかすが、様子がおかしいと思った親父が2階に上がってきてしまった。  「やや、お前は善公。さてはせがれに頼まれたな」。その時、外から銀次郎の声が聞こえてきた。「善公、ちょっと窓を開けてくれ。実は財布を忘れちまって。引き出しの中に入っているから、そっと上から落としておくれ」。すると親父「この罰当たりめ。どこを歩いてやがる」その声を聞いた銀次郎「あはは、善公は器用だな。親父にそっくりだ」

【江戸瓦版的落語案内 】七段目(しちだんめ)

2017.08.28 Vol.696
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
 芝居道楽な若だんな、日常の些細なことまで芝居口調になり見得を切ったり、家業そっちのけで芝居小屋に入り浸ったり。今日も今日とて朝から芝居見物に出かけ、なかなか帰ってこない。夕方意気揚々と帰ってきたところ父親である旦那が呼びつけていろいろ意見をしても、当の本人はどこ吹く風。  逆に「遅なわりしは拙者が不調法」と忠臣蔵・三段目の定番のセリフで返してくる。そんな息子に旦那も我慢の限界。2階へ追い払い、軟禁状態にした。しかし、そんなことでへこたれない若旦那は、相変わらず芝居の世界に没頭。「とざい、とーざーい!」と奇声を発し続けている。これにはさすがに閉口した旦那が、小僧の定吉に申し付けて、芝居の真似をやめるように命じた。  だがこの定吉、若旦那に負けないぐらいの芝居好き。ついつい「やあやあ若だんな、芝居の真似をやめればよし…」と芝居調子で部屋に行くと若旦那、一緒に芝居をする仲間ができたと大喜び。『かな手本忠臣蔵』の七段目・祇園一力の場面をやろうと言い出した。自分が平右衛門、定吉をお軽に芝居をしようと思ったが、小僧の身なりでは気分がでない。  そこでやるからには衣装も整えようということで、箪笥から妹の赤い長襦袢を出し定吉に着せた。となると自分も気分を出すために、床の間から本身の刀を持ち出した。これに驚いた定吉「さすがに真剣はいけません。斬られたら死んでしまいます」と頼むも「決して抜きはせぬ。真剣のほうが、迫力が出るんでな。そんなに心配なら、ほれ、こうして刀の鯉口をこよりで結ぼう」と言うので、定吉は渋々了承。最初は楽しくやっていた2人だが、平右衛門が、妹・お軽が仇討ちを知ったことから、その本懐のために可愛い妹を手にかけるという場面で、どんどん気持ちが盛り上がる。「妹、命は貰った!」と叫んで真剣をつかむとじりじりと定吉の方に。 「若旦那、それを抜いちゃいけません」という声も耳に入らぬよう。こよりなど、とっくに切って、刀を振り回した。定吉、たまらず逃げ回り、そのはずみに階下へゴロゴロと転落。旦那が慌てて「定吉、大丈夫か?」と聞くと「私には勘平さんという夫のある身」とまだ芝居の続き。「馬鹿野郎。小僧に夫があってたまるか。変な格好をして、さてはあの馬鹿と芝居の真似をして、てっぺんから落ちたか」「いえ、七段目」

【江戸瓦版的落語案内 】湯屋番(ゆやばん)

2017.08.04 Vol.695
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 道楽の末、親許を勘当された若旦那が、出入りの大工・熊五郎宅の二階に居候をしていた。働きもせず、毎日ゴロゴロと寝ている若旦那に、熊五郎が奉公でもしてみたらと進めた。しばし考えてた若旦那、熊五郎の知り合い湯屋が奉公人を募集中と聞き、乗り気に。紹介状を持ち湯屋に行き戸を開けるなり、女湯に飛び込んだ。驚いた湯屋の主人、とりあえず外回りを頼むというと「いいですね。芸者を連れて温泉地の視察ですか」ととぼけた答え。燃料にするための木屑集めだと言うとキッパリと拒否。 「そんなことより、番台に座らせて」と図々しいことこの上ない。その強引さに仕方なく主人が昼飯をとる時間に、代理で座らせる事に。ところが、男湯には客がいるが、女湯は空っぽ。しかも男湯の客といえば、汚いケツで、おまけに毛がびっしり野郎ばかり。そんな現実から妄想の世界へ…。 そのうちに、いい女がやって来るんだ。その女がなんとこの俺に一目ぼれ。連れの女中に「あら、ごらんなさい。ちょいと乙な番頭さんだね」。うしし…照れるなー。ある日偶然その女の家の前を通りかかると女中が目ざとく見つけ、「姐さん、憧れの君、お湯屋の番頭さんですよ」って家の中に声をかけるね。すると女は、泳ぐように出てきて、「ちょっと上がっていって下さいな」って俺の腕をつかむんだ。 「いえ、それは困ります」「いいじゃないですか」「いやいや、それは…」と一人で手を引っ張ったり、引っ張られたり。「おいおい、番台に変な野郎がいるぜ」と、客が集まりだしてきた。そんなことにも気が付かず、一人芝居はエスカレート。家に上がり込むと、2人は盃をやったりとったり。その時ちょうどいいタイミングで雷が落ち、女は癪を起して気を失ってしまった。 そこで、盃洗の水を口移しで飲ませる。すると女は目を開き「今のは嘘」。ここでさらに芝居がかり、「雷様は恐けれど、二人がためには結ぶの神」「うれしゅうございます。番頭さーん」「馬鹿野郎、いい加減にしろ!」とうとう客がブチ切れた。「俺は帰る! 下駄はどこいった?」すると若旦那「はて? 見当たりませんね。じゃ、そちらの高そうな下駄を履いてお帰りなさい」「ほかの人の下駄じゃねえか。履いてったらそいつが困るだろう」「いえ、順に履かせて、しまいの人は裸足で帰らせます」

【江戸瓦版的落語案内】紺屋高尾(こうやたかお)

2017.05.22 Vol.691
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

【江戸瓦版的落語案内】王子の狐(おうじのきつね)

2017.03.13 Vol.686
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

【江戸瓦版的落語案内 】心眼(しんがん)

2016.06.27 Vol.669
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

 浅草馬道に住む按摩の梅喜(ばいき)が憔悴しきった面持で、横浜から帰って来た。女房のお竹が訳を聞くと横浜の弟から「また食いつぶしに来たな。この穀つぶしのメクラが」と言われたのだと告白。幼くして両親を亡くした梅喜が親代わりとなって育てた弟だったから、その悔しさ、怒りは計り知れない。いっそ、弟の家の軒先で首をくくって死んでやろうかとも思ったが、お前が悲しむと思い帰って来たと。それを聞いたお竹は、「茅場町の薬師様に願掛けをしに日参し、片方だけでもいいから目が開くように信心しましょう。私も自分の命を縮めてもいいから、一緒に願をかけます」と言ってくれた。そして満願の日—。薬師へ詣での帰り道、得意先の上総屋の主人が声をかけてきた。「梅喜さん、目が開いてるじゃないか」はっと気が付くと、なるほど見えている。しかし、目が開いたら開いたで帰り道が分からなくなってしまい、上総屋さんに手を引いてもらいながら帰ることに。途中、人力車に乗るきれいな芸者を見て上総屋の主人に「うちのお竹とどちらがきれいでしょうね」と尋ねると「本人を前にして言うのは気が引けるが、あれは東京でも指折りの芸者、そしてお前さんの女房のお竹さんは、東京で指折りの醜女だ。しかし、大変気立てが良く、日本でも指折りの貞女だ」。がっかりした梅喜だが、ふと気が付くと上総屋の主人とはぐれてしまった。途方に暮れていると芸者の小春に声をかけられた。前から男前の梅喜が気になっていた小春、富士横丁の待合に梅喜を誘った。杯をさしつさされつしていると小春が「ずっとお前さんのことを思っていました」と告白。舞い上がった梅喜は「お竹とはきっぱり別れて、お前さんと一緒になる」と怪気炎。そこへ、梅喜の目が開いたことを上総屋から聞いて駆けつけたお竹が乗り込んできた。いきなり梅喜につかみかかると「こんちくしょう、この薄情野郎!」「お、お、お竹、勘弁してくれ。手を放してくれ」。しかしお竹がさっきより強く首を絞めると「く、く、苦し…」と絶命寸前の梅喜。その時「梅喜さん、梅喜さん。起きておくれ」と声が。ハッと我に返ると、「夢だったのか…」「どうしたんだい。ずいぶんとうなされていたようだけど」「お竹、俺はもう信心をやめるよ」「なぜさ」「目が見えないって妙なものだね。寝ているうちだけ、よおく見える」

【江戸瓦版的落語案内】味噌蔵(みそぐら)

2016.06.13 Vol.668
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

【江戸瓦版的落語案内】妾馬(めかうま)

2016.05.23 Vol.667
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。

【江戸瓦版的落語案内】金明竹(きんめいちく)

2016.04.23 Vol.665
 落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。