「上流階級」を舞台に、アラサー女子たちの葛藤と成長を描く傑作長編

『あのこは貴族』【著者】山内マリコ
 華子は東京生まれ、東京育ちの箱入り娘。小学校から大学までカトリック系の名門私立女子校に通い、父親のコネで就職。お正月には家族そろって帝国ホテルで食事をし、家族写真を撮る。そんな典型的な東京のいいとこの子である華子だが、27歳になる年に、結婚を意識していたボーイフレンドにふられてしまう。友人が次々結婚、婚約し焦る華子は、知り合いから男性を紹介してもらうも、イマイチぴんと来ない。

 そんな時、お見合いしたハンサムで家柄も申し分のない弁護士・青木幸一郎に初対面で恋に落ち…。対して、さびれた地方都市生まれで東京在住のOL、美紀。猛勉強の末、慶應大学に合格し、逃げ出すように閉塞感のある田舎から上京。

 しかし、そんなに苦労して入った大学では、内部進学者との圧倒的な違いに打ちのめされてしまう。まぶしいぐらい華やかで、何に対しても臆することなくキャンパスライフをおう歌する彼ら。お高くとまっているわけでもなく、むしろ誰にでも気さくに分け隔てなく話してくれることすら、家柄がいいという事の証しなのだ。そんなコンプレックスを抱えながら、必死に生きていた美紀だが大学を中退、一時は夜の世界で働くようになる。そこで出会った元同級生の青木幸一郎と、だらだらと付き合っていたのだが…。境遇のまったく違う2人の女性が、ひとりの男によって、その運命が交差する。結婚をめぐる葛藤と、呪縛からの解放、そして自分らしく生きるという事とは。

 女性なら誰でも一度は悩む問題を、ど真ん中から見つめた渾身の作品。

【定価】本体1500円(税別)【発行】集英社
山内マリコ(やまうち まりこ)
1980年、富山県生まれ。2008年に「女による女のためのR-18文学賞」で読者賞を受賞。12年『ここは退屈迎えに来て』で作家デビュー。地方に生きる女子たちのリアリティを見事に描き出し、様々なジャンルのクリエイターから称賛を受ける。主な著作に『アズミ・ハルコは行方不明』『さみしくなったら名前を呼んで』『パリ行ったことないの』『かわいい結婚』など。16年12月、『アズミ・ハルコは行方不明』が蒼井優主演・松井大悟監督で映画化。