【オススメ書店イベント】『必死すぎるネコ ~前後不覚篇~』刊行記念イベント

2019.09.15 Vol.722
 5万部のベストセラーとなった写真集『必死すぎるネコ』。待望の第2弾『必死すぎるネコ ~前後不覚篇~』(辰巳出版)の刊行を記念して猫写真家・沖昌之が登場するイベントが2カ月連続で行われる。前作にも増して一生懸命なのになぜかおかしいネコたちをとらえた写真集とともに、著者の人柄にも触れてみよう。

気鋭のジャーナリストとノンフィクション作家がトークイベント 宮下洋一、河合香織が語る「命」は誰のものなのか

2019.09.07 Vol.722
 前著『安楽死を遂げるまで』で世界6カ国にわたる安楽死と自殺ほう助の現場を取材した宮下洋一。その続編となる『安楽死を遂げた日本人』の刊行記念イベントが、下北沢の本屋B&Bで行われた。ノンフィクション作家の河合香織を招き、“生”と“死”という対極のテーマを扱う2人が、「命」の当事者とは誰なのかを語り合った。  冒頭で司会者が河合の著書『選べなかった命 出生前診断の誤診で生まれた子』が第18回新潮ドキュメント賞を受賞したことに触れ、この日は同賞の候補作でもあった宮下との恩讐を超えた対談であることを強調すると、会場は祝福の拍手に包まれた。  安楽死に対して中立的な立場の宮下は「欧米は個人主義で、死に対しても自分の意志が通りやすい。日本では死が個人のものではなく、むしろ家族のものであるんじゃないか」と死生観の違いを語る。河合は本書を「前作よりさらに個別の事情を取り上げて生きるとは? 死ぬとは?という問題を描いている」と絶賛し「昔から“畳の上で死にたい”といいますが、その言葉には家族や親しい人に見守られて『ありがとう』、『大好きだよ』と言って死んでいくことも含まれている。主人公の女性はある意味そういう思いをスイスで実現していて、死は自分だけでなく家族のものであるというのをすごく感じました」と感想を述べた。

カリスマ書店員3人が日比谷でトークイベント“マジ絶望”な世の中を生き抜くヒントとは?〈後篇〉

2019.08.11 Vol.Web Original
 盛岡市のさわや書店を退職し、現在は出版取次会社に勤務する長江貴士が2作目の著書『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんてマジ絶望』(以下、『マジ絶望』)を上梓。刊行を記念したトークイベントが中央区のHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEにて行われた。聞き手は同店店長の花田菜々子と元三省堂書店で現在同店勤務の新井見枝香。Vol.721に掲載しきれなかったエピソードを含め、前篇・後篇に分けてお届けする。

カリスマ書店員3人が日比谷でトークイベント“マジ絶望”な世の中を生き抜くヒントとは?〈前篇〉

2019.08.11 Vol.Web Original
 盛岡市のさわや書店を退職し、現在は出版取次会社に勤務する長江貴士が2作目の著書『このままなんとなく、あとウン十年も生きるなんてマジ絶望』(以下、『マジ絶望』)を上梓。刊行を記念したトークイベントが中央区のHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEにて行われた。聞き手は同店店長の花田菜々子と元三省堂書店で現在同店勤務の新井見枝香。Vol.721に掲載しきれなかったエピソードを含め、前篇・後篇に分けてお届けする。

イケメンって、なにかね?『くさらないイケメン図鑑 現代ニッポン半世紀を彩った265人』

2019.07.12 Vol.720

 前著『産まないことは「逃げ」ですか?』で、妊娠・出産問題を赤裸々に綴り話題を呼んだ著者の最新刊。「週刊新潮」誌にて長年イラストも手掛けるテレビ評「TVふうーん録」を連載する著者の鋭い観察眼で、現代日本を代表するイケメン265人を分類・リスト化し、うち100人をイラスト入りで解説している。  しかし、通常のイケメン図鑑の枠には到底収まらないところが著者の真骨頂。まず表紙からして、各イケメンのパーツを組み合わせたモンタージュイケメンである。美女の顔を集めて平均化したからといって絶世の美女になるわけではないのは割と知られた話だが、このイケメンらしき架空の人物をどう評価すればいいのか。本書への向き合い方を揺さぶられる。  そしてイケメンジャンルも「すっぽこ系」という、およそイケメンを論じようとしているとは思えないカテゴリーからスタート。掟破りではあるが、巻末から読み進めるのが従来のイケメン図鑑ではないのか。  目次を兼用したイケメンリストには、イラストで描ききれなかったイケメンたちをひと言で表現。名前しか分からないイケメンは想像するほかない。制作期間2年半を経て産み落とされた本書は、全力でイケメンとはなにかを問いかけてくる。寄藤文平氏が手掛けた一見の価値ありの装丁は、本書を開いてのお楽しみに。

サラリーマンは辛苦な稼業と来たもんだ『セミ』【著者】ショーン・タン

2019.07.11 Vol.Web Original

 セミ おはなし する。  よい おはなし。  かんたんな おはなし。  ニンゲンにも  わかる おはなし。(帯文より)  どんよりした灰色の壁と床が囲む、まるで要塞のようなオフィス。そこら中に散らばった書類の間隙を縫うように、しわだらけのスーツ姿で一匹の「セミ」が立ち尽くしている。言い知れぬ不穏な気持ちを抑え読み進めると、どうやら彼はある会社で、勤続年数17年を数えるサラリーマンだという。どんなに理不尽な目に遭おうとも、不平不満を言わず真面目にコツコツと、ニンゲンの分まで仕事をこなす。時折「トゥクトゥクトゥク!」と声にならない声をあげながら……。

芸術は爆笑だ!?『永田町絵画館』【著者】福本ヒデ

2019.07.05 Vol.Web Original

 この度は「永田町絵画館」に、ご来場いただきありがとうございます。  当館は、「日本の中心で起きている出来事」を描いた絵画を主に扱っております。(「ごあいさつ」より)  ここは日本の政界を司る「永田町」の名を冠した絵画館。「おや、こんなとこにおかしいね。しかしとにかく何か絵画が見られるんだろう」と、『注文の多い料理店』のような台詞をつぶやきながら、絵画館の白い扉をうやうやしく開けてみる。すると、どこかで見たことのある有名作品がところ狭しと並んでいるではないか。いったいどうやってこんなにたくさんの作品を集めたのだろう。「文句の叫び」や「火に油を注ぐ女」……あれ?

孤独をまとう不思議な鳥『ハシビロコウのすべて』

2019.06.29 Vol.Web Original

 皆さんはハシビロコウという鳥をご存知だろうか。鋭い眼光、哀愁を漂わせる立ち姿、「動かざること山の如し」といった風情で微動だにしない。アフリカに生息し、ペリカン目ハシビロコウ科ハシビロコウ属を単独で構成する大型の鳥である。このハシビロコウが、アニメ「けものフレンズ」で擬人化されるなどした影響か、近年つとに人気を博しているという。上野動物園のスーベニアショップでは、パンダに次ぐ人気グッズとの話もある。

たった一人になった。でも、ひとりきりじゃなかった。『ひと』【著者】小野寺史宜

2019.04.29 Vol.717
 全国の書店員が一番売りたい本を選ぶ「本屋大賞」の2019年ノミネート作品。  交通事故で父親を亡くし、女手ひとつで育てられた柏木聖輔。母は学食で働きながら、聖輔を東京の私大に進ませてくれたが、ある日急死したという知らせが入る。20歳で両親を亡くした聖輔は大学を辞め、仕事を探そうと思うが、なかなか積極的に動く気持ちになれない。ある日、商店街を歩いていると、どこからともなくいい匂いが。その匂いに吸い寄せられ立ち止まった1軒の惣菜店。手元の現金は55円。ギリギリ買える50円のコロッケを買おうと思ったが、見知らぬお婆さんにそれを譲る羽目に。  結局、コロッケを譲った事をきっかけに、聖輔はその惣菜店・田野倉で働く事になった。そこから、店主、同僚、仲間、同郷の友人と“ひと”との縁が少しずつつながっていく。ひとりぼっちで、未来に夢も希望も見いだせなかった聖輔だが、人と関りを持つたびに、夢が生まれ、喜びを知り、感謝の気持ちを持つ事ができるようになっていく。時には人に傷つけられる事もあるが、周りには守ってくれる人もいる。天涯孤独でも、貧乏でも、先が見えなくても、大丈夫。人が人とつながる事で、絆が生まれ、その絆から未来が開ける事もあると信じられる気がする。聖輔の成長とともに、その周りにいる人たちの大げさではない無償の行いに、胸がほっこりと温かくなる青春小説。

愛、信仰、運命—。この世界を生きる意味。『その先の道に消える』

2019.03.16 Vol.716

 アパートの一室で発見された、ある“緊縛師"の死体。重要な参考人として名前があがった桐田麻衣子は、捜査を担当している刑事・富樫がひかれていた女性だった。富樫は良心の呵責にさいなまれながらも、他の捜査員の目をそらすために、彼女の指紋を偽装し、捜査対象から外してしまう。  しかし、それがほころびの第1歩となり、富樫は次第に追い詰められていく。そしてついに、同僚の葉山が富樫の前に現れ、富樫に詰め寄った。どこまで知られているのか分からないながらも動揺する富樫。そして、事態は意外な展開を見せ、葉山や麻衣子、そして姿の見えない犯人らがじりじりと交錯していく。その複雑で異様な人間関係を文字通り結んでいるのが、緊縛に使用される“麻縄”。単なる道具というだけではなく、日本人の宗教心や古代からなる日本人の思想にまで及ぶ展開は壮大な広がりを見せる。縄によって分けられた結界は、何を守り、何を破壊してきたのか。  ミステリーでありながら、緊縛という非日常の行為に魅せられた男女の悲しみと破滅へ向かう真実は、誰にとっての救いなのか。登場人物の心の揺れや告白者が綴る闇も含め、文章からあふれ出る言葉のひとつひとつが胸に突き刺さる。中村文学の真骨頂ともいえる作品だ。
『その先の道に消える』 【著者】中村文則 【定価】本体1512円(税込) 【発行】朝日新聞出版

『虚談』ああ、取り返しがつかない。常識を覆す、現実と虚構をめぐる謎(ミステリー)

2018.05.25 Vol.706

『虚談』  なんともぞっとする一冊。それはどこからくるものなのか。恐怖というほど明確ではなく、嫌悪というほど強い感情ではなく、しいて言うなら“違和感”なのか…。全9篇からなる連作集で、どの話にも共通しているのが“それは事実なのか?”ということ。小説だから事実ではないのだけれど、その話自体が、読み進めていくうちに横道に逸れ、出口を見失い、迷宮の中へ。読後は何とも言えない曖昧さと、口の中がざらつくような、言いようのない“違和感”を覚える。 「クラス」というタイトルの作品は、デザイン学校時代の年上のクラスメイトとの10年以上ぶりの再会から始まる。その同輩、御木さんが語りだしたのは、死んだ妹の話。13歳の時に不慮の事故で死んだ妹が、老婆になった姿で、自分の目の前に現れたというのだ。怖くなった御木さんは、長い間墓参りをしていなかったから、淋しかったのかと思い、命日に帰省したという。しかし、そこにお墓はなく…という話だったのだが、聞いている“僕”の記憶と彼の話には決定的な食い違いがあった。  その話の内容もぞっとするものなら、僕の知っている事実もまた、恐ろしい。しかし、さらに続く事実のようなものにも恐怖は潜んでいる。ただしそれが事実であれば…。現実と虚構のはざまで戸惑う自分がいる。

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