沖縄の「味な」島建築をめぐる『沖縄島建築 建物と暮らしの記録と記憶』

2020.02.17 Vol.727

 筆者が初めて沖縄本島に旅行したのは20年ほど前のことだった。「亀甲墓(かめこうばか)」や「石敢當(いしがんどう)」など、目にするものすべてが珍しく、本土との違いに驚いた記憶がある。  そんな沖縄の島建築を紹介する本書は、決して有名だったりデザイン性が高いわけではないものの、土地に根ざした10軒の建築物と、そこで生活する人々の話を丹念にすくいあげている。味噌屋や泡盛工場、戦前から続くホテル、ドライブイン、コルビュジエ風の教会……。シリーズ名の「味な建物探訪」にもうなずける、散歩していてひょっこり出てきたらうれしくなるような場所ばかりだ。  さらにコラムでは「鉄門扉」、「花ブロック」、「直書き看板」などの知っているようで知らなかった意匠を網羅。こんな意匠を探しながら沖縄を歩けば、風景ががらりと変わって見えるだろう。  副題に「建物と暮らしの記録と記憶」とある通り、いつまで残っているか分からない建物を書き留めておく意味合いもあるようだ。取材中に公設市場がなくなってしまい、「あとがき」を執筆中に首里城が焼失してしまったことにも触れられている。 「二子玉川 本屋博」の出版社ブースで入手した掘り出し本。本書を頼りに実際に建物を探訪したくなる。

田中裕子と蒼井優が“二人一役”50万部超のベストセラー小説『おらおらでひとりいぐも』映画化決定!

2020.02.16 Vol.727
 第158回芥川賞と第54回文藝賞をW受賞し、50万部を突破するベストセラー小説『おらおらでひとりいぐも』の映画化が決定した。当時63歳の新人・若竹千佐子のデビュー作で、夫を亡くしてひとり暮らしをする74歳の桃子さんを主人公に、〈おらだば、おめだ。おめだば、おらだ〉と脳内からジャズセッションのように湧き上がる東北弁を織り交ぜながら、これまでの人生を振り返りたどり着いた「老いの境地」を描く。  主演は現在の桃子役に田中裕子、若い頃の桃子役に蒼井優が決定。なお、田中の映画主演は15年ぶりで、蒼井との共演は今回が初となる。監督は『南極料理人』、『横道世之助』の沖田修一が務め、脚本も原作に惚れ込んだ沖田自身が執筆した。原作『おらおらでひとりいぐも』は絶賛発売中、映画は2020年公開予定。

本屋のフェス「二子玉川 本屋博」ヘッドライナー 個性派書店を生み出す2人の「本屋の未来」会議

2020.02.11 Vol.727
 二子玉川ライズ ガレリアで1月31日〜2月1日の2日間、本屋の魅力と可能性を発信するフェス「二子玉川 本屋博」が初開催され、31日に週替わりで1冊の本を販売する森岡督行(森岡書店)と歌舞伎町ブックセンターやBUNDAN COFFEE&BEERなどのプロデュースを手がける編集者の草彅洋平(BAKERU)のトークイベント「本を人が選ぶ場所は本屋だけ?」が行われた。  冒頭で「本屋を経営したい人がいると全力で止めるんですけど」と草彅。“本プラス何か”がテーマのイベントによく登壇する森岡はこれまでに出たアイデアとして「恵比寿・POSTの中島(祐介)さんは『本だけでいいんじゃないですかね』。荻窪・6次元のナカムラクニオさんは本屋プラス神社。本屋の一角に神社を設けて本の神様をまつり、大晦日には火を焚いてその年に買った本をくべる。『夢の本屋ガイド』という本では、HMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEの花田(菜々子)さんの本屋プラス発電所」などを述べた。「基本、何か燃やしていく感じなんですかね」という草彅に、森岡は「新刊本の38%くらいは(売れずに)燃やされているという現実がある。燃やすのであれば火力発電すればいいんじゃないか」と出版業界の現状を補足。

【インタビュー】初版発行部数100万部『史上最強のCEO』誕生の秘密 津嶋栄 (フローラル出版・代表取締役)

2020.01.16 Vol.726
 日本のビジネス書史上初めて初版発行部数100万部で発売したことが話題のジェームス・スキナー著『史上最強のCEO』(フローラル出版)。著者の希望でアマゾンジャパンには出荷せず、リアル書店に〈仕入れて100円〉、〈販売するとさらに100円〉という破格の販売支援金を用意している。前代未聞のプロモーション展開についてフローラル出版の津嶋栄代表取締役に聞いた。

初版発行部数100万部!話題のビジネス書をプレゼント

2020.01.15 Vol.726
 国内ビジネス書史上初の初版部数100万部を発行して話題の書籍『史上最強のCEO』。著者であるジェームス・スキナーはビジネス書の金字塔『7つの習慣』を日本に広めたことで知られるカリスマ的な経営コンサルタント。数多くのCEOやマネジャー、リーダーなどから悩みを聞いてきた著者が、それらに答えるべく満を持して自身の経営理念の真髄を描いた唯一の書籍がこの『史上最強のCEO』だ。すべてのビジネスパーソンに向けた令和時代の新たなバイブル『史上最強のCEO』の発売を記念して著者のサイン入り書籍を3名にプレゼント。(係名:「史上最強のCEO」)
<プレゼントの応募について> 【応募の〆切】2020年2月9日(日) 以下のリンクのフォームからご応募ください。 http://www.campaign-kenshou.com/campaign.php?id=3914

【おすすめ書店イベント】『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』刊行記念イベント

2019.11.18 Vol.724
「つけびして 煙り喜ぶ 田舎者」……事件当時、報道された貼り紙に覚えのある人も多いだろう。2013年に山口県周南市金峰(みたけ)地区で発生した山口連続殺人放火事件を丹念に取材したルポの書籍化『つけびの村 噂が5人を殺したのか?』(晶文社)。著者の高橋ユキと、新刊『黙示録 映画プロデューサー・奥山和由の天国と地獄』(文藝春秋)が好評の映画史・時代劇研究家の春日太一がトークイベントを開催。取材の裏話や本には書けなかったエピソードを交えつつ本書の魅力に迫る。 ※発行日までに完売になってしまう場合もありますのでご了承下さい。

インパクト大の“前後不覚”なネコは天才!?猫写真家・沖昌之が“必死すぎるネコ”を撮り逃さないワケ

2019.11.16 Vol.724
 猫写真家の沖昌之が、累計発行部数5万部を突破した写真集『必死すぎるネコ』の第2弾、『必死すぎるネコ 〜前後不覚 篇〜』の発売を記念したトークイベントを新宿の紀伊國屋書店新宿本店にて行った。イベント冒頭で、前回の写真集を制作する前の段階で、担当編集者から手塚治虫の漫画『火の鳥』のように「○○編」を重ねながら超大作化させる壮大な構想を提案されたことを明かした沖。当初はあまりの熱意に戸惑いつつも、結果的にその写真集のヒットがプロの猫写真家として活動を続ける力になったそうで、「そういう意味で僕にとって『必死すぎるネコ』は大事なターニングポイント」と語った。この日は『必死すぎるネコ 〜前後不覚 篇〜』に収録した写真の撮影エピソードを中心にトーク。

愛国を生業にした“残念な”人びとの群像劇『愛国商売』

2019.11.13 Vol.724
 メディア出演も多い気鋭の若手論客、古谷経衡が初めて手がけた長篇小説作品『愛国奴』が、『愛国商売』に改題されて待望の文庫となった。主人公の南部照一は大学卒業後、茨城県取手市で私設私書箱サービスを営んでいる。飼い猫と車と読書を愛する在宅ワーカーだった照一が、SNSで出会った書店員に誘われて保守系言論人の勉強会に参加し、中堅警備会社の懸賞論文に入選したことで「愛国ビジネス」渦巻く保守論壇の世界に足を踏み入れて……。著者自身の実体験をもとにした小説とあって、トンデモ陰謀論を振りかざしてネット右翼に称賛される“残念な”人々のおかしくも哀しい姿がリアルに描かれている。

その男、孤独につき『小説 孤独のグルメ 望郷篇』

2019.10.26 Vol.723

 10月からSeason8の放送が始まったドラマ「孤独のグルメ」。井之頭五郎といえばすっかり松重豊のイメージが板についている人も多いだろう。  ドラマ版の原作『孤独のグルメ』は原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる漫画だが、この漫画の連載を立ち上げた編集者が本書の著者・壹岐真也である。WEB媒体「日刊SPA!」で連載された漫画版を底本としたオリジナル小説をまとめたものが『小説 孤独のグルメ 望郷編』だ。  小説版は、設定こそ井之頭五郎だが、漫画版にもドラマ版にも依拠しないオリジナルな魅力にあふれている。たとえば小説なのでドラマや漫画よりどっぷり五郎のモノローグで進行していくのだが、どこかで聞いたような唄やフレーズが度々挟み込まれるあたり。フリーランスとして1人で仕事をしている五郎の頭の中には、常に心のつぶやきに加え入れ替わり立ち替わりいつかの回想や音楽や言葉が鳴っているのだろう。分かる。日常的に孤独に親しんだ経験があるならば理解できるはずだ。  もちろん食べたことがないのに〈懐かしい〉食べ物の数々も健在。著者の分身かとも思うが、酒を飲まずにカルピスウォーターを愛飲しているところは、パラレルワールドを生きる五郎というべきか。マルコヴィッチならぬ井之頭五郎の穴のような読書体験だ。

角川文庫『ロウソクの科学』ノーベル化学賞効果で緊急重版!

2019.10.24 Vol.723

 スマートフォンなどに使われるリチウムイオン電池を開発し、2019年のノーベル化学賞を受賞した旭化成名誉フェローで名城大教授の吉野彰氏。記者会見で化学に興味を持ったきっかけとして挙げた英国の化学者ファラデーの著書『ロウソクの科学』が、ノーベル賞効果で書店からの注文が相次ぎ、緊急で2万部の重版を決定した。1860年に子どもたちに行った講義を収録した同書は、たった1本のロウソクを題材にさまざまな化学現象を解説する。吉野氏は小学校の担任からこの本を勧められ、「化学っておもしろそうだな」と思ったという。  2016年に医学生理学賞を受賞した東工大栄誉教授の大隈良典氏も、自身の原点として同書を挙げている。角川文庫版のほか岩波文庫版『ロウソクの科学』や角川つばさ文庫『ロウソクの科学―世界一の先生が教える超おもしろい理科―』も好調だ。

編集者・島本脩二の「本作り」に触れる

2019.10.16 Vol.723

 小学館の編集者として矢沢永吉『成り上がり』や『日本国憲法』などさまざまなベストセラーを生み出した編集者・島本脩二。本展では本を作るうえで欠かせない印刷、紙、製本などとの関わりから編集とデザインの役割を伝える。学生が自作した課題書籍『二〇××年の私』約180点や島本が編集した書籍約140点も展示され、自身の仕事と学生の作品を通して島本の思想と実践に迫る。

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