ザックJAPAN「3−4−3」で2試合連続ノースコア

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6月7日、横浜国際総合競技場。チェコMF・ペトルジェラと競り合う長友(撮影・蔦野裕)

 日本代表が南米のペルーと欧州のチェコを迎え開催された「キリンカップサッカー2011」の最終戦「日本代表vsチェコ代表」戦が7日、神奈川の横浜国際総合競技場で開催され0−0で引き分けた。「日本代表vsペルー代表」(1日、新潟・東北電力ビッグスワン)、「ペルー代表vsチェコ代表」(4日、長野・松本平広域公園総合球技場アルウィン)の全3試合が0−0で終わり、大会史上初の3チーム同時優勝という結果で幕を閉じた。日本は4連覇、ザッケローニ監督就任後は5勝5分けとなり、無敗を守った。

 この日も日本は「3−4−3」の新布陣で臨んだ。DF長友佑都、内田篤人、FW本田圭佑が先発に復帰し、全体としてはペルー戦よりもチャンスメイクできていたことは確かだったが、得点シーンは見られなかった。
 前半の日本は左サイドがほとんど機能せず、本田も下がり気味でなかなかチャンスを作ることができなかった。

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日本が誇るFK2枚看板だったが、ゴールを奪うことはできず(撮影・蔦野裕)

 しかし後半に入り、本田がトップ下のポジションを取るようになってから日本の攻撃のリズムが良くなってくる。本田から長友へのパスでチェコDFを脅かす場面がしばしば見られるようになるが、フィニッシュまではつなげられない。
 日本のもうひとつの武器であるFKも、前半は遠藤がチェコのGKチェフの好セーブで阻まれ、本田も前後半合わせて4本蹴ったものの枠を外した。

 それでもザッケローニ監督は試合後の会見で「数日間の練習でここまでできるのは、たやすいことではない。ほかの国の選手だったら、こんな結果は出なかった」と手応えを口にした。シュートもペルー戦の5本から11本に増えた。また「相手のGKが素晴らしく、それは称賛しなければならない」との言葉通り、チェフの再三の好セーブもあったことは確かだ。
 気になるのは今後この「3−4−3」システムが日本の武器になりうるのかということ。内容にこだわったザッケローニ監督にとっては上々の手応えだったようだが、選手たちの反応はさまざまだった。

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右サイドの内田は「もう少し高い位置でボールを持てれば」と課題をあげた(撮影・蔦野裕)

 長谷部は「本番でも3−4−3で勝負するのかといったら、絶対的な確信があるわけではない」と慎重な見方。本田も「最低ラインとしてはいいんじゃないか」と笑顔はなかった。長友は「今日は考えながらやっていたが、次は自然と体が動くようになると思う。1試合ですべてを判断するのは難しいし、みんなが考えずにできるようにならないと、新しいフォーメーションは難しいと思う」と分析。また内田は「もう少し高い位置でボールを持てれば」、岡崎は「自分が相手を引きつけられればサイドが空く」とそれぞれ課題をあげた。

 システムの熟成には時間と実戦が必要なのだが、9月から始まるW杯予選までは8月の韓国戦しか試合はない。

 本田は「意識しないと技術は上がらない。どれだけアンビション(野望)を持ってやれるか。次に集まったときでは遅い。きょうからがスタート」と語った。