レニー・クラヴィッツインタビュー「最新作は多様性に富んでいる」 

多様性に富んだ最新作『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』

世界的なロックミュージシャン、レニー・クラヴィッツが最新アルバム『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』を完成させた。本人いわく、「すごく多様性に富んだアルバム」。タイトルそのものからも重みを感じるこの作品を通じて、彼が表現したかったこととは何なのか? 本人が語る。

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 レニー・クラヴィッツが最新オリジナルアルバムを完成させた。1989年のデビュー以来、ロックやソウル、ファンクといった音楽を取り込んで、独自のロックを世界中に響かせてきたレニーは、この作品でもまた世界を震かんさせる。「自分の音楽を説明するのは苦手なんだけど……この作品は、すごく多様性に富んだアルバムだよ。音楽的にもいろんな要素が詰まってるし。デビュー当初からやってきたことや、やろうとしてきたことが、よりはっきり形になってる作品だと思う」

 タイトルは『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』。東欧系ユダヤ人の血を引く父とバハマ出身の母を持ち、異なる人種がミックスしたニューヨークに生まれ育ったレニーのバックグラウンドを反映しているとしか思えない。

「ハーフの人間として体験してきた自分の人生がもとになったタイトルなんだ。60年代に異人種間結婚を果たした僕の両親、黒人大統領がいながら、いまだに色濃いアメリカの人種問題の現状なんかのことを考えてた。そしてこれは最近見た、とあるドキュメンタリーに対する反論でもある。タイトルは思い出せないんだけど、その中で取材を受けてたのは近年アメリカに訪れた(人種的、人種構造面における)変化が気に入らないっていうアメリカ人たちだった。彼らはかつての状態(白人優勢の人種関係)に戻りたいって、当然の表情で発言しててさ……」 

 レニーがそう感じたのは、本人も自覚しているが、自分自身の変化も関係していそうだ。

「……僕ね、ひとりの人間として最近やっと、自分もデカくなったなって思えるようになったんだ。これまでよりも。それでそうやって自分を振り返るプロセスの中で、幼少時代から現在までの自分、過去と現在っていうのがまとまりを持つようになったのかもしれない。それと同時に、未来っていうか、この先の自分、これから自分がどこへ向かおうとしてるのかが見えてきたっていうのもあるね」

 デビューから20年超、四半世紀も近づいて、これから発表する作品のひとつひとつは、これまで以上に意味を持ったものになりそうだ。とはいえ、まずはこの作品をじっくり聞きたい。そして、ライブで本作を体感したいが……。

「日本へはもう何年も行けないでいたんだけど、今度のツアーでは必ず日本にも行くつもり。これまでで最高のパフォーマンスを見てもらいたいって思ってる。アルバムにはすごく自信があるし、それがライブにも反映されるはずだから。日本のファンのみんなのために、特別に頑張るつもりだよ。本気でね」

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『ブラック・アンド・ホワイト・アメリカ』

メロディックでポジティブな『Stand』(着うた®/PC配信中)、70年代のニューソウルを感じる『Push』をはじめ、バラード曲もありバラエティーに富む。NBAテーマソング『Come On Get It』も収録。ワーナーミュージック・ジャパンより8月24日発売。2580円(税込)。詳細はウェブサイト(http://wmg.jp/lennykravitz/)で。