ニュースの焦点 オバマ米大統領が再選 対中警戒 日本には応分の負担要求

 米大統領選は6日、投開票が行われ、民主党現職のオバマ大統領(51)が共和党候補のロムニー前マサチューセッツ州知事(65)を下し、再選を果たした。米経済の再生が焦点となった選挙で、中間所得層を重視し、格差是正による「公正な社会」の実現を訴えたオバマ氏が信任された。

 だが、同時に実施された連邦議会選で、下院は共和党が引き続き過半数を確保し、上院は民主党が過半数を維持することが確実となり、「ねじれ議会」の構図は変わらなかった。オバマ氏が2期目も、政策遂行に野党共和党の激しい抵抗を受けるのは必至だ。

 アジア太平洋最重視戦略を掲げるオバマ大統領の再選は、沖縄県・尖閣諸島など中国に主権を脅かされている日本にとり、停滞気味の日米同盟を深化させる仕切り直しの機会となる。

 スタインバーグ前国務副長官は「中国にも国益はあるが、国際法を守り他国の権益を脅かしてはならない」と語る。その一方で、東シナ海や南シナ海で挑発行為をエスカレートさせる中国海軍の動きを念頭に、日米同盟に加え「米国は、東南アジアやインドと新たな連携強化を図る必要がある」と2期目のオバマ政権の課題を指摘する。

 民主党政権になってから日米同盟が深化どころか関係修復に多大な時間と労力を浪費している間、中国が公船や艦船を使った挑発的な活動を活発化。同盟立て直しの区切りをつけたのは今年4月、日米両国の外務・防衛閣僚級協議で在日米軍再編見直しを共同発表してからだ。

 財政悪化で議会から国防費の削減圧力を受けているオバマ政権にとって、日本やオーストラリアなど同盟国への期待は大きい。

 米海兵隊をグアムやハワイに置き、ローテーションでオーストラリア・ダーウィンに分散展開するのはその証左。だがそれは、軍事費の負担と応分の汗をかくことを同盟国に求めるもので、とりわけ、日本への要求は今まで以上に厳しくなる可能性がある。