ニュースの焦点 北朝鮮が3回目の核実験強行 正恩体制では初

 北朝鮮は12日、国営朝鮮中央通信を通じ、核実験を成功裏に実施したと発表した。北朝鮮の核実験は2006年10月、09年5月に続いて3回目で、金正恩(キム・ジョンウン)体制下では初めて。先の長距離弾道ミサイル発射に続く国際社会への挑発行為で、国連安全保障理事会は12日、緊急会合を開催、核実験を強く非難し過去の安保理決議の重大な違反に当たるとする報道機関向け声明を発表した。今後、日米欧各国が対北制裁強化に動くのは必至で、金正恩政権の相次ぐ強硬策により朝鮮半島情勢は緊迫度を増している。

 朝鮮中央通信は、核実験について「以前と違い、爆発力が大きいながらも、小型化、軽量化し、高い水準で安全で完璧に実施した」と報じた。聯合ニュースによると、韓国政府は前回実験の2倍程度の威力とみているが、小型化と軽量化に成功したとする北朝鮮の主張については懐疑的な見方を示している。

 北朝鮮の外務省報道官は12日、朝鮮中央通信を通じて「今回の核実験は1次的対応措置。米国が最後まで敵対的なら2次、3次対応まで続けなければならない」とする談話を発表。日米韓は、北朝鮮が核実験を追加実施する可能性があるとして警戒を強めている。聯合ニュースによると、北朝鮮は10日に短距離ミサイルを発射したという。

 日本政府は12日、北朝鮮からの再入国禁止対象を在日本朝鮮人総連合会(朝鮮総連)の副議長5人にも拡大する日本独自の追加制裁を決定するとともに、北京の外交ルートを通じて北朝鮮に抗議した。核実験の強行を「わが国の安全に対する重大な脅威であり、国際社会の平和と安全を著しく損なうものとして断じて容認できない」と非難する首相声明も発表した。声明は、昨年12月の長距離弾道ミサイル発射実験と合わせ、今回の核実験を「安保理の権威に対する重大な挑戦だ」と批判した。
 安倍晋三首相は12日午後の衆院予算委員会で「度重なる安保理決議違反で、誠に遺憾であり、強く抗議する」と述べた。13日の衆院予算委員会では、テロ支援国再指定と金融制裁を実施するよう米国に働きかける考えを示した。日本政府は北朝鮮が矢継ぎ早に4度目の核実験に踏み切る事態を警戒しており、その場合は北朝鮮への送金規制強化など独自の追加制裁を発動する方針だ。

 また、オバマ米大統領は12日、声明を発表し「極めて挑発的行為だ」と非難。12日夜に行われた一般教書演説では北朝鮮に対して「挑発は孤立を深めるだけだ」と非難。「脅威に対して断固とした行動を取るため、世界を主導する」と言明し、国連安全保障理事会の制裁などを通じて圧力を強める考えを示した。

 北朝鮮は核実験に先立ち米国を名指しで非難しており、核実験強行の外交的狙いが米国を2国間交渉に引きずり込むことにあるのは確実。一方で正恩体制に入ってから数万人の餓死者が出たとされ、好戦ムードをあおって不満をそらし、国内引き締めを図るという内的要因も色濃いようだ。