SPECIAL INTERVIEW シシド・カフカの『music』

ドラム&ヴォーカルで注目のニューカマー

ドラムを叩きながら歌う、シシド・カフカ。その衝撃的にかっこいいありようで注目を集める彼女は、今年、最も注目すべきアーティストの一人だ。20日にニューシングル『music』をリリース。音楽へのアティチュードや、作り手としての想いがほとばしっている本作について、インタビューした。

 すらりとしたスタイル。キリッとしたまなざし。立っても座っても絵になる。ドラムの前に座ればその存在感はさらにパワーアップ。パフォーマンスが始まれば、ただただ圧倒されるだけだ。シシド・カフカの存在感は半端じゃない。

 昨年9月のメジャーデビューシングル『愛する覚悟』は衝撃だった。モデルのようなか細い体で、黒髪を振り乱しながら放たれるエネルギッシュで正確なドラミング! とにかく、カッコいい。
 注目を集める彼女のカッコよさの理由は、その覚悟にありそうだ。「テレビにまったく映らないドラマーを見てドラムをやろう」と決めたこと、学生時代の「音楽をやりたい」という強い決意、日本のロック史上に爪跡を残したThe Newsへ飛び込んだこと。そして、現在一緒に音楽を作る大島賢治(THE HIGH-LOWS)と平出悟(UVERworld サウンドプロデューサー)と出会い、一時的とはいえ大好きなドラムを封印してしまった潔さ。それらが今の彼女を作っている。

「今のチームと出会ったのが7年前。2人は女性ヴォーカルを探していて、この人たちと一緒に音楽を作ったら絶対おもしろいことができるはずだって、それまでヴォーカルなんてやったこともないのに、ハイ! 私やりますって手を挙げました。学生の時も、The Newsに参加したときもそうでしたけど、いろんなことに首を突っ込んでは勉強させていただくというのが続いている感じです。ただ、ヴォーカルをハンドマイクで歌うということは、本当にゼロからのスタートでしたし、この7年はまだダメだ、まだダメだ!の連続。ドラムを辞めたのもそのときで、ドラムだったらこういうことができるのに……って、過去の栄光というか、自分が輝いていたときにすがるというような感じになってきて。そういうのはダメだって、2年ぐらい封印してました」

 再びドラム&ヴォーカルのスタイルを取り戻したのは、シシド・カフカとは何かを考えていたとき。

「叩いてみりゃいいじゃんって軽く言われたんです。その時は2年もドラムから離れていたし無理ですと断ったんですけど(笑)、叩いてみたらこれがまたしっくりきて。ドラムが好きだっていうことを再確認できました。以前よりも全然下手になったし、ドラムから離れていた時に声も見つけられたとはいえ、まだまだの状況。ただ、少しずつ自信も持ててきたのでドラムとヴォーカルのパフォーマンスを突き詰めていきたい」

 新曲『music』では、さらにかっこいいパフォーマンスで圧倒する。この曲は彼女の音楽に対する覚悟ともいえそう。

「冒頭のドラムの後、ふと『music』というのが出てきて、ピタッとハマったんです。……それならば、音楽について考えてみるか、と作詞をしていったんですが、なかなかハードルが高い作業でした(笑)。ただ、(メジャーデビューをして)いろんな選択肢も見えてきて、『愛する覚悟』や『デイドリームライダー』(配信でリリース)という楽曲を届けられたことでコミュニケーションも生まれてきたこのタイミングで、自分のなかの音楽ってこういうものって提示してみるのもいいんじゃないかなって。向いてる向いてないじゃなくて、ただ私は音楽が好きなんだ、音楽をやりたいんだって、そこにスポットをあてました」

「耳が腐る」といったフレーズなど突き刺さる言葉を散りばめたり、練りに練りこまれた歌詞は自然と行間を読ませる。

「実はこの曲、今のチームに出会って最初に取り組んだ楽曲なんですよ。そのなかで、アレンジも歌詞も変わってきました。今だからこそ、届けられる楽曲になったと思います」

 表題曲のほか、『リカバリー』『無敵のロックスター』と、シシド・カフカの今がぎゅっと詰め込まれ、シシド・カフカのカッコよさを堪能できる内容。

 カワイイからカッコいいへ。今年の音楽シーンを騒がせそうだ。
(本紙・酒井紫野)

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New Single『music』
インペリアルレコードより2月20日(水)発売。初回限定盤(CD+DVD)1800円、通常盤1200円(ともに税込)。リリースの詳細、およびアーティストの最新情報は公式サイト(http://www.shishido-kavka.com/http://www.shishido-kavka.com/)で。