ロンドン五輪金・村田が東洋太平洋王者相手にTKOデビュー

 ロンドン五輪のボクシングで日本人48年ぶりの金メダリストとなった村田諒太(27)が8月25日、東京・有明コロシアムでプロデビュー戦を行い、ノンタイトル6回戦で東洋太平洋ミドル級王者の柴田明雄に2回2分24秒でTKO勝ちした。

 五輪金メダリストとはいえ、いきなり東洋太平洋王者と対戦という異例のデビュー戦だったが、村田は実力差を見せつけ圧勝した。村田の顔はきれいなまま。完敗した東洋太平洋王者は「何もできなかった」と唇をかんだ。

 村田は「勝ててホッとした。(点数は)80点ぐらい」と語る。1回に右ストレートで柴田からダウンを奪う。2回も多彩なパンチで攻め立てると反撃の手立てをなくした柴田を見てレフェリーが試合を止めた。繰り出す左右のパンチは伸びがあり、相手の置いた距離を簡単に詰める。顔面、ボディーを的確にとらえ、アマ時代から定評があった鋭さ、重さはさらに磨きがかかった。

 プロに挑戦した日本の五輪メダリストは、誰も世界王者になっていない。契約する米興行大手トップランク社のボブ・アラムCEO(最高経営責任者)は「世界の誰もが知るチャンピオンになる」と太鼓判を押した。

 村田は今後、11月か12月に国内で2戦目を行う予定。アラム氏がプロ3戦目を来年2月にシンガポールで行う考えを明らかにしており、実現すれば、異例の速さで海外デビューとなる。

 27日には日本ボクシングコミッション(JBC)がランキング委員会を開き、村田を日本ランク1位にランクした。

 また25日には神奈川県座間市民体育館で日本ライトフライ級タイトルマッチ(10回戦)が行われ、王者の田口良一に同級1位の井上尚弥が挑戦。井上が3−0の判定で勝利を収め王座を獲得した。

 デビュー4戦目での戴冠は日本最速タイ。過去、国内ジム所属選手では5人目。日本人では平仲明信と辰吉丈一郎に次いで3人目。