父から息子への愛情を、いつも弁当が運んでくれた。

『461個の弁当は、親父と息子の男の約束。』著者:渡辺俊美

 TOKYO No.1 SOUL SETや猪苗代湖ズで活躍する、ミュージシャンの渡辺俊美が、一人息子のために、作り続けたお弁当の写真をエッセイとともに綴る。


 離婚し父子家庭となった著者は、高校に合格した息子に「お金を渡すから自分で好きなものを買うか。それともパパがお弁当を作るか。どっちがいいの?」と聞くと、息子が「パパのお弁当がいい」と答えた時から、3年に及ぶお弁当作りがスタートした。「3年間、毎日お弁当を作る」ということを目標に交わした男と男の約束。


 二日酔いの朝も、ツアーから帰ったばかりの日の朝も、早く仕事に行く日の朝も、休むことなく作り続けた記録がこの本に詰まっている。地方に仕事に行った時には、その土地の名物や調味料を探すなど、お弁当を作っている時間以外も息子のことを思う父。ページをめくるごとに、お弁当の内容と盛りつけのクオリティーが上がっていくのが分かるのが微笑ましい。お弁当についての一言コメントとエッセイの他、お弁当作りのコツや調味料や道具、料理を学んだ本などのコラムも楽しい。高校生活を締めくくる、461個目のお弁当は果たしてどんなお弁当なのか。その目で確かめて見てほしい。親子の愛がいっぱい詰まったお弁当の写真を見ているだけで、心が温かくなるお弁当本の名著が誕生した。



【著者】渡辺俊美【定価】本体1500円(税別)【発行】マガジンハウス