『僕は小説が書けない』著者:中村航 中田永一

 中村航、中田永一の2人の作家が交互に執筆し、完成させた『僕は小説が書けない』。約1年間をかけ、ふたりの間を30回往復し書き上げられ、さらに5段階の改稿を経て完成した物語は、平凡な高校生のキラキラ光る青春物語。生まれながらになぜか不幸を引き寄せてしまう光太郎。引っ込み思案で人に心を開くことができず、親しい友人もいない。血のつながりのない父親、生みの親ではあるが複雑な事情がある母親、そして何も知らない無邪気な義弟との距離感にも悩み、ぎくしゃくする毎日。そんな光太郎は、高校に入学すると、先輩・七瀬の執拗な勧誘により、廃部寸前の文芸部に入部する。実は光太郎、中学生の時に小説を書こうとして、途中で挫折していたのだ。文芸部にいる個性的な先輩たちと触れ合ううちに、書きたい気持ちを刺激されるが、一歩踏み出せない光太郎。そんな時、文芸部がいよいよ廃部にされるという話が持ち上がり、廃部を免れるにはいくつかの条件を満たさなければならないという通達が。そのひとつが、 “学園祭までに新入部員のオリジナル小説を、必ず1つ以上いれること”。つまり、たったひとりの新入部員である光太郎に、文芸部の存続がかかっているのだ。先輩たちや、文芸部OBの理論派・原田と感覚派・御大にけなされ、励まされ、触れてほしくないところに触れられ、おまけに失恋までしながらも、小説の書き方、そして自分の生き方を見出していく光太郎。いろいろな思いを込めて光太郎が書き上げた小説ははたして、文芸部は廃部を救うことができたのか?



『僕は小説が書けない』【著者】中村航 中田永一【定価】本体1500円(税別)【発行】KADOKAWA