Krush.51 -58kg王者・武尊が3度目の防衛

 立ち技格闘技「Krush.51」が6日、東京・後楽園ホールで開催された。
 メーンでは「Krush -58kg級タイトルマッチ」が行われ、王者・武尊が大滝裕太を3R判定で破り3度目の防衛を果たした。戦前、リング上からの挨拶に武尊のお面をかぶって登場するなど事あるごとに武尊を挑発し続けた大滝。最初のうちは王者の風格で聞き流していた武尊だったが、試合前日の調印式には「いい感じでストレスが溜まってますね」と発言するなど怒りはMAXに達していた。
 入場時からバチバチと火花を散らす両者だったが、ゴングが鳴るとリングは武尊の独壇場となった。ハイスピードのフックの連打、左ミドルにパワフルな前蹴り、ボディーへのヒザで1Rから主導権を握る。大滝の左フックで尻もちをつきスリップダウンを喫したが、「おや」と思わせたのはそのシーンくらい。むしろ大歓声で終了のゴングが聞こえず攻撃を続けた大滝に怒りが増幅。2Rも猛攻はやまず、終盤にはボディーへの左ミドルからのパンチのラッシュでダウンを奪う。なんとか立ち上がった大滝だったが、追撃のボディーからパンチの連打にもたれかかるように2度目のダウン。武尊は3Rも開始早々から前蹴り、左右のヒザを大滝のボディーに打ち込み決めにかかる。大滝は足を使って逃れようとするも、武尊は逃がさず、執拗なボディー攻撃でこの日3度目のダウンを奪った。この3Rもゴングが鳴った後も互いに手を止めることなく打ち合った2人は最後までにらみ合ったままだった。
 3度目の防衛となった武尊。これまでのKrushの最多防衛記録だった卜部弘嵩に並び、「ミスターKrushと呼ばれたいので並べて良かった。4月19日のK-1 55kgトーナメント、僕、文句無いと思うんで。出たら3回ともKOするんで、見に来て下さい」とリング上でアピール。そして会見では「練習で左足を怪我して、いつもの戦いができなくて、引き出しの少なさを感じました。(卜部)功也君なら怪我をしててもうまく戦えるんで、次に向かっていい勉強になりました。今までの選手ならあのヒザで倒れていたので、大滝選手はタフで、いい選手だと思いました」と振り返り、3月から始まるWILDRUSH LEAGUEについては「アウトオブ眼中ですね」と一蹴した。
 一方、大滝は「単純に相手が強くて僕が弱かっただけ。僕自身が僕に負けた感じでした。自分がチャンピオンの器じゃなかった」と振り返った。

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 セミファイナルでは昨年12月の仙台大会でKrush復帰を果たした野杁正明がイリアス・ブライドと対戦。3R判定で勝利を収めた。ダウンこそ奪えなかったもののジャッジ三者とも30-27の完勝だった。会場がざわつくほどの威力あるパンチを放つブライドに対し、野杁はガードを固めて至近距離からのヒザ、かかと、ローキックでブライトの左足を攻め続ける。2R以降は下への攻撃を気にするブライドのスキを狙ってパンチ、ボディーへのヒザを交え、完全にゲームを支配した。

 昨年行われた「K-1 65kgトーナメント」リザーブファイトで勝利しているブライドに完勝とあって野杁は「4月のK-1で65kgのワンマッチが続々決まってますけど、僕とゲーオが決まったらもっと盛り上がると思うんで、組んでください」とアピールした。

 またこの日は1月大会から始まった「第3代Krush -70kg級王座決定トーナメント」の準決勝2試合目が行われ、中島弘貴が松倉信太郎を3R判定で破り、4月12日に行われる山崎陽一との決勝に駒を進めた。

 現在はTRY HARD GYMに所属する松倉だが、かつては中島の所属するバンゲリングベイ・スピリットにいた。ともに手の内を知り尽くす2人の攻防は、蹴りを中心とした互角の戦いが続いたが、徐々に中島が先手を取り始める。ミドルを主体とした蹴りから一気に距離を詰めてのアッパー、フック、そして右のテンカオと多彩な攻撃で松倉を翻弄した中島が小差の判定をものにした。

 試合後、中島が「山崎選手には一度負けているのでリベンジしてチャンピオンになります」と言えば、リングに上がった山崎も「一番分かりやすいので、4月はKOだけ狙います」と応戦した。