江戸瓦版的落語案内 Rakugo guidance of TOKYOHEADLINE 花筏(はないかだ)

落語の中には、粗忽、ぼんやり、知ったかぶりなどどうしようもないけど、魅力的な人物が多数登場。そんなバカバカしくも、粋でいなせな落語の世界へご案内。「ネタあらすじ編」では、有名な古典落語のあらすじを紹介。文中、現代では使わない言葉や単語がある場合は、用語の解説も。
 提灯屋の七兵衛さんの所に、知り合いの相撲の親方が訪ねてきた。聞くと、手取の大関・花筏が病気になり、明日をも知れぬ状態とか。そんな状況なのに、銚子で行われている7日間の相撲興行に、花筏を連れて行かなければならないという。困った親方が思い出したのが、恰幅がよく、顔が花筏にそっくりな七兵衛さん。そう、七兵衛を花筏の影武者にしようというのだ。最初は断った七兵衛だが、提灯張りの手間賃の2倍のギャラと、飲み放題、食べ放題でただ座って相撲を見ていればいいという条件にひかれ親方と一緒に銚子に。当時の地方巡業は力自慢の素人も飛び入り参加でき、この場所でも地元の網元の息子、千鳥ヶ浜大五郎が、初日から破竹の6連勝。興行主は、千秋楽に花筏と対戦させようと目論んだ。親方はもちろん病気を理由に断ったが、七兵衛さんが毎日毎日、大飯を食らい、大酒を飲んでいるのを知られていたので、ついに押し切られてしまった。それを聞いて焦ったのが七兵衛さん。「あんなのに投げ飛ばされたら殺されます。相撲はとらなくていいという約束だったので、すぐに江戸に帰ります」と涙目に。

 親方、「立ち会ったら手を前に出し、その手が千鳥ヶ浜の体に触れたら、後ろへ引っ繰り返ればいい。負けても病み上がりだと言い訳もできるので、花筏の名前に傷もつかない。お前も怪我をしなくて済むし、千鳥ヶ浜の勝ちで地元の客は大喜び。すべてが丸く収まるじゃないか」と助言。一方、千鳥ヶ浜の父親は「今までわざと負けて花を持たせてくれたのに、花筏との対戦を引き受けるなんて、なんて無謀なことを。投げ殺されかも知れないから、明日は辞退しろ」と説得。しかし、会場に行くと観客に押し出されるように土俵に上げられてしまった。千鳥ヶ浜の姿を見た提灯屋、怖さのあまり涙がボロボロ、冷や汗がタラタラ。目をつぶって「南無阿弥陀仏」と念仏を唱えた。それを見た千鳥ヶ浜「念仏を唱えるなんて、きっと俺を投げ殺す気だ」とこちらも涙をボロボロ、冷や汗をタラタラ、そして「南無阿弥陀仏」。「ハッケヨイ」の掛け声とともに、予定通り両腕を突き出した七兵衛さん。すると偶然にも指が千鳥ヶ浜の目に入り、そのまま倒してしまった。

「さすが江戸の大関、ひと張りで千鳥ヶ浜を倒したぞ。花筏は張るのがうまいなー」と観客。張るのが上手いはず。提灯屋ですから。
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