『第28回東京国際映画祭』リポート!

28th Tokyo International Film Festival Report

10月22日から10日間にわたって開催された『第28回東京国際映画祭』。六本木のメイン会場に加え新宿にも上映エリアを拡大した今年は、劇場やイベントなどを合わせて総数44万9171人の動員を記録。その白熱の様子をリポート!

海外大物女優も参加!熱狂の幕開け

 映画祭の幕開けとなるオープニングセレモニーとレッドカーペットでは、昨年を大きく上回る400人以上の著名人が六本木ヒルズ アリーナの赤じゅうたんを闊歩。 国際映画祭ならではのお楽しみ、海外セレブでは、ヒラリー・スワンクとヘレン・ミレンという、異なる世代の大物女優が登場。日本映画界からは、北川景子や竹内結子、橋本愛、中谷美紀、本田翼といった女優陣、松山ケンイチ、オダギリジョー、役所広司、佐藤浩市といった男優陣に加え、辰吉丈一郎、Perfumeら、映画界以外の人気者も、会場を盛り上げた。

グランプリをはじめ個性的な賞に注目

 映画祭のメイン企画といえばコンペティション。過去にはここでの受賞を皮切りに、国際的に大ヒットした作品もあり、今回も最優秀賞の東京グランプリを始め、受賞の行方に熱い視線が集まった。栄えある東京グランプリを受賞したのは、ブラジルの映画監督ホベルト・ベリネール監督の『ニーゼ』。ブライアン・シンガー、ベント・ハーメル、トラン・アン・ユンら名監督らも名を連ねる審査員たちから絶賛されたベリネール監督は「この作品を作っているとき、自分が特別なことをしていると感じた。病院の精神科の患者たちと共に過ごした5カ月は私の人生を大きく変えました。その体験がすべてこの作品に出ています」と歓喜を露わにした。

 他にも、昨年から始まったSAMURAI賞に続き、今年は日本映画界へ目覚ましい貢献をした人に贈られるARIGATO賞も新設。第1回受賞者は樹木希林、日野晃博、広瀬すず、細田守、リリー・フランキーとなった。

ファンと映画人がつながった10日間

 開催中の上映では、多数の作品でスタッフやキャストが登壇するティーチインや舞台挨拶などのイベントが催された。

 英国の大御所女優、ヘレン・ミレンが登壇した『黄金のアデーレ 名画の帰還』の舞台挨拶では、石坂浩二がゲストとして来場。ミレンに花束を渡すという、なかなかお目にかかれない光景も。

 他にもインディペンデンス系の部門や名作の特集企画など多くの上映でゲストが登壇。多くのファンが、映画人の声を身近に感じて楽しんだようだ。

本年度の主な受賞者

【コンペティション部門】
東京グランプリ『ニーゼ』(ホベルト・ベリネール監督)
審査員特別賞『スリー・オブ・アス』(ケイロン監督)
最優秀監督賞 ムスタファ・カラ監督(『カランダールの雪』)
最優秀女優賞 グロリア・ピレス(『ニーゼ』)
最優秀男優賞 ローラン・モラー/ルイス・ホフマン(『地雷と少年兵』)
観客賞『神様の思し召し』(エドアルド・ファルコーネ監督)

【アジアの未来部門】
作品賞『孤島の葬列』(ピムパカー・トーウィラ監督)
【日本映画スプラッシュ部門】作品賞『ケンとカズ』(小路紘史監督)