OKAYAMA MOVE UP 日本を元気に 頼定誠(株式会社ファインシード代表取締役社長)

人と人をもっと近くに!「使いやすく」「楽しく」「伝わりやすく」をテーマにさまざまな事業を展開

岡山県出身の頼定氏は、IT企業、広告代理店、化粧品会社、ゲーム会社と幅広い分野の会社でその手腕を発揮。前職のモブキャスト時代には、女子サッカークラブの世界一を決めるmobcast CUP(国際女子クラブワールドカップ)の予選を岡山Kankoスタジアム(当時名)で開催した。現在、ファインシードでも岡山と世界を結ぶ事業が進行中だ。広い人脈を持つ頼定氏が今後やっていきたい事業とは。

――現在行っている事業についてお聞かせ下さい。
「いろいろな分野の会社を経験し、その時に築き上げた人脈を生かし、ファインシードという会社で現在7つの事業を展開しています。私が事業を立ち上げる時のコンセプトは2つ。1つはスマートフォンに関わるビジネスであること。もう1つは、誰もやっていないような事業をやることです。やっている事業とやっている事業を組み合わせて、新しい事業を作るということもありますが、基本やっていない事業というのが大前提です。現在展開中の「農業3.0」事業もそのひとつ。これはスマートフォンを使って農業を体験できるというもの。IoT(=Internet of Things)といって、インターネットでつないでやるということです。まず第一弾として展開しているのが、岡山市のイチゴ農園なんですが、そこにカメラを置いてリアルタイムで畑を見られるようにする。そして、その土地の気温と湿度と二酸化炭素濃度を確認できるということですね。さらに、オプションで水をやったり、肥料をチェンジしたり、収穫や出荷をすることもできる。それを見るだけでも楽しいですし、農地を持っていると自慢もできる(笑)。今はリアルとバーチャルが融合したビジネスじゃないと長続きしないと思うんですね。そして私はそこに“郷土愛”というキーワードを加えて展開しようと思っています。私自身も岡山の出身で、新ビジネスと岡山を結び付けたいと思い、まずは岡山のイチゴ農園の難波ファームさんと最初のモデルを作っています。都会に出た人が故郷の農地で作物を作るというだけではなく、先ほども言いましたけど、スマートフォンでいろいろな事業をつなげて、最終的にその作物のブランディングまでやるなど、地方創生につなげていければと考えています。今回は毎月イチゴのプランター1区画を1980円で貸し出しています。まだ構想段階ですが、その中から毎月100円はファジアーノ岡山というJ2のサッカーチームに寄付される。いわばこの「こっそり農遠」がスポンサーですので、スポーツニュースでその看板が映った時に、“俺、このチームにお金出してるんだよね”って言える(笑)。それもひとつの郷土愛的支援ですよね。また、この1980円という値段設定にも秘密がありまして、岡山県出身者じゃない人は3980円なんです。ただし、岡山に親類がいる、もしくは向こう1年の間に出張もしくは旅行で岡山に行く予定がある人は1980円でいいですよと。それを言ったら、ほぼ全員なんです。そういうことをすることで、どこに自分が農地を借りているのか、自分のイチゴがどこで栽培されているのかということに、感心が持てるようになると思うんです。そして最終的には、世界の方にもやっていただきたいなと。メイドインジャパンブランドは、特にアジアの中ではすごく信頼がある。そういう人たちに向けて、やっていけば、イチゴといえば岡山だというブランディングができるわけです。時間はかかるかもしれませんけど、地方創生のグローカル、つまりローカル戦略も含めてグローバルに展開するような事をしませんかと、提案していければと思っています」

頼定誠(よりさだ・まこと)1968年岡山市生まれ、岡山大安寺高等学校卒業。伊原木隆太岡山県知事は高校の2年先輩にあたる。早稲田大学大学院商学研究科修了、中央大学理工学部数学科卒。平成4年日本アイ・ビー・エムに入社。平成13年博報堂、平成18年エフツーエム取締役COO、平成21年モブキャスト常務取締役を経て、平成27年ファインシード代表取締役社長。主な著書に「Webマーケティングコンサルタント養成講座」(翔泳社)、「eコマースプランニング入門講座」(翔泳社)がある。