【編集部オススメ舞台】パルコ・プロデュース『アンチゴーヌ』

 この『アンチゴーヌ』は時代を超え、世界中で上演されているフランスの劇作家ジャン・アヌイの代表的悲劇作品。栗山民也演出のもと、岩切正一郎の新訳で現代によみがえった。

 物語の舞台は古代ギリシャ。兄であるオイディプス王の後に王位に就いたクレオンは権力者として政治の責任を貫こうとする。それに対し、自分の良心に従い、自己の信念を貫くアンチゴーヌ。国の秩序を守るためにクレオンはアンチゴーヌに死刑を宣告するのだったが…。

 クレオンとアンチゴーヌ、2人の相対する立場と信念は、そのまま国家と個人、現実と理想の対決を投影する。そしてこの2つの思いは通じ合うことはなく、物語は悲劇へと進んでいく。

 このたった一人で世界に立ち向かおうとする少女アンチゴーヌに蒼井優、冷徹な王クレオンに生瀬勝久。2人の対立を通して、生きることの矛盾や人間が存在することの本質的な意味を否応なしに目撃させられる。

 昨今、流され気味だったり、信念を貫き通せていない人は自戒の念も込めてぜひ見ておきたい作品。

パルコ・プロデュース『アンチゴーヌ』
【日時】2018年1月9日(火)〜27日(土)(開演は火金19時、水14時/19時、木14時、土13時/18時、日13時。月曜休演。開場は開演30分前。当日券は開演1時間前)【会場】新国立劇場 小劇場〈特設ステージ〉(初台)【料金】全席指定9800円/U-25チケット 5000円(観劇時25歳以下対象、当日指定席引換、要身分証明証。チケットぴあ、パルステ!にて前売販売のみの取り扱い)【問い合わせ】パルコステージ(TEL:03-3477-5858=月〜土11〜19時/日・祝 11〜15時[HP]http://www.parco-play.com )【作】ジャン・アヌイ【演出】栗山民也【出演】蒼井優、生瀬勝久、梅沢昌代、伊勢佳世、佐藤誓、渋谷謙人、富岡晃一郎、高橋紀恵、塚瀬香名子