38歳まだまだ進化中のリオン武が「KIDさんに少しでも恩返ししたい」【9・23修斗】

リオンの強烈なパウンド(撮影・荒木理臣)

“伝説の王者”が現王者を破る
「プロフェッショナル修斗公式戦」(9月23日、東京・後楽園ホール)のメーンで現環太平洋フェザー級王者のTOMAと元世界ライト級王者のリオン武が対戦。3-0の判定でリオンが勝利を収め、まだまだ衰えることのない実力を見せつけた。

 1Rからともに距離を探り合う緊張感の漂う展開となったが、リオンはパンチのフェイントからのタックルを決めテイクダウンに成功するなど的確に要所を押さえていく。TOMAは変則的な蹴りで局面の打開を図るが、リオンはそれに合わせてタックルを決めるなどキャリアの違いを見せつける。

 勝負は判定となり2人が30-27、1人が29-28の3-0でリオンが制した。TOMAも決して一方的に攻め込まれていたわけではないのだが、ラウンドの終盤は常にリオンが攻撃して終わるなど、ここでもキャリアの違いを感じさせた。

 リオンは試合後のマイクで現在、CRAZY BEEで練習していることを明かし、「38歳でもまだ強くなれている。もっと強くなってCRAZY BEEを作ってくれたKIDさんに少しでも恩返ししたい」などと9月18日に急逝した山本“KID”徳郁さんへの思いを口にした。

KIDさんへ多くのメッセージが送られた(撮影・荒木理臣)

ロビーにはKIDさんを追悼するコーナーを設置
 この日はKIDさんをしのび試合前に黙とうを捧げ、後楽園ホールのロビーにはKIDさんの追悼コーナーが設置された。ここにはカメラマンの長尾迪氏が撮影したKIDさんの写真を写真を展示、そしてメッセージフラッグが用意され、多くのファンや選手がKIDさんへのメッセージを書き入れていた。

根津(左)のキックが平川を襲う(撮影・荒木理臣)

根津優太が平川智也に判定勝ち
 セミファイナルでは5月大会で約3年ぶりの修斗復帰を果たした根津優太と平川智也が対戦。根津が3-0の判定で勝利を収めた。

 序盤から根津がプレッシャーをかけ前へ出て、切れのあるローにハイキックで平川を追い込んでいく。平川は時折ローを放つがパンチは距離が遠く当たらない。2Rも根津がロー、ミドルで平川を削っていく。平川は距離を取っては時折パンチで飛び込むが、根津はバックステップでかわしクリーンヒットを許さない。3Rになると平川がプレッシャーをかけ前に出始め、タックルを決める場面もあったが最後まで根津を捕まえることができず、3-0の判定で根津が勝利を収めた。

 平川はバンタム級転向後3連勝で、元環太平洋王者の根津を破ればタイトル挑戦へ大きなアピールとなる一戦だったが、惜しい星を落とした格好となった。

石橋がバックマウントを奪いパウンドの連打を落とす(撮影・荒木理臣)

石橋佳大が1年ぶりの修斗復帰戦を白星で飾る
 第7試合では前環太平洋バンタム級王者の石橋佳大が1年ぶりの復帰戦でドレックス・ザンボアンガと対戦した。

 1R、石橋はパンチをかいくぐり、タックルからテイクダウンを決めるとグラウンドでコントロール。何度か立ち上がるザンボアンガだが、その度に石橋がグラウンドに戻し、パウンド、そしてスリーパーを狙っていく。

 2Rも石橋はパンチを見せてからのタックルから難なくテイクダウンを奪っては強烈なパウンドにヒジを落としていく。ザンボアンガが嫌がり後ろを向くとスリーパーを狙うが、ザンボアンガは驚異的な粘りを見せしのぎ切る。

 3Rになっても前に出続けるザンボアンガだが、石橋はやはりタックルを難なく決めると1、2R同様、上を取って攻め立てる。

 流れの中で上を取る場面もあったザンボアンガだったが、石橋は下になっても慌てることなくザンボアンガをコントロール。最後もマウントを取り返したところで試合終了のブザーが鳴った。

 判定はジャッジ2人が30-26、1人が29-27と圧倒的な差をつけて石橋が約1年ぶりの復帰戦を飾った。

箕輪のパウンドを必死にこらえる小巻だったが…(撮影・荒木理臣)

箕輪ひろばがインフィニティリーグ優勝へ望み残す
 この日は「インフィニティリーグ2018 ストロー級」の公式戦「小巻洋平vs箕輪ひろば」の一戦が行われた。

 1RでのKOまたは一本勝ちだと勝ち点4、2RでのKOまたは一本勝ちだと勝ち点3というように早いラウンドでの決着だと高得点となるシステムのこのリーグ戦。試合が始まる前の段階でこれが最終戦の小巻が11点でトップに立ち、2試合を残す箕輪は3点。箕輪が優勝の望みを残すためには1Rでの勝利が義務付けられていた。

 しかし先手を取ったのは小巻。タックルから横にいなしバックを取るとすばやく箕輪の背に乗る。前に落とす箕輪だが、小巻はならばと腕を決めにいく。脱出した箕輪だったが、小巻はバックをキープしたまま。またも背に乗り、落とされると腕十字、横三角絞めとしつこいグラウンドで箕輪を追い込んでいく。しかし箕輪はグラウンドでもつれたところでマウントを奪うとパウンドの連打。がっちり乗られてしまった小巻は腕をクロスさせガード。そしてケージを蹴って脱出を図るが、箕輪のパウンドは止まらない。レフェリーストップを阻止すべく動きを止めない小巻だったが、残り30秒を切ったところでたまらずレフェリーが割って入り、箕輪が1R4分36秒、KOで勝利を収め、勝ち点4を獲得。計7点として、12月に行われるニシダ☆ショーとの最終戦に優勝の望みをつないだ。

「プロフェッショナル修斗公式戦」(9月23日、東京・後楽園ホール)
◆メインイベント第9試合 フェザー級5分3R
●TOMA(直心会)(判定0-3=27-30、27-30、28-29)リオン武(ライジングサン)◯

◆セミファイナル第8試合 バンタム級5分3R
●平川智也(マスタージャパン)(判定0-3=27-30、27-30、28-29)根津優太(&MOSH)◯

◆第7試合 バンタム級5分3R
◯石橋 佳大(Duroジム)(判定3-0=30-26、30-26、29-27)ドレックス・ザンボアンガ(TOUGH GUYS INTERNATIONAL)●

◆第6試合 ライト級5分3R
◯大尊 伸光(総合格闘技津田沼道場)(1R1分20秒、KO)田中 有(総合格闘技道場reliable)●

◆第5試合 フライ級5分3R
●覇彌斗(総合格闘技道場BURST)(1R4分9秒、KO)清水清隆(TRIBE TOKYO M.M.A)〇

◆第4試合 バンタム級5分3R
◯魚井フルスイング(和術慧舟會HEARTS)(2R1分30秒、KO)土屋大喜(roots)●

◆第3試合「インフィニティリーグ2018」ストロー級5分2R
●小巻洋平(総合格闘技道場reliable)(1R4分36秒、KO)箕輪ひろば(総合格闘技道場STF)◯

◆第2試合 バンタム級女子5分2R
◯セラ(PUREBRED)(判定3-0=20-18、20-18、20-18)高森惟舞(総合格闘技道場BURST)●

◆第1試合 バンタム級5分2R
〇齋藤翼(総合格闘技津田沼道場)(2R2分3秒、スリーパーホールド)水島 宏(roots)●