インパクト大の“前後不覚”なネコは天才!?猫写真家・沖昌之が“必死すぎるネコ”を撮り逃さないワケ

10月18日、『必死すぎるネコ 〜前後不覚 篇〜』発売記念 沖昌之さんの“必死すぎる”ギャラリートーク
 猫写真家の沖昌之が、累計発行部数5万部を突破した写真集『必死すぎるネコ』の第2弾、『必死すぎるネコ 〜前後不覚 篇〜』の発売を記念したトークイベントを新宿の紀伊國屋書店新宿本店にて行った。イベント冒頭で、前回の写真集を制作する前の段階で、担当編集者から手塚治虫の漫画『火の鳥』のように「○○編」を重ねながら超大作化させる壮大な構想を提案されたことを明かした沖。当初はあまりの熱意に戸惑いつつも、結果的にその写真集のヒットがプロの猫写真家として活動を続ける力になったそうで、「そういう意味で僕にとって『必死すぎるネコ』は大事なターニングポイント」と語った。この日は『必死すぎるネコ 〜前後不覚 篇〜』に収録した写真の撮影エピソードを中心にトーク。
『必死すぎるネコ 〜前後不覚 篇〜』(辰巳出版)
 まず表紙のビニールテープで目隠しされたような猫について、この猫が立ち入り禁止のアパートの階段でビニールテープに臭いづけを始めたため、シャッターチャンスを狙って通いつめたという。「何回も通っていくうちに、シャッターを切っているタイミングで、猫が察してビニールテープに触れて止まってくれた。もうちょっとパンチを効かせてくれるかなとジッと見ていたら、なぜかそのまま前に顔をグイッと押し出して、『この子天才すぎる!』と思って(笑)」と撮影。実は別の写真集に使おうと考えていたが、担当編集者とアートディレクターの強い要望で今回の表紙に採用された。沖も思い入れがあり「この写真が表紙になって書店に並んでいるのがすごくうれしい」と喜んだ。

身振り手振りを交えて“前後不覚”な表紙の猫の撮影エピソードを語る沖
 前回の表紙の猫「サトちゃん」が「キケン」と書かれた排水口におしっこをしているカット(P.16)は「なにが“キケン”なんだろうと思って、どこかのタイミングで(猫が)行きそう」と毎日通って訪れた瞬間を切り取った。沖いわく「余裕をかましているように見えるが、若干イカ耳で悪いことをしているのはなんとなく感じられるのが猫らしい」とか。この一枚と猫が鳩を捕まえて走っていくカット(P.59)は、お蔵入りにしようか迷っていた写真を担当編集者とアートディレクターが揃って激称。その写真のセレクトに「いいものをいいと言ってくれる、僕にとってはすごくいいパートナー」と信頼を口にした。
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