「ポジティブな言葉としての“HOMESICK”」 伊藤万理華が、展覧会『HOMESICK』に込めた思い

左から、MCの菊池亜希子、 伊藤万理華
 渋谷のGALLERY Xにて、今年1月24日~2月11日まで『伊藤万理華EXHIBITION “HOMESICK”』を開催した伊藤さん。現在は大阪梅田ロフト(17日まで)、3月31日からは名古屋PARCO(〜 4月19日まで)で開催を予定している。

「乃木坂卒業前にも、GALLERY Xさんで個展を開催させていただいたのですが、そのとき以来2度目の開催。前回は、卒業というテーマがあり、有終の美を飾るための個展だったのですが、今回はより自由に、パーソナルな人間的な部分をさらけ出しています」

 さまざまなクリエイターとコラボして作品を制作した本展。漫画家・椎名うみさんは、“HOMESICK”のために短編新作を描き下ろし、写真家・前康輔さんは、伊藤さん本人がスタイリングを手掛けたうえで、伊藤さんの自宅で撮影を敢行するなどファッションとプライベートの魅力が掛け合わされた写真を展示。さらには、乃木坂46時代から親交のある柳沢翔監督が、先の椎名さんの短編作品と対をなす映像作品を作り、 コラムを連載中のファッション雑誌「装苑」とのコラボでは、伊藤さんが注目するファッションブランドのBODYSONG.、PERMINITE、tanaka daisuke、3ブランドと共に衣装を制作し、振付師・菅尾なぎささんが、その衣装や今作のテーマを元に、ファッションとダンスを有機的に掛け合わせた映像を制作するなど、バラエティ豊かな個展を実現している。

“HOMESICK”という展覧会名に込められた想いを聞くと。

「自分のことや家族関係が作品のテーマ軸としてありました。親との関係性であったり、人とのコミュニケーションであったり、そういったことを打破するための “HOMESICK”。コミュニケーションを重ねて、家から飛び出していくまでの過程を表現していて、ポジティブな言葉として“HOMESICK”をとらえています」

 本展は、彼女のクリエイター、キュレーターとしての観点からクリエイター4人と3ブランドを起用し、コラボレーション作品を製作・展示している。 「全部につながりがあるのが面白いと思うので、発見してほしいです」と、伊藤さんはほほ笑む。

「お願いしたテーマの一つに、踊れる衣装ということをお伝えさせていただきました。“HOMESICK”に共通している私自身の話や家族の話を全員のクリエイターさんとお話しさせていただき、皆さんのインスピレーションに委ねたいです、と。どういったものが戻ってくるのか、どんな共通点があるのか、私自身もすごく楽しみでした」

 打ち合わせは、議論に議論を重ね、丁々発止だったという。「迷惑をかけたかも」、そう彼女は申し訳なさそうに笑う。だが、真剣に向き合ったからこそ、思いや情熱がこもった展覧会になっている。

 前回の展覧会「伊藤万理華の脳内博覧会」では3万人を動員。鉱物や苔までをも愛し、独自の視点で世界を見つめる伊藤さんの脳内に迫り、話題を呼んだ。

「卒業というタイミングに加え、乃木坂46というグループの名前もあったからたくさん来ていただけたんだと思います」と謙遜したうえで、「今回は自分から宣伝しなければならないと思って、どうにか興味を持ってもらえるようにいろいろ仕掛けました」と語る。