それでも「未来に誇れる日本」のために!【長島昭久のリアリズム】

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政治不信を一掃し、日本経済を再び成長軌道へ!

 さわやかな大谷翔平選手のL.A.ドジャース入団の報道と終盤国会を揺るがした「派閥パーティ裏金問題」をめぐる暗いニュースが交錯する中、複雑な思いで本稿を認(したた)めています。

 本来は、同時進行で策定された来年度『予算大綱』と『税制改革大綱』について真っ先に報告せねばならないところです。しかし、「政策」以前の問題として、今回の「政治とカネ」事件について、自民党国会議員として率直にお詫びせねばなりません。もちろん、私自身は、政治活動に係る全ての収支は報告・公開しております。しかし、自分は潔白だと叫ぶだけでは済まされないほど事態は深刻です。政治への信頼回復、とりわけ自民党政治に対する国民の皆さまの不信感の払拭に全力を挙げねばなりません。

「政治資金規正法」を改正し、透明性を確保せよ!

緊急に改革すべきポイントは、以下の3つだと考えます。第一に派閥によるパーティを禁止すること、第二に不透明で恣意的な運用が常態化している政党の「政策活動費」を抜本的に見直すこと、第三に収支報告に関し会計責任者と国会議員との間に原則として「連座制」を適用するよう政治資金規正法を改正すること、などです。現行法では、議員側からの積極的な働きかけが認定できない限り処罰されるのは会計責任者のみということになってしまいますが、これを原則連座制にして、会計責任者による独断専行が立証されない限り議員も処罰の対象となるよう法改正するものです。これにより、収支報告書不記載に対する抑止が高まると考えます。いずれにせよ、政治とカネをめぐっては、法律以前に、私自身も含め政治家が厳しく自らを律する姿勢が求められると考えます。

 その上で、日本経済を再び成長軌道に乗せ、国民の暮らしを豊かにするための政府与党の総合政策を、『予算大綱』『税制改革大綱』に沿って、ここに報告させていただきます。

「物価高に負けない賃上げ」を実現し、デフレから完全脱却!

 私が最も重視するポイントは、以下の3つです。

(1)給料が上がる経済の構築・・・来年の夏までに
(2)こども達の未来を保障する社会の実現・・・数年以内に
(3)再び成長する日本経済の創造・・・中長期を見据えて

(1)家計の可処分所得を拡大し、消費拡大からデフレ完全脱却への道筋を描くため、①定額減税(2024年度の所得税・住民税から納税者本人と扶養家族一人当たり4万円を差し引く:4人家族なら16万円)、②賃上げ促進税制の大幅拡充・延長(大企業や中小企業に加え、新たに「中堅企業」にも税制優遇措置を拡張し、物価高に負けない賃上げを全ての企業に促す)、③非課税扱いの経費として計上できる「企業交際費」を5000円から1万円に倍増(中小企業向け交際費年間800万円まで損金扱いできる特例も延長)など。

(2)こどもの未来を保障するために、①児童手当の対象を高校生まで拡大し所得制限も撤廃、②その代わり、扶養控除については、現行の所得税38万円を25万円に、住民税33万円を12万円に縮小する方針ですが、政府試算では高校生への児童手当月額1万円(年12万円)が支給されれば、手取り額は世帯収入に応じて3.9万円から12万円増える見込みです。③扶養控除の見直しに合わせ、ひとり親への税制優遇も拡充、④すでに縮小が決まっていた住宅ローン減税は、子育て世帯や若者世帯に限り上限額を1年延長するなど。

(3)中長期の成長政策として、半導体や脱炭素など国際競争が激化する戦略物資や技術革新についての国内回帰をさらに促進するため、「戦略分野国内生産促進税制」(法人税を10年間最大4割控除)を新設します。これは、欧米など各国が優遇税制によって有力企業の囲い込みを図っていることに対する競争政策の一環で、大規模な企業支援を通じて国内投資を後押しし、賃上げや経済成長につなげていくものです。すでに、台湾の最先端半導体メーカーTSMCの誘致で活況を呈する熊本はじめ、北海道や広島、三重など海外企業との提携や海外からの投資の拡大によって、中長期の経済成長を軌道に乗せていきます。

デフレよ、さらば!「未来に誇れる日本」に増税は必要なし!

 このように、今回の『予算大綱』や『税制改革大綱』で示した道筋こそ、政府が目指す「物価高に負けない賃上げ」トレンドを遅くとも来年夏のボーナス支給時期までに確かなものとし、30年続いた重苦しいデフレからの完全脱却を実現するものです。それが達成されれば、税収は自ずと拡大しプライマリー・バランスの黒字化は実現するでしょう。つまり、増税の必要はないのです。

 私も、引き続き、働く人々の給料が上がりこども達の未来を守り日本経済を成長させる政策実現ために、全力で国政に邁進してまいります。

【長島昭久プロフィル】
自由民主党 衆議院議員7期・東京18区(武蔵野市・府中市・小金井市)。
1962年生まれ。慶應義塾大学で修士号(憲法学)、米ジョンズ・ホプキンス大学SAISで修士号(国際関係論)取得。2003年に衆院選初当選。これまで防衛大臣政務官、総理大臣補佐官、防衛副大臣を歴任。2019年6月に自由民主党に入党。
日本スポーツ協会理事、日本スケート連盟会長。