豊島区で「としま子ども会議」報告会 子どもたちの提案を受けて区長や区職員が現状を報告


 令和5年度「としま子ども会議」の報告会が1月21日、豊島区役所の本会議場で行われた。昨年8月に開催された「としま子ども会議」で子どもたちが区に提案したことを、区がどのように反映し検討しているかを報告するもので、初めての開催。豊島区の高際みゆき区長らが、区の職員と子どもたちのやりとりを見守った。

 報告会では「障害のある方への理解促進」「子どもの権利について知ろう!広めよう!」「行きたくなる学校」「放課後の過ごし方」の4つのチームからの提案について、それぞれ、障害福祉課、子ども若者課、教育委員会庶務課、放課後対策課の提案に相当する部署の職員が回答。それに対して、提案をした子どもたちが感想、さらに提案をするスタイルで進められた。

 熱心な報告が行われるなかで、豊島区が早くから取り組んでいる「子どもの権利」チームの提案についてはより具体的な内容に。アニメやゲームとのコラボレーションする提案については、認知拡大のために豊島区の子ども相談のキャラクター“なやミミ”を使った立体アニメーションやLINEスタンプの活用して進めると報告。また「子どもの権利」についての出前授業を希望のあったすべての学校で行えるようにすること、授業の内容についても子どもたちと一緒に考えていくとした。さらに「子どもの権利」に関する子ども向けのウェブサイトも現状の大人向けのサイトのなかに作成するという。また、サンシャインシティでのイベント開催も積極的に進めていくとした。

 

「放課後の過ごし方」チームのやり取りも、参加した子どもたちはもちろん、区も傍聴席の保護者も前のめりだった。

 放課後に子どもたちが安全に過ごす場所が少ない現状から、児童館の中高生版「ジャンプ」のような施設やカフェなど地域の企業と協力することで放課後に過ごせる場所を作ってほしいという提案については、ジャンプのような場所をすぐに作ることは難しいとしながらもジャンプで中高生がやりたいことをできる場所でも実施できるようにしていくとし、区のタウンミーティング「チームとしま」で協力者を探すこと、NPOや企業にも働きかけていくとした。

 子どもたちのさまざまな提案のなかで共通していたのは子どもたちも分かるように情報提供をしてほしいというもの。障害のある方の理解を深めるYouTubeコンテンツやリーフレット、イベントなども大人に向けたもので、難しい言葉が使われていたり、とっつきにくいという。区ではそれを受けて各部署で子ども版のパンフレット制作を決定したと報告した。

 イベント終了後、参加した子どもたちに感想を聞くと、「いろいろな人の意見が聞けて楽しかった」「すごく充実した日でした。とても勉強になりました。また機会があったら参加したいです」と笑顔だった。

 

 高際みゆき区長は、「としま子ども会議」の目的について、「皆さんの意見をより良い区政に結びつけていくこともそうなんだけれども、1番は自分の考えをみんなで話し合って自分の言葉で表現してもらうこと」と説明。そのうえで、子どもの権利に関する条例に触れ、「大人も子どもも障害がある方も、外国から来て暮らしている方、高齢者の方も一人一人が人としての権利を持っています。みなさんももっともっと自分たちが言っていいんだ、言っていくぞっていう気持ちになってほしい」と呼びかけていた。

「としま子ども会議」は、豊島区在住・在学(概ね10~18歳)の子どもたちの意見表明や社会参加の場を確保することを目的に実施されているもの。これまで4回開かれており、昨年8月に行われた会議では、「障害のある方への理解促進」「子どもの権利について知ろう!広めよう!」「行きたくなる学校」「放課後の過ごし方」の4つのチームに分かれて意見交換や調査を行った。