世界初の線虫がん検査「N-NOSE」発明から10年 広津崇亮氏が語る挑戦と未来への決意

80万人の受検実績が物語る技術の価値

 2021年から本格的にサービスを開始されましたが、手応えはいかがですか。

「テレビCMを流して認知度は上がりましたが、新しいコンセプトの検査なので、興味を持ってもらえても実際に受検していただくまでに時間がかかりました。それでも4年間で累計80万人の方に受検していただき、多くの早期がん発見のきっかけに貢献できています。

 特に印象的なのは、早期で発見された方から“ありがとう”という声をたくさんいただくことです。従来のがん検査は末期で見つかることも多く、“なぜ見つけたんだ”という恨めしい気持ちになりがちですが、早期発見なら感謝していただけます。これは開発当初から目指していたことで、“がんは怖い病気という思いをなくしたい”という目標に近づいていると実感しています。

 また、予想外だったのは、がんが見つからなかった方からも“安心できた”という声が多いことです。尿を提出するだけで全身のがんリスクが低いと分かる安心感は、他の検査では得られない価値だと思います」

 発明から10年を記念した大感謝祭について教えてください。

「一人でも多くの方にこの技術を体験していただきたいという思いから、最初で最後となる大規模な価格特典を実施しています。通常1万6800円のN-NOSEが1万1800円(5000円割引)、膵臓がん特化検査のN-NOSE Plusすい臓は7万円から3万5000円と半額にしました。

 特に膵臓がんは早期発見が困難で、著名な方でも末期で発見されることが多い恐ろしいがんです。私たちが開発したN-NOSE Plusすい臓は、遺伝子組換えで作製した特殊線虫により、世界で初めて早期膵臓がんの検出が可能になった検査です」