世界が注目する老化抑制のメカニズム「オートファジー」とは? 大阪大学名誉教授が講演
インナービューティブランド「エステプロ・ラボ」新商品発表会が10月10日、都内で行われ、オートファジー研究の第一人者である大阪大学名誉教授で同大大学院医学系研究科の吉森保教授が「オートファジー 健康長寿の鍵を握る細胞のはたらき」をテーマに講演を行った。

吉森教授は「まず皆さんに知っていただきたいのは、生き物というのはすべて細胞からできているということ。病気や老化というのは原因は外的要因だが、それらが細胞に侵入することで起こっている。逆説的にいうと健康とは細胞が元気な状態ということで、人間とは37兆個の細胞の集合体」と説く。
「細胞の中には一つひとつ生きていて、目に見えないほど小さいけれど複雑な社会のようなものがある」といい「ミトコンドリアはエネルギーを作る発電所のような細胞小器官だが、細胞の中には発電所、工場、病院といった人間の社会とよく似た役割があり、その細胞の中で働いているのがタンパク質。細胞は自らタンパク質を合成することができて、数万種類のタンパク質それぞれに役割があり、タンパク質を運ぶ交通システムも存在する。細胞の中にあるさまざまなものを回収し、分解して再利用するシステムがオートファジーだ」と述べた。
「オートファジーの重要な役割の一つが細胞の新陳代謝で、脳や心臓のように入れ替わらない細胞も存在するが、基本的には毎日少しずつ細胞の中身を入れ替えている。オートファジーを止めたらどうなるかというと病気になるか死ぬかだ」、さらに「もう一つの重要な役割は細胞の中にしばしば現れる有害物、例えばウイルスやバクテリア、アルツハイマー病やパーキンソン病の原因となるタンパク質凝集塊などを分解することができる」と言及。