世界が注目する老化抑制のメカニズム「オートファジー」とは? 大阪大学名誉教授が講演

普通のネズミの約10倍長生きで、がんなどにもなりにくいハダカデバネズミ(Science Photo Library/アフロ)
「今、老化のメカニズムは世界中で研究されているが、多くの生命科学者は老化や死をコントロールできると考えている」として、その理由を「老化しない生物や死なない生物がすでに見つかっている。例えばハダカデバネズミの寿命は約30年と非常に長く、見た目も変わらなければ発がん率も極めて低い。ベニクラゲはある条件下で若返ることを繰り返す」と解説した。
そのうえで吉森教授は「オートファジーは年齢と共に低下するが、なぜ低下するのかというと、オートファジーの働きにブレーキをかけるルビコン(Rubicon)というタンパク質が増加するから。実験的手法でルビコンをなくした生物の寿命は約1.2倍に延びることが分かっており、加齢によってかかりやすくなる疾患も軒並み抑制された」と驚きの発見を語り「これから超高齢化社会を迎えるにあたり、大切なのはオートファジーの促進によって健康寿命を延ばすこと」と結論づけた。