人間国宝・坂東玉三郎「どんなに開発されようと、人間の肉体と魂の許容量は変わらない」

1992年、故・篠山紀信さんが撮影したポスターに「とにかくこういう衣装が着られることがうれしかった」

 お気に入りの料理を聞かれると「全部おいしいので特別なものを言うことはできないですね。ここができた頃は、前菜でお腹いっぱいになってしまうくらい素晴らしい前菜で。それで北京ダックとか、最後のほうにおそばを食べていたんです。海鮮が本当に素晴らしいのと、僕はお肉もいただいていて。もちろん料理は全部おいしいんですけど、杏仁豆腐もとてもさっぱりしていて、多分材料がいいんだと思います」と止まらない。

 玉三郎がよく注文しているという弁当も登場し「海鮮の炒めたものとエビチリと青椒肉絲、餃子、僕はハムがあまり好きではないので野菜チャーハン。ここの餃子と焼売のおいしさは普通の概念を超えるの」と絶賛。食生活のルーティンを聞かれると「基本的には芝居している時もお休みの時も変わらないです。動かない時はカロリーを消費しないので少し控えます。舞台の直前には食べられないので2時間以上前に食べる。声帯のためには牛肉がいいので、たくさんではないですけど朝に食べます」と明かす。

 伝統を守りながら常に新たな挑戦を続ける秘訣を「情報やテクノロジーによって人の気持ちの流通する速度が加速し、人間同士が思いを伝え合うことが難しい時代。それは料理の世界も私たち芸能の世界も同じ」としたうえで「肉体以外のものがどんなに開発されようと、人間の肉体と魂の許容量は変わらないと思う。そういう意味で、変わらないものと対峙してどうやっていくかということを考えています」と矜持を示した。