2025年の鍋、キーワードは鶏! 六本木の鶏焼き肉店の「地鶏白湯鍋」でホクホクになってきた

 1日が短くなり、冷え込む日も増えて、「今日は温かいものを食べたい」と、ぐつぐつと湯気があがる鍋を囲みたい季節がやってきた。それに合わせて、そして何かとグループで集まることが多くなるホリデーシーズンがスタートするなかで、話題や注目を集めるお店では今年の冬の鍋じたくも整った。

 六本木の国立美術館近くに店を構え、2周年を迎えた「鶏焼き肉 囲(かこい)」も、そうした店のひとつだ。

 オーナーの見冨右衛門と、大阪の名店「鳥匠いし井」の石井吉智氏がタッグを組んでスタートした鶏専門の焼き肉店。話題の鶏焼肉を新しいスタイルで提供することで話題の店だ。

 同店は今年の鍋シーズンに合わせて「地鶏白湯鍋」と「清湯薬膳鍋」の2種の鍋を用意、こだわりの鶏肉をベストな方法で提供する。

手羽元、もも、せせり……どの部位もていねいな仕事がされていて、想像以上早く火が入る

 いずれもコースで提供している。

「コラーゲンたっぷり! 地鶏白湯鍋」コース(要予約)は、鶏ガラを6時間以上煮込んだ濃厚な鶏白湯スープで、こだわりの鶏肉のさまざまな部位を食べ比べするように楽しめる。運ばれてきた肉の盛り合わせを見て最初に出てきた言葉は「きれい!」だ。

 牛や豚の薄切り肉に比べれば、火の入りにくいだろうと想像してしまうのは当然だが、手羽中はしっかりと包丁が入れられて下準備されている。手羽中、もも肉、せせり、ハラミ……どれもそれぞれの部位の美味しさや食感を損なわないようにと手がかけられているのを感じる。それも含めて、しっとりとしたピンク色の鶏肉にスマホを構えること必至だ。

 おいしく食べるために、特に鍋にはルールが付きまとうイメージがあるが、拍子抜けしてしまうほどのフリースタイルだ。もちろん聞けばポイントを教えてくれるのだけれど、「とりあえず手羽先を先に入れていただいて、親子つくねも先の方がいいかもしれないですね。その後は好きなものをご自由に」。

手羽中とつくねは先に投入

 一緒に鍋を囲む相手と「これいっとく?」「野菜、先に入れちゃいますか」と湯気越しに会話しながら、塩梅を見て入れていく。「こっちの部位は大きいから先に入れたほうがいいかもしれないね」といったやりとりも聴こえていそうなのに、「ご自由に」と笑顔だ。あの笑顔はどんなふうに食べても自信があるという証拠なのだろうと納得してトングを手に取った。

 テーブルで、つくねを完成させるのも楽しい。ふっくらとしたオレンジ色の卵黄を崩してぐるぐると、少しゆるめかなぐらいの柔らかさのつくねの原型を鶏白湯スープの中に滑らせる。最初に手羽先を入れた時も、野菜を入れた時もそうだったが、具材を鍋に合流させる時は、そっと、ふわっと。自然と手つきが優しくなる。

 そろそろ食べごろと、浮き上がってきたつくねを避けて、手羽先を取り出した。箸をいれるときれいに骨から外れ、口に運ぶとホロホロとほどけた。優しいスープと鶏の油が溶け合った丸くて優しいうまさがジンワリと口の中に広がる。テーブルを挟んで「おいしい」のユニゾンだ。

 つくねがスープからひょっこりと頭を出したところをすくい、ハフハフやりながら口に放り込むと、ツブツブとしたひき肉の食感が楽しい。

しゃぶしゃぶした鶏肉はジューシーで柔らかい

 それぞれの部位、やさしい出汁に何度目かのおいしいねと言った後、鍋にスペースができたところで、しゃしゃぶタイム。きれいにスライスされたむね肉を箸で持ち上げて鍋の中へ、そのまま箸を右に左にやさしく動かせば、準備はOK。アツアツの鶏をやさしく口に含むと鶏肉のおいしさがふわっと広がった。

 最後はご飯を投入して雑炊に。2人で取り分けると鍋は空っぽに。テーブルを占領していた具材もきれいになくなった。ただ、空腹状態で集合した記者たちの胃袋と心は心地よく満たされた。

 お店の名前の通りに、鶏焼き肉で人気も注目も集める店だが、冬場の鍋でさらに人を集めそう。もちろん欲張りに鶏焼き肉とお鍋のダブルで、心と体、ほくほくになってみるのもおすすめだ。

 

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