「今年の漢字は湯!」の原田龍二が思う秘湯巡りの魅力「温泉は付随するシチュエーションが大事。道中の一緒に行く人、食べるもの…」
温泉の神様みたいなものがいたらいいなと思った
式根島は秘湯の聖地として知られていますが、実際に行ってみて、何か違うところはありましたか?
「たまたまちょっと時間があったので、一人で散策したんですよ。当然何かを感じるためとか何かを求めてっていうわけじゃなくて。あっちこっち行けるっていうほどの時間ではなかったんですが、なんとなくで結局1万歩以上は歩きましたから結構いろいろなところに行ったんだなと思うんですが、精霊の話ばっかりして申し訳ないんですけれども、そういったものは感じざるを得ないというか。時期的なこともあるんでしょうけど、島民の方があまり外を歩いていらっしゃらなくて、そうなると自然を目にする時間が圧倒的に長くなる。そうすると多分、都会を歩く時とはやっぱり違うモードになっていると思うんですよね。自然が多いっていうことはそういうことだと思うんですよ、自然のエネルギーがそこらへんに満ちあふれている。“自然が綺麗だな”っていうだけで終わっちゃう人とそれ以上の何かを得られる人がいると思うんですが、僕は後者だと思うんです。自然と対話するというそこまで高尚なものはないんですけど、ここは自然というものが司っている島だなというのはダイレクトに分かりましたね」
式根島に限らずですが、島というのは何かしらそういう感じはありますよね?
「何かが支配していますよね。でも式根島に関しては温泉の神様みたいなものがいたらいいなというふうに思いました。だって、内科の湯・外科の湯といって、要するに体の内側に効く地鉈温泉、打ち身といった外科的なケガに効く足附温泉という温泉があるんですが、それも結構神秘的。当然、人間が気づいた事柄だと思うんですけどそこら辺は特に他の温泉地とは違った部分ですよね」
この番組は4月から始まっていますが、原田さんはもともと温泉が好きだったんですか?
「こういうふうに仕事で温泉に行く前はそれほど好んでは行ってなかったですね」
ではお風呂とか銭湯も含めてお湯につかることがもともと好きだったとか?
「僕、そこじゃないんですよね。もちろんそれも好きなんですけど、全ての雰囲気ですね。よく例えて言うんですけど、ここ(インタビューをした部屋)に名湯があってもひかれないというか。やっぱり自然の中とか、雰囲気のある宿の中の温泉だからこそ“温泉っていいな”と思うわけであって、ここでいいお風呂に入っても全然いいとは思わないと思います。温泉ももちろん大事なものなんですけど、それに付随するシチュエーションというか。そこまでの道中の時間とか、一緒に行く人とか、そこで食べるものとか。天気も左右するかもしれないですね。いくつかのそういった条件を満たすことが大事なんじゃないですかね。そういう旅のほうが印象に残りますよね」
この番組はその原田さんの嗜好が思いっきり突き詰められている感じがします。
「多分、“原田龍二はそういうのが好きなんだろうな”っていうことをキャッチしたプロデューサーの山口さんの力が大きいですね。普段はそれになかなか気づいてもらえないというか。僕はただの温泉好きじゃないんで。ただの温泉好きっていっぱいいると思うんです。温泉ソムリエの免許を取っていらっしゃるとか。でも僕はそういうところじゃないんですよね。まず大前提として旅が好きですし、旅に温泉はつきものだと思っていますしね。旅に出て温泉に入れなかったら、“それは旅としてどうなのかな?”と思ってしまいますから」
番組では原田さんとディレクターの並ちゃんとくりりんという気心の知れた仲間、そしてスタッフと山の中などを歩き回って野湯に行く。自然にあふれた道中では楽しいやり取りがあって、温泉にたどりついて湯につかる。
「旅感も味わえるし温泉も味わえる。スタッフとのやり取りが中心になりますけど、人との楽しいライブ感も楽しめる。だから地元の方と触れ合うというところに重きを置いてはいないんですよね。そこを通り越して温泉に行っちゃうんで」

