「今年の漢字は湯!」の原田龍二が思う秘湯巡りの魅力「温泉は付随するシチュエーションが大事。道中の一緒に行く人、食べるもの…」

今回のロケはくりりん(右)と2人

この番組は言いたいことを言わせてくれる

 そもそも人もそんなにいない秘境的なところに足を踏み入れているわけですからね。
「そうなんですよ。いたらいたで触れ合うのは大好きなんですが、そこがないので温泉に突出してる番組っていう印象が強くなるんでしょうね。旅寄りではなくて完全に温泉寄り。だから旅だとどうしても道中のいろんな人との出会いみたいなものに結構重きを置かれてきますけど、その部分は一緒に行っているディレクター2人とのやりとりだったりとか、スタッフとの部分で補うじゃないですけど、人と会えない分そういうところで僕は楽しんでいます」

 非常に3人のチームワークがいいように見えます。やり取りがはまっていて面白いです。回を重ねていく中でどんどん気心が知れていったという感じですか?
「そう言っていただけるのはうれしいですね。もう回を重ねるごとにという感じです。まず僕は相手を知るためには自分をさらけ出します。さらけ出そうと思ってさらけ出すわけじゃなく、自然とそうなる。特にこの番組に関しては言いたいことを言わせてくれる。そんな自分を見て、ディレクターの2人も心を開いてくれたらいいなとは思います」

 こういう番組って視聴者を意識して「こんないい温泉があって」とか「こんな旅は楽しい」といったことを伝えたがるケースが多いと思うんですが、ひょっとしたらそういうことをあまり意識していないのでは?
「意識してないですね。“伝える”ということは考えてないです。ただ、その質問に答えるとしたら“楽しさ”だけですね。温泉の良さは我々が気持ちよく入っている表情とかを見れば分かってくださるとは思いますし、効能などはテロップで出ますので、何にも考えてないです。それがいいのか悪いのかは分からないですけど、考えちゃうと計算高くなっちゃうと思うんですよ。あ、でもその前に、僕、台本を全然見てないんですよね。だから段取りなんかも分からないんです。行く所は分かっているんですが、行った先で何があるかは知りたくないんであえて見ないんです。どっちにしても僕らが楽しまないと楽しさが伝わらないと思うんですよ。楽しんでないのに“この温泉いいですよ”って言っても良さが伝わらないというか。良さを説明しなくても楽しく入ってるだけで僕はいいかなって思っていて、それが正解かどうかは分からないんですけど、そういう感じでやっています」

 それは自分の素のリアクションを見てほしいということですよね?
「そうです。人生そうですね。だって嫌じゃないですか。“2年後にこういうことがありますよ”って先に言われちゃうと。僕はなるべく知らないほうがいいですね。ドラマの台本は読みますが、知らなくてもできることは知らないままのほうがいいですね。要するにあらかじめいろいろ考えたくないんですよ。考えないと不安な人も当然いらっしゃるでしょうけど、僕はそういうことに時間を費やしたくないんです」

“湯ったり温泉バラエティ”とうたってはいますが、温泉につかるだけではなく、3人であーだこーだ言いながら道なき道を進んで温泉にたどり着くという道中も見どころの一つです。
「普通の旅番組では見ることはできない瞬間が多いと思います。旅番組じゃないけど旅感もある。でも“温泉に行く”っていう目的がちゃんとあるから、あれだけ縦横無尽にいろいろなことできるのかなと思いますね。目的がなかったら結構やばいですよね(笑)。何のためにこの人たち進んでるんだろうみたいな」