韓国・全州レポート!全州国際映画祭&全州舞台の新ドラマ、ビビンバ発祥の地の絶品ビビンバ

 ソウルからKTX(韓国高速鉄道)に乗って2時間弱、伝統家屋が立ち並ぶ韓屋村(ハノクマウル)を中心とした歴史と文化の街であり、韓国を代表する「食」の都である全州(チョンジュ)を今年も訪れた。第26回を迎えた全州国際映画祭に参加するためだ。拙作『RAMEN FEVER』(21)を公式上映してくれた縁もあり、3年連続で全州を訪れることになった。全州国際映画祭は韓国で釡山に次ぎ、2番目に大きな映画際であり、インディペンデント映画にフォーカスした「アジアのサンダンス映画祭」のような位置づけ。今年は4月30日から10日間に渡って世界57カ国から選ばれた、224本の映画が上映され数多くのゲストが来場した。

「第26回全州国際映画祭」(4月30日〜5月9日開催)より、全州が舞台のNetflixドラマ「隠し味にはロマンス」のホン・ファヨンとパク・ダンヒ監督(筆者撮影)

 日本ではゴールデンウィークの時期だが、韓国もちょうど4連休ということで韓国中の映画ファンが全州に集結してくる。今年は例年以上の熱気を感じたが、多くの作品のチケットが売り切れており、客層は相変わらず若い女性が多い。そしてグッズ販売店は連日開店前から長蛇の列ができており、多くの商品がすぐに売り切れていた。なかなか他の国際映画祭では見ない光景である。

 今年の全州国際映画祭のハイライトは、まずパク・チャヌク監督のマスターピース『復讐者に憐れみを』(02)と、チャヌクと実弟パク・チャンギョンが共同監督したオ・グァンロク主演の短編『ナイト・フィッシング』(11)の2本立て回顧上映だろう。韓国が誇る巨匠、チャヌクが登壇しトークイベントを開催した上映回はチケットが即完売の大人気ぶり。初めて『ナイト・フィッシング』を鑑賞したが、不思議な味わいのあるアトモスフェリックなファンタジー・ホラーで、両作とも「川と死」にまつわる鋭利なジャンル映画という点で共通していた。

 他にも『ナイト・フィッシング』に出演していた、イ・ジョンヒョン主演の2本『つぼみ』(96)と『誠実な国のアリス』(15)も衝撃だった。前者は1980年の光州事件に巻き込まれ正気を失ってしまった15歳の少女の末路を描いたワイルドでセンセーショナルな作品で、後者は寝たきりの夫の入院費を稼ぐために悪戦苦闘する妻の姿を描いた、時にバイオレントでショッキングな過激ブラックコメディだった。

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