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日本が生んだ「美」を再発見!天明屋尚「形質転換」展

2017.01.09 Vol.682

 日本の現代アートを代表する作家の一人・天明屋尚の2年ぶりの個展を開催。

「形質転換(Transformation)」と題し、新作を発表する。形質転換とは、外部から与えたDNAを遺伝情報として組み込み個体の表現型を変化させることを指す、生物学の用語。変化といっても、この場合その物質の組成や由来を踏まえて変化させるものであり、無方向的な突然変異とは異なる。これはまさに、日本美術のコンセプトや組成を踏襲した上で、偶発的ではなく確信犯的な改変を仕掛けてきた天明屋の作風を象徴するものだ。

 本展では、幕末明治期作とされる作者不明の洛中洛外図屏風(六曲一双)を大胆に変容させた、天明屋の作品のなかでは最大級の平面作品のほか、仏画の明王図や琳派の紅白梅図屏風を現代的に改変した作品、従来の鎧兜を変異させた立体作品を展示。さらに、初の試みとなる写真作品も発表予定。

 古美術的観点と、現代美術的観点。両方の視点を重ねつつ、新たな世界観を楽しみたい。

デザインの根源『画と機 山本耀司・朝倉優佳』

2016.12.26 Vol.681

 40年以上のキャリアを経て今なお斬新なクリエーションを生み出し続ける世界的デザイナー山本耀司の魅力と本質に迫る展覧会。

 最近のコレクションで、絵画とのコラボレーションを展開している山本。本展では「画と機」と題し、ここ数シーズンにわたりヨウジヤマモトの服づくりに熱を与えた若手画家・朝倉優佳の作品も交えながら、本展のために山本が制作した絵画や彫刻を展示。さらには、美術館の会場で製作した未発表作品なども公開する。

「画と機」という展覧会名は山本の希望により、旧知の編集工学者・松岡正剛が考えたもの。「画」は絵画を、「機」は「はずみ」や「機会」「機織(服)」を意味し、絵画とファッション、二次元と三次元、男と女など、反発しながらも引かれ合い、つながり続ける関係性を表している。そしてこの関係性こそが、山本のクリエーションを追う上でも重要なキーワードとなってくる。また、2つの言葉をつなげれば“ガキ”とも読め、時代に流されない反骨精神を持ち、自由で大胆な精神で、デザインの最前線に立ち続ける山本の姿にも重なる。

 ファッションとアートという枠組みを越え、創造の現場を体感する刺激的な展覧会となるはず。

デザインの根源『マリメッコ展—デザイン、ファブリック、ライフスタイル』

2016.12.26 Vol.681

 フィンランドを代表するデザインハウス・マリメッコ。その代表的ファブリックをはじめ、ヴィンテージドレスやデザイナー自筆のスケッチ、各時代の資料など貴重な資料を揃え、マリメッコ60年の歴史をたどる国内初の大規模な巡回展。

 マリメッコは1951年にアルミ・ラティアによってヘルシンキで創業され、優れたデザインと巧みなPR戦略によって、60年代には世界的なブランドへと成長。マリメッコが生み出す布地の柄の多くは、フィンランドの伝統的なモチーフや自然に着想を得ながらも、大胆でカラフル、抽象的。そうした柄がよく映えるシンプルなカッティングのドレスが一躍、人気を集めた。その後、家庭用品やインテリアにも展開され、ファッションのみならず高い人気を誇っている。

 本展では、ヘルシンキのデザイン・ミュージアムの所蔵作品から、ファブリック約50点、貴重なヴィンテージドレス約60点などを展示するほか、スケッチや各時代の資料など計200点以上を公開。貴重な作品や資料とともに、世界的な人気を誇るデザインの秘密に迫る。

世界へ飛び出せ! 日本の若き才能たち。舘鼻則孝 呪力の美学

2016.12.14 Vol.680

 レディー・ガガが愛用する「ヒールレスシューズ」のデザイナーとしても知られる舘鼻則孝が、アトリエなどを含む岡本太郎記念館全体をジャックし、太郎にオマージュを捧げる展覧会を開催。

 卒業制作の「ヒールレスシューズ」がレディー・ガガの目にとまり、一躍アートシーンに躍り出た舘鼻だが、それは才能や運によるものだけではなかった。高校時代に、世界に通用するファッションデザイナーになると決意した舘鼻は、服飾専門学校ではなく東京藝大で染織を学ぶ道を選択。高校生のころからコムデギャルソンに通いつめて8年がかりでプレゼンテーションのチャンスをつかみ、ヒールレスシューズを売り込むために膨大なメールを世界中にばら撒いたという。創造的な野心を持ち、戦略的なヴィジョンと戦術的なアクションによって才能を開花させてきた舘鼻。そんな彼が、情熱と論理、そして行動の人である岡本太郎に共鳴したのは、当然のことだったのかもしれない。

 本展では新作をはじめ、自身のガイコツを鋳造彫刻にした「TRACES OF A CONTINUING HISTORY」の一部を初めて一般公開。太郎と対峙することで、増幅する舘鼻ワールドのエネルギーを感じよう。

【時間】10?18時(最終入館17時30分)
【休】火曜日(祝日の場合は開館)、年末年始(12/28?1/4)
【料金】一般620円、小学生310円
【問い合わせ】03-3406-0801
【交通】地下鉄 表参道駅より徒歩8分
【URL】 http://www.taro-okamoto.or.jp/

世界へ飛び出せ! 日本の若き才能たち。未来を担う美術家たち 19th DOMANI・明日展 文化庁新進芸術家海外研修制度の成果

2016.12.13 Vol.680

 1967年度から文化庁が実施している「新進芸術家海外研修制度」は、将来の日本の芸術界を支える人材の育成のため、若手芸術家が海外の大学や関係機関等で行う研修を支援する制度。そうした研修の成果を発表する機会として、1998年から開催されているのが「ドマーニ・明日展」だ。国立新美術館を会場とした大規模なグループ展に加え、2015年には、より小さな規模でキュレーションの度合いを高めた企画「ドマーニ・プラス展」もスタート。2つの企画で、多くの若手芸術家を紹介している。

 今回で19回目を迎えるドマーニ展では、研修を終えて比較的時間の浅いフレッシュな作家たちを主に選出。絵画、写真、映像、アニメーション、インスタレーション、陶芸、メディア・アートなど、多様なジャンルの作家が集う。また滞在先も、フランスやドイツ、アメリカといった欧米だけでなくカンボジアやフィリピンなど、アジアや南半球にまで広がっている。世界各地に飛び出した日本の若い芸術家の将来を期待しつつ、彼らが現地で芽吹かせた表現力を感じてみよう。

【時間】10?18時(金土は20時まで。入場は閉館の30分前まで)
【休】火曜、年末年始(12/20?1/10)
【料金】一般1000円、大学生500円、高校生および18歳未満は入場無料
【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)
【交通】地下鉄 乃木坂駅 6番出口(美術館直結)
【URL】 http://domani-ten.com/

吉岡里帆、クリスマスは「お客さんと一緒に!」

2016.12.12 Vol.680

 女優の吉岡里穂が11日、上野の森美術館で開催中の『デトロイト美術館展~大西洋を渡ったヨーロッパの名画たち~』の夜間特別開館『クリスマス・ナイトミュージアム』オープニングイベントに出席した。

 アート好きで、美術館にもよく足を運ぶという吉岡。本展について「一生で一度しか観られないような作品が集まり、それぞれの作家の想いを感じることが出来ました」とコメント。クリスマス仕様に飾り付けられた展示室については「とてもラグジュアリーな気分を楽しむ時間が過ごせそう」と話した。

 自身のクリスマスの予定については「ミュージカルの公演真っ最中なので、お客様と一緒にお祝いします。ケーキを食べる時間があればいいですね」とのこと。

『クリスマス・ナイトミュージアム』は、12月17、24、25日の3日間で開催。

 
 

写真家が、見つめたもの『Flowers』写大ギャラリー・コレクションより

2016.11.29 Vol.679

 国内外の写真家の貴重なオリジナル・プリント1万点以上を所蔵している写大ギャラリー。そのコレクションの中から“花”をキーワードに作品をセレクト。モノクロ、カラー合わせて約50点の作品を展示する。

 世界中の文化において、古来より花は備えられ、身に着けられ、工芸品や日用品に描かれることで、人の日常に彩りと潤いを与えてきた。花はあらゆる文化圏において人の心と体に寄り添ってきた普遍的な存在であり、同時に芸術家たちにもインスピレーションをもたらしてきた。写真においても例外ではなく、19世紀の写真術発明当初から、花は被写体として写真家たちに好まれてきた。主題にも背景にもなり、作品に美しさを添えながら、写真家の視線や思考を現してきた。

 本展では、19世紀後半から現代まで古今東西の作品を幅広く紹介。花が写真に写されたそれぞれの時代や地域、文化の中でどのような意味を持っていたのか。そして写真家がどんな思いを込めて花を見つめたのか、思いを巡らせてみたい。

【時間】10?20時【休】会期中無休【料金】入場無料【問い合わせ】03-3372-1321(代)【交通】地下鉄 中野坂上駅1番出口より徒歩7分【URL】 http://www.shadai.t-kougei.ac.jp

写真家が、見つめたもの 瑛九1935-1937 闇の中で「レアル」をさがす

2016.11.29 Vol.679

 1936年、フォト・デッサン集『眠りの理由』で鮮烈なデビューを飾り、戦後日本の美術界に大きな影響を与えた芸術家・瑛九(えいきゅう、本名:杉田秀夫、1911?1960)の、若き時代に着目した展覧会。

 近年、新たに収蔵したフォト・デッサンやコラージュなど当時の作品約50点の他、友人への手紙を中心とした貴重な資料の数々を初公開。若き芸術家の苦悩と葛藤を、作品と彼自身の言葉の両面から追体験させる。特に手紙は、戦前の前衛アートシーンを語るドキュメント資料としても貴重で、今回は約60通をカタログに翻刻掲載という形で一挙公開する。他にも、エッチングやリトグラフなど戦後や晩年の作品10点も展示。計約60点のミニ回顧展として、瑛九の全体像に触れられる機会となっている。

 戦前、戦後の日本の前衛芸術のなかで、岡本太郎などとともに重要なアーティストのひとりである瑛九。当時、まだ若かった細江英公や池田満寿夫、河原温などにも影響を与えた、瑛九の個性的な芸術的センスに触れてみたい。

【時間】10?17時(金土は20時まで。入館は閉館の30分前まで)【休】月曜(1/2、9は開館)、年末年始(12/28?1/1)、1/10【料金】一般430円、大学生130円【問い合わせ】03-5777-8600(ハローダイヤル)【交通】地下鉄 竹橋駅1b出口より徒歩3分【URL】 http://www.momat.go.jp/

美術館の“お宝”コレクション大集合!開館30周年記念 コレクションの5つの物語

2016.11.17 Vol.678

 1986年に開館した世田谷美術館の、開館30周年を記念するコレクション展。

「生活空間としての美術館」をコンセプトに建築家・内井昭蔵が手掛けた独特で優雅な建築空間では、同時代の最先端の美術から古代の発掘品まで、幅広いテーマで多彩な展覧会が行われてきた。それに加え、同館では素朴派、現代美術、世田谷ゆかりの作家の3つのテーマを柱に収集活動も行っており、所蔵作品は現在1万6000点を数える。

 本展では、そんな同館のコレクションのなかから、フランスの素朴派を起点に、時代やジャンルを超えて優れた作品を一挙紹介。5つの“物語”を中心に全8パートで構成する。マックス・エルンストやアンリ・ルソー、セラフィーヌ・ルイといった海外の巨匠作家の他、横尾忠則、土方久功、桑原甲子雄ら、絵画、彫刻、写真作品など、同館選りすぐりの収蔵作品が集う。

美術館の“お宝”コレクション大集合!総合開館20周年記念 TOPコレクション 東京・TOKYO

2016.11.16 Vol.678

 東京都写真美術館リニューアル・オープン後、最初のコレクション展。今回は「東京を表現、記録した国内外の写真作品を収集する」という同館の収集方針の一つのもとに集められた作品の中から、戦後から現代の作品を中心に紹介する。

 一つのイメージに集約しきれない、多層的な大都市・東京を、写真家たちは、それぞれどんな視点で切り取り、表現してきたのか。本展では、石元泰博や東松照明といった戦後日本の写真界を代表する大御所から、荒木経惟、森山大道ら現代写真の代表的写真家、ホンマタカシ、本城直季といった若い世代にも人気の写真家など、40名以上の作家による作品が揃う。会場では「見えないものを覗き見る」「どこでもない風景」などの切り口で展示構成。見慣れた東京、見知らぬ東京の風景を歩いてみよう。

広い世界が、見えてくる「ラッキーワイド×のら猫クロッチ」展

2016.10.27 Vol.677

 目ヂカラ満点のキャラクター「のら猫クロッチ」と、造形作家集団ラッキーワイドのクリエイターたちによる展覧会。

 2007年に誕生して以来、ユニークな活動を続けてきたキャラクター「のら猫クロッチ」が、イベントやテレビセットなどの立体造形から、特殊美術造形までを手掛ける造形のプロフェッショナル・ラッキーワイドとコラボ。有志のアーティストたちがクロッチをモチーフに制作した、さまざまな作品を一挙展示。木、石、金属、FRP樹脂、カーボンファイバーなど、多彩な素材を駆使し、お面、時計、立体像、絵画やオブジェ、さらにはねぷたまで、多種多様な作品が勢ぞろいする。展覧会では、のら猫クロッチの原作品と世界観の紹介やコラボ作品の展示のほか、国内外で行ってきた非営利活動「のら猫クロッチと同行二人」プロジェクトも紹介。

 都会のとある住宅街の片すみで生きるのら猫クロッチが、さまざまな人と出会い、生み出した“縁”にふれてみて。

【時間】10?20時【休】会期中無休【料金】入場無料【問い合わせ】03-3403-6604【交通】地下鉄 六本木駅3番出口より徒歩4分【URL】 http://striped-house.com/

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