その男、孤独につき『小説 孤独のグルメ 望郷篇』

2019.10.26 Vol.723

 10月からSeason8の放送が始まったドラマ「孤独のグルメ」。井之頭五郎といえばすっかり松重豊のイメージが板についている人も多いだろう。  ドラマ版の原作『孤独のグルメ』は原作・久住昌之、作画・谷口ジローによる漫画だが、この漫画の連載を立ち上げた編集者が本書の著者・壹岐真也である。WEB媒体「日刊SPA!」で連載された漫画版を底本としたオリジナル小説をまとめたものが『小説 孤独のグルメ 望郷編』だ。  小説版は、設定こそ井之頭五郎だが、漫画版にもドラマ版にも依拠しないオリジナルな魅力にあふれている。たとえば小説なのでドラマや漫画よりどっぷり五郎のモノローグで進行していくのだが、どこかで聞いたような唄やフレーズが度々挟み込まれるあたり。フリーランスとして1人で仕事をしている五郎の頭の中には、常に心のつぶやきに加え入れ替わり立ち替わりいつかの回想や音楽や言葉が鳴っているのだろう。分かる。日常的に孤独に親しんだ経験があるならば理解できるはずだ。  もちろん食べたことがないのに〈懐かしい〉食べ物の数々も健在。著者の分身かとも思うが、酒を飲まずにカルピスウォーターを愛飲しているところは、パラレルワールドを生きる五郎というべきか。マルコヴィッチならぬ井之頭五郎の穴のような読書体験だ。

美味しさは出汁から。精進料理を浅草で

2016.11.28 Vol.679
「孤独のグルメ」「花のズボラ飯」の久住昌之が原案協力を手がける、肉も魚も使わない、野菜中心の精進グルメまんが「サチのお寺ごはん」。  1、2巻が好調に版を重ねている人気作の最新3巻の発売を記念して、作品中の料理を実食できる「おとのお寺ごはん」が日本酒とお出汁の和食店「浅草おと」で開催中だ。  いちいちツイていないことだらけのOL・臼井幸が、お寺ごはんを通じて心身ともに元気を取り戻す「サチのお寺ごはん」から、特に読者人気の高かった4品が、年内いっぱいまで食べられる。  日本酒のあてに出汁を湯のみで出す「浅草おと」のこだわり出汁がよく浸みた「茄子の揚げ浸し」、みじん切りにした野菜を豆腐、大和芋を合わせた生地に混ぜ込んで揚げた「飛竜頭」、「人間の生き様を表した」(レシピ監修の青江覚峰氏)という彼岸寿司、香りが素晴らしいキノコ海苔和えと、どれも精進料理の魅力を知ることができるメニューばかりだ。 【開催日時】開催中。年内営業最終日まで。17?24時(L.O.23時、ドリンクL.O.23時30分)【場所】浅草おと【定休日】月曜日【料金】・彼岸寿司 780円・キノコ海苔和え480円・飛竜頭620円・茄子揚げ浸し420円 ※以上、すべて税抜き価格。【問い合わせ】浅草おと(TEL:03-5830-7720 〔HP〕 http://oto.jpn.com/asakusa/ )

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