野田改造内閣 岡田副総理で消費増税へ態勢強化

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(Photo/AFLO)

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 野田佳彦首相は13日、昨年9月の就任後初の内閣改造を行った。副総理兼社会保障と税の一体改革・行政改革担当相として、党代表経験者の岡田克也民主党前幹事長を起用し、消費税増税を含む一体改革への「不退転の決意」を鮮明にした。首相は同日夕、記者会見し「先送りできない課題を推進する最善かつ最強の布陣をつくるための改造だ」と強調した。

 首相は一体改革について「国民の歓心を買う政治ではなく、つらいテーマも訴え理解してもらえる政治をつくれるかという正念場だ」と位置づけた。岡田氏については「大きなテーマでぶれないで、逃げないで結論を出してくれる政治家」と期待感を示した。

 参院で問責決議を受けた一川保夫、山岡賢次両氏に代わり、防衛相に田中直紀氏、国家公安委員長兼拉致問題・消費者担当相に松原仁氏を起用。首相は田中氏について「豊富な政治的な経験と蓄積を評価した」と説明した。

 しかし田中氏の防衛相就任には驚きと困惑の声が広がった。安全保障に「素人」だった一川氏の後任には精通した人材が起用されるとみられていたからだ。懸案の米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)移設問題のかじ取りを任せるには適材とはいえず、沖縄県では野田首相の「本気度」を疑問視している。「経験を生かし全力で取り組む」。田中氏は抱負を語ったが、経験といっても自民党時代に外務政務次官、民主党に移ってからは参院外交防衛委員長を務めた程度だ。

 野田首相は16日、都内のホテルで開かれた定期党大会で挨拶し、消費税増税関連法案に関し「『参院では与党が少数だから法案が通らない』ではなく、参院に法案を送り、つぶしたらどうなるか野党によく考えていただく手法も時には採用していく」と、社会保障と税の一体改革に関する与野党協議を拒否している自民党などを牽制した。

 首相は「やるべきことをやり抜いて民意を問うことを宣言したい」と明言。昨年秋の臨時国会では低姿勢に終始したが、野党側と対決し衆院解散・総選挙も辞さない決意を示した。

 これに対して野党側は反発。公明党の山口那津男代表は16日夜、記者団に対し「首相がこれから協議しようと呼びかけている矢先に、法案を出して、その先のことまで言及するのはいささか穏当ではない」と不快感を示した。