【おすすめ本】ラジオリスナー必読! 本屋大賞受賞作家・佐藤多佳子の傑作長編『明るい夜に出かけて』

 主人公はコンビニでアルバイトをしている富山。大学を休学し、親から1年の猶予をもらい一人暮らしをしている。人とコミュニケーションをとるのが苦手だけど、自意識だけは人一倍。今どきの若者にありがちな、いわゆる面倒くさい奴(自称)。バイト先のコンビニと一人暮らしの自宅のアパートの部屋を往復する日々の中で、唯一の楽しみが深夜ラジオ。特に「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」は、大切な大切な番組だ。

 大学に通っていたころに炎上したため、ツイッターやハガキ職人から逃げて姿を消していたにも関わらず、どうしても我慢できずに、その番組のためだけに、ひっそりとツイッターのアカウントを作り、ハガキ職人として投稿を復活させるほどに。

 ある日、コンビニに現れた変な服装のチビ女。小学生にも見えなくもない、立ち読み女はなんと、「アルコ&ピースのオールナイトニッポン」の超常連有名職人だった。その出会いをきっかけに、その女、女子高生の佐古田、バイト仲間の鹿沢、そして高校時代の同級生・永川が、富山の生活にグイグイ浸食してきて…。

 親から、大学から、友達から逃げてきた富山だが、人との出会い、深夜ラジオを通じての交流、そして生身の人間同士の面倒くさい付き合いにより、ほんのちょっと心を開けるようになり…。深夜ラジオ好きも共感100%の青春小説。

【定価】本体1400円(税別)
【発行】新潮社
佐藤多佳子 サトウ・タカコ
東京生まれ。1989年「サマータイム」で月刊MOE童話大賞を受賞しデビュー。『イグアナくんのおじゃまな毎日』で産経児童出版文化賞と日本児童文学者協会賞、路傍の石文学賞を、『一瞬の風になれ』で本屋大賞と吉川英治文学新人賞を、『聖夜』で小学館児童出版文化賞を受賞。『しゃべれども しゃべれども』は「本の雑誌が選ぶ年間ベストテン」の第1位に輝き、国分太一・香里奈・伊東四朗・八千草薫らの出演で映画化された。ほかの著書に『神様がくれた指』『黄色い目の魚』『第二音楽室』『夏から夏へ』『シロガラス』などがある。(新潮社HPより)