東京から行く“ご当地映画祭”

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[1]コンペ部門の審査員や作品関係者らによる、毎年恒例の集合写真撮影 [2]映画祭の応援にやってきた、夕張のご当地キャラ・メロン熊 [3]招待作品『ウルトラマンサーガ』の舞台挨拶にDAIGOが登壇。劇中で使った決めポーズ“フィニッシュ!”も披露 [4]参加者と地元の人が共に楽しむ恒例ストーブパーティー [5]昔懐かしい名画の看板が並ぶ [6]映画祭限定! シネガーまん [7]コンペ受賞監督たち [8]キャンドルアーティスト・Candle JUNEプロデュース作品が幻想的に会場を照らす [9]映画祭に来て銀世界を楽しめるのも魅力!

旅気分で楽しさ2倍!

〜「ゆうばり国際ファンタスティック映画祭2012」リポート〜

 北海道夕張市の“ご当地映画祭”として、毎年多くの観客を集めるゆうばり国際ファンタスティック映画祭が2月23日から27日まで開催された。市の財政破綻による中断から復活して5回目を迎えた今年は、その中では最高となる1万2577人が来場。例年にも増して地元の人々の映画愛と、“ゆうばりファンタ”ファンのパワーを感じる映画祭となった。1990年に始まり、22回目となる“ゆうばりファンタ”。SF映画やファンタジー、ホラーなどコアファンの多いジャンルを中心に、インディーズ系作品や若手作家の作品も上映。個性的な作品、監督を数多く紹介してきた。地元の人々と観光客、映画人との交流を楽しめるアットホームな映画祭としても人気だ。「つながろう、映画の力で。」をテーマとした今回の映画祭では、特設会場「ホワイトロックKIZUNA」を設け、東北関連の映画の上映や、フードコーナーも登場。

 今年は『僕等がいた<前篇>』などのメジャー作品が招待作品部門で上映された他、特別プログラム&イベントとして、『ゾンビアス』など井口昇監督作の特集上映など、同映画祭らしい“ゆうばりチョイス”も盛り上がりを見せた。毎年注目のオフシアター・コンペティション部門で、栄えあるグランプリを受賞したのは石原貴洋監督の『大阪外道』。審査委員特別賞とシネガーアワードを受賞したのは、キングオブコメディの今野浩喜主演、鈴木太一監督の『くそガキの告白』。今野は、急きょ設けられた男優賞も受賞した。 雪一色に包まれた夕張を、映画愛の熱気が包んだ5日間。今年も多くのリピーター予備軍を生んだはず。

夕張市長は“東京から来た”全国最年少市長!

夕張市・鈴木直道市長インタビュー

 今回、ゆうばり国際ファンタスティック映画祭に名誉大会長として参加した鈴木直道夕張市長は、全国最年少市長としても知られている人物。実はもともと鈴木市長は東京都の職員。2008年に、財政破綻により職員が半減していた夕張市へ東京都からの“応援”として派遣されたことが、そもそもの始まりだ。「その時も映画祭のスタッフとして働いていたんですが、まさか自分がこういう形で参加することになるとは思いませんでしたね(笑)」と市長。今回のオープニングセレモニーでは、元上司の石原慎太郎都知事から「年に1回の映画祭だけで夕張の再生は無理」と、辛口な激励メッセージが届いていたが…。「まさかあんな内容だっとは(笑)。でも確かに、夕張の場合はゼロからどころか、マイナスからのスタートなので、これまでと同じことをやっていても縮小していくだけ。枠にとらわれないチャレンジが必要だと思っています。同時に僕は、夕張には潜在能力があると思っているんです。この映画祭も今回で22回になりますが、一度財政破綻の折に無くなったのを、市民の手によって復活して5回目を迎えているんです。これはすごいことだと思うんですよ」。“つながろう、映画の力で。”が今回の映画祭のテーマだが、市長は“つながり”は夕張のキーワードだと語る。

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「3年前の映画祭では『クローズZERO II』のコスプレで学ランを着てポップコーンを売っていました(笑)」と鈴木市長

「最初に派遣職員として夕張に来たとき、映画祭間近だったんですが、街を歩いていたら“お兄ちゃん、お腹すいてない?”と声をかけられて、そのまま一般のご家庭でご飯をごちそうになったんです。“映画祭に来たの?”“いえ、夕張市の応援に…”って(笑)。本当に人との出会いを大切にする人が多いんですよね。1960年、夕張の人口は約10万人だったんですが、50年足らずで10分の1になっている。哀しい現実ですが、一方の側面を見ると、破綻以降もふるさと納税で1億円が入ってくる。人口は10分の1になったけれど9万人の応援団が市外にいるんです」。夕張は、みんなの思いをつなぐ街、と市長。「ぜひ東京の方にも一度、この映画祭に来て頂きたいですね。夏には夕張メロンもありますし!」。