愛しの「焼き魚定食」シンプルだからこそ違いが出る

 目の前で魚が焼き上げられる幸福感に抗える人などいるだろうか。古民家調の店内でくつろぎながら和食ランチを堪能できる千駄ヶ谷の『茶屋 壱』では広々としたカウンター席の向こうに遠赤の焼き台が設えられており、ランチの時間帯でもタイミングが合えば焼き台で魚がこんがり焼かれる姿を見ることができる。銀ジャケや赤魚などの漬け焼きも、素材の旨みを立たせる優しい味加減。ふっくらと焼き上げられた姿はボリューム感もたっぷり。夢中で魚だけを先に食べてしまっても心配はいらない。ランチの定食は生卵が付くので、魚の旨みを堪能した後に卵ご飯でシメれば、これまた幸せ。

 炭火で焼いた焼き魚定食が750円〜というリーズナブルさで、新富町界隈のワーカーに愛されているのが『炭火焼 飯や 武平次』。サバやサケ、ホッケの他、あこう鯛やつぼ鯛など、通常のランチメニューも魚系8種と充実。加えて旬の素材を使った週替わりメニューや肉系メニューもあり、基本1000円以下。いずれの魚も、炭火ならではの“強火の遠火”で引き出された旨みを存分に味わえる。焼きだけでなく、ひとめぼれを使った炊き立てのご飯、だし香る味噌汁など、一口ごとに和食の喜びをかみしめてしまう。

 シンプルだからこそ、それぞれの店のこだわりが映える焼き魚。9月は旬な味覚・新サンマも続々出回るうえ、本格的な秋に向け、油が乗り、大きさもしっかりとした魚が増える。築地市場もあり、地方から直送される素材も集まる東京にいるなら、会社近辺で、よく行くエリアで、おいしい焼き魚定食の店を知っておくべし。じっくりと焼き上げた魚と炊き立てのご飯、汁もの、小鉢が、心とお腹を満たしてくれるはず。

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ふっくらした身がたまらない『あこう鯛定食』800円。他にも『さばの塩焼き定食』(750円)、13時以降の特別メニュー『焼き魚5種盛り定食』(1000円)なども人気。『炭火焼 飯や 武平次(銀座店)』中央区銀座1-19-3 TEL:03-5159-0606

「価格はお手軽ですが炭火で焼いた魚は普通に焼いたものとはまったく違います。その違いをぜひ楽しんで」と『炭火焼 飯や 武平次』銀座店の安田店長。