WRESTLE-1 武藤がシングルで3年ぶりの敗戦 KAIが第3代王者に

 プロレスリング「WRESTLE-1」の「WRESTLE-1 TOUR 2015 TRANS MAGIC」が8日、東京・後楽園ホールで開催され、メーンで行われた「WRESTLE-1チャンピオンシップ」で挑戦者のKAIが王者・武藤敬司を破り、第3代王者に就いた。
 2015年に入ってから船木誠勝、河野真幸、田中将斗を立て続けにシングルで破り、ここまでたどりついたKAI。やはり武藤への声援が大きいものの、世代交代を期待するファンからは「KAI勝ってくれ~」という声援も飛ぶ。
 試合は序盤グラウンドの展開が続く。KAIが攻めているように見えてもいつの間にか武藤が好ポジションをキープ。武藤が試合を支配する。この状態を打開すべく、KAIは場外に落ちた武藤にトペを敢行するも、武藤はセコンドを身代わりにして交わすと、KAIは左腕を場外フェンスに痛打。以降、左腕への低空ドロップキック、チキンウィングアームロック、キーロックと手を変え品を変え、武藤の左腕殺しが続く。KAIがなんとかスタンドの展開に戻しても、ドラゴンスクリュー、シャイニングウィザードというおなじみの武藤殺法にはまるだけ。寝ても立っても武藤が試合をリードする。
 しかし時間が経つにつれ、スタミナが切れてきた武藤の動きが鈍ると、KAIはシャイニングウィザードを防御しジャンピングハイキック、トラースキックで反撃を開始。一進一退の攻防に、試合前は武藤コールが多かった会場にも徐々にKAIコールが響き始め、15分過ぎにサンダーファイヤーパワーボム、トップロープからのスプラッシュプランチャを放つと会場は大KAIコールに包まれた。
 武藤もカウンターのフランケンシュタイナー、前後からシャイニングウィザードを連発。そして切り札のムーンサルトプレスも繰り出す。しかし着地の際にヒザを痛打し、すぐにフォールにいけなかったのが響き、3カウントを奪えない。切り札で試合を決めきれずダウンしたままの武藤にKAIはトップロープからのスプラッシュプランチャを3連発。ついに3カウントを奪った。
 試合後、若手の肩を借りながらリングを去る武藤にKAIが「武藤さん、ありがとうございました」と声をかけると、軽く手を挙げ応える武藤。そこにこの日、中之上靖文を秒殺した鈴木秀樹がやってきて対戦を迫り一触即発状態となったが、KAIは「オレは誰からも逃げないし、いつ何時、誰の挑戦も受ける」と宣言。対戦を受諾した。
 KAIはその足でファンとともに会場の1階まで下りて、喜びを分かち合う。そして会見では「このベルトを武藤さんから受け継いだということは責任重大。これから俺たちがWRESTLE−1をスタートさせる。誰とでもどんなスタイルでも、WRESTLE−1を盛り上げるためになんでもやる」と話した。
 一方、シングルマッチでは2012年3月20日の両国国技館での秋山準戦以来、3年ぶりの敗北を喫した武藤は「持久力がなかったというか、ちょっとスタミナが切れた」と試合を振り返り「俺に勝った後のチャンピオンはしんどい。KAIはエースになるべくチケットをゲットしただけ。プロレスの神様はきっと途中下車もさせるだろうし、今からがしんどい」と独特の表現で王者の厳しさを説きつつも「託せるようになってほしい」とエールを送った。自らの今後については「変わらない。でも武藤敬司がおしとやかになると“裏の顔”が出てくる」とグレート・ムタの出現を予言した。

タッグ戦線も新展開!?

 セミファイナルではWRESTLE-1vsZERO1の対抗戦「KASSENスペシャルタッグマッチ」カズ・ハヤシ、近藤修司組(チーム246)vs田中将斗、小幡優作組が行われた。ゴング早々、近藤と田中が闘志むき出しのタックル合戦を繰り広げれば、小幡もキャリアで勝る近藤、ハヤシに臆することなく激しい当たりを見せる。しかし最後は近藤がキングコングラリアットで小幡を沈め3カウントを奪った。
 試合後もやりあう近藤と田中。ダウンしたままの小幡にキックを入れた近藤に田中は怒りをあらわにする。その小幡は蘇生すると、試合後の写真撮影に応じているハヤシに蹴りを入れるなど、最後まで対抗戦の殺伐とした雰囲気が途切れることはなかった。
 この前の試合では、船木誠勝、黒潮“イケメン”二郎組vs征矢学、AKIRA組vsNOSAWA論外、MAZADA組による「タッグチャンピオンシップ次期挑戦者決定戦 3WAYマッチ」が行われた。
 タッグ屋のNOSAWA組が試合を引っかき回し、もしや…の場面を演出したが、最後は黒潮のスモールパッケージホールド2連発を交わした征矢がまさかの逆さ押さえ込み(超低空サンダーファイヤーパワーボム固め)で3カウントを奪い、挑戦権をゲットした。敗れた黒潮も、AKIRAのジャーマンを食らってもすぐに立ち上がりトラースキックで反撃するなど、闘志むき出しの、いつもとは一味違うファイトを見せた。
 またこの日は、クルーザー級のシングルマッチ2試合が組まれ、前回の後楽園大会でピンフォールを奪われた児玉裕輔が吉岡世起をウラカンラナで破り、借りを返す。大和ヒロシは場外で放った垂直落下式ブレーンバスターで田中稔を戦闘不能に追い込み、最後はリング上でとどめの垂直落下式。非情な攻めで勝利を収めた。