小池百合子のMOTTAINAI
ADB v.s. AIIB 透明性で競い合え

 中国が主導するアジアインフラ投資銀行(AIIB)に日本は出資すべきか、否か。バスに乗り遅れては、取り残されるのではないか…。

 依然、AIIBについての話題が続いています。


 5月10日の読売新聞では、日本政府が米国と共にAIIBへの参加を見送っていることを「適切だ」と思う人が73%に達し、「そうは思わない」の12%を大きく上回ったと世論調査の結果を伝えました。


 出資に「反対」とする友人の金融関係者は、その理由に「利益相反」をあげます。理由はこうです。


 銀行を作ろうと意気込む中国は、そもそもアジア開発銀行(ADB)からの最大の借り入れ国です。ADBの融資先の四分の一が中国向け。インドを加えると全体の半分にあたります。ADBの運営に発言権が十分反映されていないことを、中国はAIIB設立の理由に挙げていますが、借り手側の発言権を強めることそのものが「利益相反」だというのです。


 AIIBの主な投資先は、中国国内のインフラ整備か、中国にとって戦略的な国とみられ、これまた金融やガバナンスの観点から「利益相反」にあたると…。


 信用力の高いADBから低利で資金調達をし、AIIBで中国や他のアジア諸国へ融資するなら、これ以上の「利益相反はない」と憤ります。

 そもそも中国は、ぜい弱な開発途上国へもゆるい条件で融資を行って感謝され、少々支払が遅延しても、「待ってあげる」と感謝され、いよいよ返済不可能となれば、「しかたないね」と許し、泣いて感謝される…。かくしてその国は中国の下僕となり下がると厳しく見る人もいます。「それこそ投資ですよ。金融というより、国防予算で扱うのではないですかね」とも付け加える。


 これでは金融機関として重要な「継続性」が疑問視され、重要な債券発行で行き詰まるでしょう。格付けにも影響します。さらに、AIIBへの返済とADBへの返済と、どちらを優先するかも問題になってきます。


 ODA(政府開発援助)においてもいわゆるひも付き論が批判されますが、ADBで日本企業が落札する率は1%程度。日本企業が優遇されるわけではありません。


 むしろ、それこそが日本にとっての問題です。入札では高い日本製品や技術が採用されず、安い新興国へとチャンスが流れてしまうのです。よい製品や確かな技術力があっても価格、コストの国際競争力で日本が負けてきたことに他ならないのです。

 つまるところ、ADBの役割をあらためて認識しつつ、透明性や環境状況などでAIIBと競い合う。これが日本としての務めではないでしょうか。(自民党衆議院議員)