SSFF & ASIA 2017授賞式・大林宣彦監督が“黒澤明の遺言”を若き映画人に託す!

 米アカデミー賞公認の国際短編映画祭「ショートショート フィルムフェスティバル & アジア(SSFF & ASIA) 2017」のアワードセレモニーが11日、都内にて行われ、ミャンマーのミミルイン監督作『シュガー&スパイス』がグランプリに輝いた。

 オフィシャルコンペティションはインターナショナル部門、アジア インターナショナル部門、ジャパン部門それぞれの優秀賞を表彰。そのうちの1作品から選ばれるグランプリは、次年度のアカデミー賞短編部門ノミネート選考対象作品となる。昨年のグランプリ作品『合唱』は今年3月に行われたアカデミー賞で見事オスカーを受賞した。
 
 ミミルイン監督は「私の両親の生活する風景を追った作品です。ミャンマーについて知られていないことはまだたくさんあるので、これからも映画で伝えていきたい」と喜びを語った。ジャパン部門の優秀賞は、ガレッジセール・ゴリの監督作『born, bone, 墓音』が受賞。副賞としてハリウッドでの研修体験も授与された。インターナショナル部門の優秀賞は、ニュージーランドのゾーイ・マッキントッシュ監督『窓から見える世界』が受賞した。小池百合子東京都知事も登壇し、東京の魅力を発信するCinematic Tokyo部門の授賞などを行った。

 また、この日は映画界の大御所から若き映画監督たちへ向けた熱いメッセージも飛び出した。審査員を務めた小倉智昭や三上博史らが総評を述べた後にマイクを持った大林宣彦監督は「肺がんでステージ4と診断されたんですが、まだこうして生きているので、今まで自分一人の胸にしまっていた黒澤明からの“遺言”を伝えようと命がけでここに参りました」と述べ、親交の深かった巨匠・黒澤明監督が映画会社から独立してアマチュアとして戦争や核といったテーマにも挑んだ姿を振り返り、「黒澤さんは僕に“映画には世界を平和に導く力があるけど、それにはあと400年は映画を作り続ける必要がある。でも俺の寿命はもう尽きるから、その続きをやってほしい”と言った。だからどうか皆さん、自分たちが黒澤明の400年目の映画を作るんだという思いで映画を作り続けてください。俺たちの続きをやってよね」と、映画人としての思い、非戦の思いを、杖を手にしながらも30分近く立ったままで語り続けた。大林監督が若き映画人に託した“遺言”に、国内外から集まった若いフィルムメーカーはもちろん会場全体が万雷の拍手を送った。

 映画祭は25日まで開催中。