1・17「Krush.62」渡部が-67kg王座奪取

渡部の飛び膝が炸裂(撮影・蔦野裕)

 立ち技格闘技「Krush.62」(17日、東京・後楽園ホール)のメーンでKrush-67kgタイトルマッチが行われ、王者、牧平圭太に渡部太基が挑戦。延長ラウンドにもつれ込む激戦の末、渡部が判定で勝利を収め、第4代王者に就いた。
 渡部は約10カ月前の昨年3月、このベルトに挑戦。そのときも延長ラウンドに突入する一進一退の攻防を繰り広げた末、ジャッジ1人が渡部を支持したもののドローに終わっていた。雪辱を期す渡部は昨年11月に行われた塚越仁志との挑戦者決定戦を勝ち抜き、再び牧平の前に立った。
 会場を二分する声援の中ゴングが鳴るや、渡部は積極的に前へ出てローキックにパンチで主導権を握る。渡部を突進を止めるべく牧平は前蹴りに左ミドルキック放つが、渡部は委細構わずローを蹴り続ける。ローキックを嫌がる素振りを見せた牧平だったが2Rに入ると左ストレート、左ハイキックが当たりだし、激しい打撃戦に。3Rに入っても渡部の突進は続くが、牧平も下がりながらも手数は出し続け、残り30秒で右ハイキックがクリーンヒット。会場の渡部応援団から悲鳴があがるが、渡部は一瞬動きを止めながらも最後まで左ハイに左フックを放ち続けたところでゴングが鳴った。
 精根尽き果てた表情の2人だったが、判定は1人が30-29で牧平を支持したものの、残り2人が29-29。延長ラウンドへ突入。
 本戦同様に前へ出続ける渡部。牧平もハイキックで応戦するが、渡部が放った飛び膝で牧平の右目尻が切れて出血。ドクターチェック後も距離を詰めてパンチを連打する渡部。牧平はキックで距離を取ろうとするが、渡部はそれを許さない。残り1分、壮絶な打撃戦が繰り広げられたが、最後も渡部が左ストレートをクリーンヒット。今度はジャッジ三者とも渡部を支持した。
 渡部は試合後のリングで「やっと一番になれました。チャンピオンになるという夢がいつしか目標に変わって、ようやくベルトを獲れました。いっぱい失敗して、思い通りに行かない日々もありました。でもあきらめなくてよかったといま改めて思っています」と挨拶した。会見では「強かった。前回はパンチパンチだったので、今回は蹴りを混ぜてうまく戦おうと思ったんですけど、相手もうまくて、なかなか攻めきれなかった」試合を振り返り「牧平選手が2回防衛しています。防衛数でも負けたくないし、歴代のチャンピオンよりもスーパースターになれるようにがんばっていこうと思います」と王者としての覚悟を語った。

平本が1回戦を突破(撮影・蔦野裕)

 この日からスタートした「第4代Krush -63kg王座決定トーナメント」は1回戦4試合が行われた。
 優勝候補の平本蓮は総合格闘家の原田ヨシキと対戦。立ち技のテクニックで勝る平本は1Rからパンチをまとめ優位に立つが、原田はとにかくタフ。ぐらつかせるまではいくものの、ダウンを奪うには至らない。しかし2R、原田の左ミドルにカウンターの右ストレートを合わせてダウンを奪うと、立ち上がった原田にパンチのラッシュ。最後は左フックで再度ダウンを奪い、2R1分11秒、KOで勝利を収めた。
 会見時から強気な発言を繰り返してきた平本だったが、試合後のマイクで「ここ2戦は強敵との試合が続いて2連敗していて、ここで負けたらどうなるんだろう?って寝れない日々が続きました」と胸中を吐露。そして「何が何でもチャンピオンになりたいので応援よろしくお願いします」と締めた。
 1回戦で勝利を収めた南野卓幸、佐々木大蔵、泰斗、平本が3月20日の準決勝に進出。対戦カードは南野vs佐々木、泰斗vs平本。決勝は6月12日に行われる。