今年の受賞者は多彩な顔ぶれ! 『第39回日本アカデミー賞』リポート

 その年度に日本で公開された優れた映画を表彰する、日本映画界最大の祭典・日本アカデミー賞が今年も開催。近年は受賞が同じ作品に集中することが多かったが、今年は混戦で大盛り上がり! その華やかな授賞式の模様をリポート。

1. 2015年度の日本映画界を輝かせた顔ぶれ 2.今年の司会は昨年、最優秀主演女優賞に輝いた宮沢りえと西田敏行。なかなかの名コンビぶりを発揮 3.『海街diary』是枝裕和監督は最優秀作品賞、最優秀監督賞をW受賞

今年の受賞結果に見る邦画の可能性

 映画の祭典『第39回日本アカデミー賞授賞式』が4日、都内にて行われ、2014年12月14日から2015年12月15日までに公開された選考対象作品から、各部門優秀賞及び最優秀賞が表彰された。

 一極集中が続いた例年とは違い、複数の作品が次々と最優秀賞を受賞していくなか、大きなサプライズとなったのが『百円の恋』安藤サクラの最優秀主演女優賞受賞。「絶対に無いと思っていた」と、受賞に驚きを隠せない安藤は壇上に上がってもぼう然。わずか2週間で自堕落な生活からボクサーへと成長した姿を演じなければならなかった苦労を明かし「(準備期間も無く)悔しいという思いとやってやるという思いでした」と振り返った。同作は最優秀脚本賞(足立紳)にも輝き、西田も「低予算だけに喜びも大きかったね」と祝福。同じく大きな反響が上がったのが二宮和也の最優秀主演男優賞受賞。昨年の岡田准一に続き“ジャニーズ2連覇”。「昨年、岡田くんの受賞の様子をテレビで見て喜んでいたが、だんだん悔しくなってきて自分も欲しいと思った。岡田くんから次はお前だという言葉をもらっていました」と明かし「今日はいい酒が飲めそう」と喜びをあらわにした。

 栄えある最優秀作品賞は『海街diary』。是枝裕和監督は最優秀監督賞も受賞、さらに最優秀撮影賞、最優秀照明賞も受賞し4冠に輝いた。是枝監督は「僕は20年映画をやってきましたが、ここに呼んでもらえるようになってまだ2年。ずっと日本アカデミー賞は他人事だと思ってテレビの前で言いたい放題言ってきたけど、これからはこのイベントをより素敵なものに変えていけるよう、自分も努力したい」と決意を語った。

 観客動員数が前年を500万人も上回り、活気を見せ始めた2015年。各映画人の今年の活躍にさらなる期待がかかる。

長澤まさみは大胆にサイドが開いたラメ生地のロングドレスで会場の目線をくぎ付けに  新人賞に輝いた若手女優陣はセクシー系からフェミニン系までモノトーン調で上品に  ももいろクローバーZのメンバーたちはそれぞれのカラーのドレスで  綾瀬はるかは、ドレープがゴージャスな淡い色合いのロングドレス。清楚ながら大人の女性らしいファッション  檀上で劇中衣装の割烹着姿となり会場を沸かせた樹木希林と春めいた着物姿の吉永小百合

最も注目を集めた女優のドレスは!?

 そうそうたる映画人が集結するアカデミー賞のもう一つの見どころ、それが女優たちの華麗な装い。今年、最も注目を集めたのは、何といっても長澤まさみの大胆セクシードレス。開いたサイドから美脚があらわになる総ラメのロングドレス姿で、会場の視線を釘付けに。壇上インタビューでは、西田からは「まさに次女そのものの演技でしたね。まさみちゃん自身はダメ男好き?」と“ダメ男”論を持ちかけられ、苦笑いする一幕も。優秀主演女優賞と新人俳優賞のW受賞を果たした有村架純は黒のベアトップドレスで大人っぽくシックにまとめた。

 同じく新人俳優賞を受賞した土屋太鳳はフリルがキュートなミニのベアトップドレス、広瀬すずはフリルを重ねたロングドレス。それぞれ清楚な白でフレッシュ感を演出。安藤サクラは花柄モチーフに彩られたブルーグレーのシースルードレスというキュートで個性的な装い。優秀主演女優賞を受賞した吉永小百合は春らしい桜色の着物姿。左手首骨折のためギプス姿だったが「西やん(西田)と痛みを分かち合おうと思って(笑)」と相変わらずチャーミングな笑顔を見せた。そんな吉永とともに目を引いたのが、檀上で劇中の割烹着姿となった樹木希林。「この若さと美しさのなかで、私が何の衣装を着て出たらいいのかと。これしかないでしょ」と胸を張り会場を沸かせた。

第39回日本アカデミー賞 主な受賞結果

最優秀作品賞:『海街diary』(監督・是枝裕和)
最優秀アニメーション作品賞:『バケモノの子』
最優秀監督賞:是枝裕和(『海街diary』)
最優秀主演男優賞:二宮和也(『母と暮せば』)
最優秀主演女優賞:安藤サクラ(『百円の恋』)
最優秀助演男優賞:本木雅弘(『日本のいちばん長い日』)
最優秀助演女優賞:黒木華(『母と暮せば』)
最優秀脚本賞:足立紳(『百円の恋』)
最優秀音楽賞:サカナクション(『バクマン。』)
最優秀撮影賞:瀧本幹也(『海街diary』)
最優秀照明賞:藤井稔恭(『海街diary』)
最優秀美術賞:花谷秀文(『海難1890』)
最優秀録音賞:松陰信彦(『海難1890』)
最優秀編集賞:大関泰幸(『バクマン。』)
最優秀外国作品賞:『アメリカン・スナイパー』
新人俳優賞:有村架純(『映画 ビリギャル』)、土屋太鳳(『orange-オレンジ-』)、広瀬すず(『海街diary』)、藤野涼子(『ソロモンの偽証 前篇・事件/後篇・裁判』)、篠原篤(『恋人たち』)、野田洋次郎(『トイレのピエタ』)、山崎賢人(『orange-オレンジ-』)、山田涼介(『映画 暗殺教室』)