中邑真輔の「No Speak English」で会場がひとつに【6・29 WWE】

黒のスーツでビシッと決めた中邑真輔(撮影・蔦野裕)

試合は警察犬にかまれた傷が癒えず無念の欠場
 世界最高峰のプロレス団体「WWE」の日本公演「WWE Live Japan」初日が6月29日、東京・両国国技館で開催された。

 元新日本プロレスの中邑真輔の凱旋試合が期待されていたのだが、中邑は25日に米国で警察犬に噛まれた負傷が癒えず無念の欠場となった。

 第3試合終了後、テーマ曲が流れると会場のファンは大中邑コールで迎え入れる。しかし中邑は松葉杖をつき、左足を引きずっての入場。

 リングに上がると中邑は懐かしい日本のファンを前に四方を眺めると「帰ってきたぞ、東京!」と絶叫。ファンは大中邑コールで応えた。

急所攻撃をかわされ焦る中邑(撮影・蔦野裕)

「本当に悔しいワン」と挨拶もサモア・ジョーの襲撃に遭いあえなく失神
「2年ぶりの両国国技館でアーティスト、ロックスター、シンスケナカムラのキング・オブ・ストロングスタイルのクリーンで正々堂々としたファイトをお見せすることができなくて、本当に悔しいワン」と挨拶したところで、この日のメーンで中邑に代わりAJスタイルズと対戦するサモア・ジョーが登場。なにやら英語でまくし立てるも中邑は決め台詞の「No Speak English」で会場を一つにして見せた。

 なおもジョーに急所打ちを狙う中邑だったが、足を痛めているせいか踏み込みが浅く、ジョーにバックステップでかわされる。慌てて逃げまどうもバックをとらえたジョーの胴締めスリーパーで絞め落とされてしまったのだが、ここでAJがリングに飛び込みジョーを蹴散らし、結果として中邑を救出することとなった。

ついにフェノメナール・フォアアームを決めたAJ(撮影・蔦野裕)

メーンではAJがフェノメナール・フォアアームで王座防衛
 メーンではそのAJとジョーが一騎打ち。

 ジョーも日本の「ZERO-ONE」に参戦していたことからファンにはおなじみの選手とあって大きな歓声で迎えられるが、続いてAJの入場テーマ曲が流れると地鳴りのようなAJコールが巻き起こる。王者AJにジョーが挑戦する「WWE王座戦」として行われたこの一戦。パワーのジョーにスピード&テクニックのAJという構図で試合は進む。

 スピードで翻弄するAJだが、ジョーもこのサイズにしては機敏なタイプ。AJの「フェノメナール・フォアアーム(スワンダイブ式エルボーバット)」を叩き落とし、「スタイルズ・クラッシュ」は足をすくって脱出と、AJにフィニッシュを許さない。

 一方、AJもジョーが狙ったセカンドロープからの筋肉バスターを不発に終わらせるなど一進一退の攻防を展開する。しかしAJは3度目の筋肉バスターをエプロンに降り立ちしのぐと、ロープ越しに強烈なエルボー一閃。朦朧とするジョーについにフェノメナール・フォアアームを決め、3カウントを奪った。

防衛に成功しベルトを高々と掲げるAJ(撮影・蔦野裕)

“女帝”アスカは「アスカロック」でケイを仕留める
 日本では「華名」のリングネームで活躍した“女帝”アスカはナオミと組んでビリー・ケイ&ラナwithペイトン・ロイス組と対戦。

 試合の序盤、ラナにヒップアタックを炸裂するなど軽快な動きを見せたが、ナオミのローンバトルが続き、ファンもやきもきする展開に。しかしタッチを受けるとヒップアタック、ドロップキック、モンゴリアンチョップと畳みかけ、最後は得意技の「アスカロック」でケイを仕留めた。

ラナにキックを放つアスカ(撮影・蔦野裕)

ヒデオ・イタミが日本での初勝利
 かつてノアで活躍したKENTAことヒデオ・イタミは第2試合でシェルトン・ベンジャミンと対戦。

 ベンジャミンは新日本プロレスで活躍し、鈴木軍の一員としてノアのリングに上がった経験もある。しかしKENTAがWWEに移籍後のことで日本での対戦はなく、新鮮な組み合わせとなった。

 試合はパワーで勝るベンジャミンが場外でのボディースラム、リングに戻ってもボディースラム3連発でイタミを追い込む。go2sleepを狙うイタミだが、腰のダメージが大きく、担ぎ上げられない。ならばとおなじみの掌底とハイキックのコンビネーション。そしてトドメを刺すべくロープに飛んだイタミだったが、ベンジャミンは足をかけテイクダウンさせると腰を狙って逆片エビ固め。ギリギリと締め上げるが、イタミがクルリと丸め込み3カウント。イタミは日本での初勝利を挙げた。

 負けたにもかかわらず試合後にマイクアピールを続けるベンジャミン。ここにタイ・デリンジャーが登場し、番外マッチのゴングが鳴る。しかしここでもデリンジャーが丸め込んで3カウント。ベンジャミンはまさかの2連敗を喫した。

 まさかの展開に会場からは「もう1回」のコール。リングを降りようとするとブーイングが沸き起こりなかなかリングを降りられないベンジャミンだったが、最後は深々とお辞儀をしてなんとかリングを降りることを許された。

WWE日本公演「WWE Live Japan」(6月29日、東京・両国国技館)

◆第1試合 時間無制限1本勝負
〈ニュー・デイ〉ビッグE&○コフィ・キングストン with エグザビア・ウッズ(12分44秒、片エビ固め)シェイマス&セザーロ●〈ザ・バー〉
※ミッドナイトアワー

◆第2試合 時間無制限1本勝負
○ヒデオ・イタミ(6分45秒、インサイドクレイドル)シェルトン・ベンジャミン●

◆第3試合 時間無制限1本勝負
○タイ・デリンジャー(0分30秒、エビ固め)シェルトン・ベンジャミン●
※上から押し潰す

◆第4試合「スマックダウン女子王座戦」(時間無制限1本勝負)
〈王者〉○カーメラ(8分54秒、スクールガール)ベッキー・リンチ●〈挑戦者〉
※セカンドロープに足をかけて。第8代王者が防衛に成功

◆第5試合 時間無制限1本勝負
○ダニエル・ブラアイアン(21分52秒、片エビ固め)ザ・ミズ●
※ニープラス

◆第6試合 時間無制限1本勝負
○アンドラデ“シエン”アルマス with ゼリーナ・ベガ(9分8秒、片エビ固め)シン・カラ●
※ランニング・ダブルニー

◆第7試合 時間無制限1本勝負
○アスカ&ナオミ(9分9秒、アスカロック)ビリー・ケイ●&ラナ with ペイトン・ロイス

◆第8試合 「スマックダウンタッグ王座戦~フェイタル4WAYマッチ」(時間無制限1本勝負)
〈王者組=ブラジオン・ブラザーズ〉ハーパー&○ローワン(14分13秒、片エビ固め)カール・アンダーソン●&ルーク・ギャローズ〈挑戦者組〉
※合体パワーボム。第9代王者組が防衛に成功。ほか挑戦者組はジミー・ウーソー&ジェイ・ウーソー〈ウーソーズ〉、ルセフ&エイデン・イングリッシュ〈ルセフ・デイ〉

◆第9試合 「WWE王座戦~ノーDQマッチ」(時間無制限1本勝負)
〈王者〉○AJスタイルズ(14分10秒、片エビ固め)サモア・ジョー●〈挑戦者〉
※フェノメナール・フォアアーム。第133代王者が防衛に成功