新たな1年。見る者を、原点に立ち返らせてくれるアート「TADANOBU ASANO 3634 浅野忠信展」

 日本映画のみならずハリウッドや中国など海外にも活動の場を広げる俳優・浅野忠信によるドローイング作品、約700展を紹介する展覧会。

 浅野がドローイングを描き始めたのは、2013年に中国で撮影された映画『羅曼蔕克消 亡史』(2016年、中国にて公開)での、長い待ち時間がきっかけだったという。映画の台本やスケジュール表の裏、ホテルのロゴの入ったメモ帳、薬袋などにボールペンで描き初め、現在までの5年間で描いたドローイングは3634枚にもおよぶ。そこに描かれているのはハードロック的なものから、デッサン、落書き、漫画、アメコミ、抽象など多岐にわたる。撮影の合間の時間つぶしとして始まった浅野のドローイングは、どこまでも自由。一見とりとめがないように見えるが、視点のユニークさやシュールな表現の数々から気づけば目が離せない。ボールペンを走らせる浅野の思考をたどり、その深層に分け入ることができるかのような感覚も刺激的で面白い。

 膨大な数のドローイングに没入し、個性派俳優・浅野忠信の思考をたどりながら、紙とボールペンから無限に広がるアートの可能性と魅力を再発見できる。

©Tadanobu Asano
TADANOBU ASANO 3634 浅野忠信展

【会場】ワタリウム美術館 
【会期】開催中〜3月31日(日)
【時間】11〜19時(水曜は21時まで)
【休】月曜(1/14、2/11は開館)
【料金】大人1000円、学生(25歳以下)800円、小・中学生500円、70歳以上の方700円
【問い合わせ】03-3402-3001
【交通】地下鉄 外苑前駅より徒歩8分
【URL】 http://www.watarium.co.jp/