ぐうたら野村萬斎×モーレツ香川照之の演技合戦「格闘技ファンなら絶対満足」

映画『七つの会議』の完成報告会見に登壇したキャストと監督

野村萬斎が初めてのサラリーマン役
 映画『七つの会議』の完成報告会見が1月16日、東京都内で開催され、キャストの野村萬斎、香川照之、及川光博、音尾琢真(TEAM NACS)、藤森慎吾(オリエンタルラジオ)、朝倉あき、吉田羊、世良公則、鹿賀丈史、北大路欣也、福澤克雄監督が登壇した。

 同作は『下町ロケット』『陸王』といったヒットドラマを生み出した作家・池井戸潤氏の同名小説が原作。「結果がすべて」という企業風土を持つ会社を舞台とし、そこで起きたパワハラ騒動をきっかけに、そこに隠されたある謎が会社員たちの人生や会社の存続をも揺るがすさまを描いていく。池井戸氏の作品の中でも“傑作”の呼び声が高いクライムノベルだ。

 主演の万年係長・八角民夫を演じるのは狂言師で、2020年東京オリンピック・パラリンピック競技大会開閉会式のチーフ・エグゼクティブ・クリエーティブ・ディレクターを務める野村萬斎。

 その八角の上司役でモーレツ管理職の北川誠を演じるのは池井戸作品ではおなじみの香川照之。

 八角は“ぐうたら社員”という設定なのだが野村は「僕自身、ぐうたらなので役には入りやすかった。サラリーマン役がやっと回ってきたと思ったら、ぐうたら。また浮いたような地に足がついていない役かと思ったら、話が進むうちに大きな危機や犯罪の真相が分かってくる。このサスペンス風の展開はやりがいがあった。演じていてこんなに楽しいことはなかった」などと自らの役を振り返った。

トークでもばちばち?の及川、野村、香川(左から)

香川の熱演に及川「僕の台詞があと2行残っているのに言わせてくれない」
 そして劇中、対立する香川については「すごい会議の場面から(映画が)スタートするんですが香川さんには身を切って演じるといういいお手本を見せていただいた」と話す。

 その冒頭のシーンは100名以上の営業部員が参加しての定例会議のシーンなのだが香川は「冒頭のシーンはクランクインの日に撮った。北川が喋りまくって、それを(及川演ずる)原島がおびえながら“分かりました”という構図。萬斎さんはひたすら居眠りしている。萬斎さんはぐうたらというけど、常に姿勢が良い。多分若いころからこの姿勢。普段の萬斎さんとは対極の役への挑戦だったと思う。クランクインのシーンで福澤組の経験者としては“こういうテンポで行く”ということを心掛けて、本来なら12Rやらなければいけないところ、スタミナの8割をこのシーンで使おうと思って臨んだ。そして福澤監督はスピード感が好きなので、とにかく台詞はかぶるように言おうと思っていた」などと振り返った。

 この香川の熱演のあおりを食った及川光博は「僕の台詞があと2行残っているのに言わせてくれない」とぼやいた。その及川は自らの役については「絵に描いたような平凡な男という設定だったが、そんな人はなかなかいない。パッとしちゃいけないんだろうと思って、全力でぱっとしないように気を付けた」などと語った。

 こういった緊張感あふれる撮影現場の様子が明かされると、野村は最後に「理屈はともかく、役者の演技合戦は格闘技ファンなら絶対満足していただけるのでは」と熱狂的なボクシングファンでもある香川を前に締めくくった。