佐藤健、念願の海外監督との映画撮影に「まさかこんなことになるとは…」

(撮影・三村諒)

 映画『サムライマラソン』完成披露イベントが21日、都内にて行われ主演の佐藤健をはじめ豪華出演陣とメガホンをとったバーナード・ローズ監督が登壇した。

 1855年の幕末に開催された、日本史上初のマラソンといわれる“安政遠足(あんせいとおあし)”を描いた原作を、日本を代表する俳優陣とハリウッドの一流スタッフをそろえ映画化した時代劇エンターテインメント大作。

 この日は、佐藤、小松菜奈、森山未來、染谷将太、青木崇高、竹中直人、小関裕太、木幡竜が勢ぞろい。勇壮な和太鼓の演奏とともに登壇した豪華な顔ぶれに、約700人の観客も大声援を送った。



 冒頭の挨拶から「本当に衝撃の現場だった」と振り返った佐藤は「海外の方と仕事をしたいという気持ちはずっと持っていたので、こんなチャンスを逃したくないと思って飛び込みました。まさかこんなことになるとは」と苦笑。さらに「人生でこんなに走ったことはないというほど走りました」と染谷が言えば森山も「走ったり馬に乗ったり湖で泳いだり“1人トライアスロン”状態でしたね」。小松も「初めてお姫様の役と男装する役を演じ、乗馬や殺陣をやったり、作法を最初から学んだりと挑戦することが多かった。役に対して考えることがたくさんあって日々、葛藤する感じでした」とを振り返った。



 ところが、そんなハードな撮影の中で、役者たちに最も大きな挑戦を与えたのはローズ監督だった様子。佐藤が「(監督は)まず台本を見るな、気にするなと。台本のセリフを言いたかったら言ってもいいし言わなくてもいい、他に言いたいことがあればなんでも言っていい、と。だから僕はあまりしゃべりませんでした(笑)。役として動きで表現したかったので。逆に森山さんはご自身で考えられたセリフをたくさん話して…脚本はほぼ森山未来です(笑)」と口火を切ると、小松が「戦うシーンがあったので現場入りする前に佐藤さんたちと1カ月ほど殺陣の練習したんですけど、現場に行ったらバッサリ(そのシーンが)カットされていました。やりたかった」と無念そうな顔。すると佐藤が「めちゃくちゃ練習したんですけど、そんなものは段取りだから。監督はそんなものを望んでない。本物のやり合いを望んでいらっしゃるから。とにかくあいつを殺してくれ、という指示のもとやりました」と、やや、ぼやきの混じったフォローをし会場も大笑い。すると監督が「だって、刀を持っていたら“踊り”をするより直接、切りつけて終わりでしょ」。これには青木も「exactly (その通りです)」とお手上げ。



 そんな青木も「とにかくテスト無しで撮っていく、というスタイルだった。茂みに突っ込めと言うので入ったら、誰もそこをまだ確認していなくて、段差があって…。でも監督の指示であれば火の中水の中、藪の中」。そんな中、染谷は「初日にスタンバイして立って待っていたら君はもう撮り終わった、と言われて。いつの間に撮ったの?と聞いたら、待っている間の君が良かったから、もう撮ったよ、と。(その日は)何もしなかった。働いてない」と驚きのエピソードで会場を笑わせた。一方、ベテランの竹中は「どうなるか分からないからドキドキして楽しかったですね。毎日、現場で即興性をも求められて、とても興奮する現場でした」とさすがのコメント。そんな日本の俳優たちを「こんな最高のキャストに恵まれたことはありません。皆さんの演技に感服しました」と絶賛したローズ監督。「自分が求めている以外のものを、皆さんそれぞれがもたらしてほしいと言いましたが、見事に見せてくれて本当に誇りに思っています」と賛辞を送った。



 最後に佐藤は「過去に経験した常識が一切通用しない、何もかもが初めてという状況で、それぞれがいつも以上に自分の役と向き合いながら、ときには力を合わせながら作った作品。新時代における時代劇の形を提案できると思います」と胸を張った。

 映画『サムライマラソン』は2月22日より全国公開。