佐藤浩市×吉岡里帆 東京2020で沸く日本。そして世界に届けたい 映画『Fukushima 50』

吉岡里帆
 あまりにも大きな危機に必死で立ち向かった彼らと、その帰りを信じて待ち続けた家族たち。

佐藤「彼らがどんな思いで残ったのか、簡単に察することはできませんが…。職務としての責任感もあっただろうけれど、それ以上にそこに住む家族や仲間のこと、何十年も暮らしてきた土地の景色…いろいろなことが思い浮かんで、残ろうという決断に至ったのではないかな、と思います」

吉岡「突然、想定外の事態に陥って、日本を守らなければいけないという重圧の中、難しい決断を次々と迫られる。一歩判断を間違えれば、最悪の事態にもなりかねない。敬意しかありません」

佐藤「どんなことであれ、絶対の正解はないんだと思う。そのときの正解はあっても、時間が経てば違ってくるかもしれない。エネルギーの問題一つをとっても、人にも環境に優しい発電ができればいいけど、そううまくいかないから、どこでも苦労している。だからこそ、こうして語られ続けることに意義があるんだと思います」

 震災から9年。東京2020大会を機に、また世界からの注目が日本に集まる。

吉岡「聖火トーチに福島の廃材が使われていたり、被災地の復興への思いも込められている大会だと思うので、風化させないという意味でも、より多くの人の力を復興につなげるという意味でも、東京2020がいい機会になればと、この映画に参加させていただいた自分としては、そう願っています。東京2020を機に海外から訪れる方にも、この映画を通じて、当時の状況が伝わるといいなと思います」

佐藤「名目だけに終わらない“復興五輪”になるかどうかは分からないけれど、今年がどうというより2020年以降も、次の世代に伝えていくことが大事だと思います。本作がその一翼を担うというのは大げさかもしれないけど、映画というものは大きな力を持っていると思っています。我々映画人も改めて映画の力に気づくことができる、そういう作品になっていると思います」

(TOKYO HEADLINE・秋吉布由子)