「十二人の優しい日本人を読む会」を観て思う、配信という新しい演劇スタイル【黒田勇樹のハイパーメディア鑑賞記】

こんにちは、黒田勇樹です。

緊急事態宣言が解除されて、いきなり全開モードとはなりませんが、なんとか演劇もできそうな状況となってきました。

この期間、政治的にも社会的にもいろいろなことがありました。これからもいろいろなことがあるんでしょうが取り敢えず目先のことからひとつずつやっていきます。

今週は鑑賞記です。では始めましょう。
黒田勇樹
 さて、いよいよ解除された緊急事態宣言。勿論、まだまだ気は抜けない状況だと思うのですが「来週には劇場や映画館に行くことが出来るかもしれない」という期待を込めて、“おうち時間”「最後の1本になるなら何を観よう?」と、熟考した結果、この自粛期間中、もっとも話題になったであろう演劇関連の動画、「十二人の優しい日本人を読む会」を観てみました。

 今日までこの動画を観なかった理由は大きく2つ。
 面白いの知ってるから!残念ながらリアルタイムで舞台は観れていないのですが、映画はDVDが擦り切れるほど観てたから、改めて観て、何を書けばいいのかわからんと思っていたから。

 もうひとつは、先に見ていた「zoom演劇」が好きじゃなかったから。今回の混乱が始まった時に、いくつかの団体が真っ先に「演劇」として会議用アプリzoomを使ったお芝居を制作して公開されて、まぁ、僕も最近はその畑の人間なので「観なきゃ」と、チェックしてたんですが

 演劇じゃねぇ!!!

 なんというか、防犯カメラ風の映像を編集して作られたホラー映画「パラノーマルアクティビティ」を見ている様な。作品としては面白いんだけど「演劇」の面白さは感じられず、あくまでも「映像作品」だなぁ、と思ってしまい、そこからは「劇場にいた記憶」を足せば楽しめる「記録映像」ばかり観ていたのです。

 で、今回の宣言解除と、先日初めて「zoom飲み会」なるものに参加し「zoomとはなんぞや」もなんとなくわかったので、腹を括って観てみよう、と。

 面白った!2時間中1時間半は泣いてた。そもそも「コミュニケーション」の重要さと「正義」って僕にがっつりハマるテーマなので、当たり前なんですが、それよりも何よりも前半で感動を呼んだのが

 “間”!!!

「ま」ですね。俳優同士が会話の中で共有する空気の様な物なのですが、それが一切滞りなく、生き物のように画面上に渦巻いてた!
いくら台本があったり、稽古していたとしても、zoomって、多少のラグが出るし、回線の状況では聞きづらかったりすることもいっぱいある。

 実際、参加したzoom飲み会では渾身のギャグを聞き取ってもらえなかったり、笑ってもらえるまでのラグで「スベったかな?」と心臓が止まりそうになったり何度もしました。

 それを2時間!ベテランだらけとはいえ、この環境でやるのは初めての方が多い筈なのに、お互いを信じ、自分を信じ、トップスピードでテンポよく、ラストまで走り切られたことに大感動。
 脚本の使用を許可されただけだと思っていた三谷幸喜さんが、必要以上に加担されてたのもとても良かった。
演劇だったなぁ!“生”の“間”が、しっかりと画面に映ってた。

 公開は5月一杯を予定されているそうなので、皆様、是非ご覧下さい。
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黒田勇樹(くろだ・ゆうき)
1982年、東京都生まれ。幼少時より俳優として舞台やドラマ、映画、CMなどで活躍。
主な出演ドラマ作品に『人間・失格 たとえば僕が死んだら』『セカンド・チャンス』(ともにTBS)、『ひとつ屋根の下2』(フジテレビ)など。山田洋次監督映画『学校III』にて日本アカデミー賞新人男優賞やキネマ旬報新人男優賞などを受賞。2010年5月をもって俳優業を引退し、「ハイパーメディアフリーター」と名乗り、ネットを中心に活動を始めるが2014年に「俳優復帰」を宣言し、小劇場を中心に精力的に活動を再開。
2016年に監督映画「恐怖!セミ男」がゆうばり国際ファンタスティック映画祭にて上映。
現在は、映画やドラマ監督、舞台の脚本演出など幅広く活動中。

公式サイト:黒田運送(株)
Twitterアカウント:@yuukikuroda23

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